p.63 抽出テキスト
CFA病変は,高度石灰化合併が多く,血栓内膜摘除術(thromboendarterectomy: TEA)が第一選択となる.大腿深動脈(deep femoral artery: DFA)は浅大腿動脈病変の進行時に重要な側副血行路源となるため血流維持は重要である.CFAは再血行再建時の穿刺部位,バイパスが必要になった際の吻合部となるため,ステント留置は原則的には推奨されずnon stenting zoneと定義される440). i. 外科手術 CFAおよびDFA中枢側に有意病変があれば,TEA(+パッチ形成術)を行う.TEA施行後5年開存率は90%を超え極めて良好である437, 443).DFA起始部の連続病変には,大腿深動脈形成術を付加する. ii. EVT CFAはTEAが第一選択であるが,実臨床においてはEVTも施行されることがある567).欧州で実施された主に間歇性跛行症例に合併したCFA病変へのステント留置とTEAのRCTでは,周術期安全性においてステント留置がTEAに勝り,2年における有効性は同等であった441).長期予後が限られるCLTIもしくはCFAに対して複数回外科処置を受けているCLTIにおいては,ステントを併用したEVTも代替治療として考慮しても良いが,長期成績が不明なため,ステント留置を施行しうる患者は限定される. iii. ハイブリッド血行再建 CFAにAI病変を併存する場合,AI領域へのEVTおよびCFAへのTEAを行うことで,低侵襲で良好な開存率を得ることができ,積極的に検討すべきである439). c. 大腿膝窩動脈病変への血行再建術表41 CLTI における大腿膝窩動脈病変の管理の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 25 cm 以上の大腿膝窩動脈閉塞に対して,自家静脈を用いたバイパス手術を行う45, 488). I A 25 cm 以下の大腿膝窩動脈閉塞に対して,EVT を行う45, 568). I C 25 cm 以上の大腿膝窩動脈閉塞に対して,自家静脈がない,もしくは全身リスクが高い場合,EVT を考慮する45). IIa B膝窩動脈へのバイパスは,膝上膝下にかかわらず,使用可能であれば自家静脈グラフトを用いたバイパスを行う569). I A膝下膝窩動脈へのバイパスで,使用可能な自家静脈がない場合,人工血管グラフトの使用を考慮してもよい483, 570). IIb B CLTIは通常,マルチレベルの閉塞性病変に起因して発生する.間歇性跛行患者とは異なり,単独大腿膝窩動脈 (femoropopliteal: FP)病変のみが原因となることはまれで,多くは膝下動脈(infrapopliteal: IP)病変との複合病変である509, 547, 563).CLTI,特に組織欠損を伴う患者においては, FPとIPを複合病変として,効率的な血行再建方法が選択されるべきである.2018年に発表されたGlobal Vascular Guideline(GVG 2018)において,FPとIPを包括的に考えたtarget artery pathway(TAP)およびlimb based patency (LBP)という概念が提唱された52)が,この概念を考慮に入れたFP病変における血行再建方法の選択に関して,まだ一定の見解はない. 昨今のデバイスの進歩によりEVTの適応が拡大している.ESC/ESVS 2017 では,病変長25 cm以下を短区域病変と定義し,EVTが第一選択とされた45, 568).GVG 2018では,EVTが不向きの解剖学的特徴として,病変長(20 cm以上),膝窩動脈の5 cm以上(特に膝下3分岐に達する)の狭窄,そして膝窩動脈の閉塞を挙げている52).CLTIに合併したFP病変に対しては,患者・患肢の状態,病変部位(FPのみならずIPまで含めて),及び自家静脈の有無を勘案し,治療戦略を決定する必要がある45, 52, 488).CLTIの生命予後は跛行肢とくらべ不良である,重度併存疾患も多いため,EVTへの期待は大きい. i. 外科手術 遠位吻合部が膝上,膝下であるかによらず,大腿‐ 膝窩動脈バイパスの代用血管としては,自家静脈の使用が推奨される569).使用できる自家静脈が存在しない場合,膝上膝窩動脈バイパスでは人工血管の使用も許容される.近年登場した,ヘパリンコーティング延伸ポリテトラフルオロエチレン(expanded polytetrafluoroethylene: ePTFE)グラフト(Propaten ®)は非コーティングePTFEグラフトよりも開存率は良好であり,代用血管としての活躍が期待される456).しかし,膝上膝窩動脈へのバイパスでは比較的良好な開存率が報告されているが,膝下以下のバイパスにおける成績は自家静脈より不良である483, 570).また,CLTIへの人工血管使用は,人工血管感染のリスクであるという報告もあり,自家静脈がない場合に,感染のリスクを考慮し,慎重に使用される必要がある571). ii. EVT DCB,DESやSGなど新規デバイスの登場により,長期成績が向上した結果,FPに対するEVTの適応は拡大した.しかし,これらの治療成績の多くは間歇性跛行患者を含むデータであり,CLTIに対するFP病変における各デバイスの使用に関した一定の見解はない.CLTIへのDCB使用に関しては,パクリタキセルとその担体による末梢塞栓(ダウンストリーム効果)による臨床経過の悪化が危惧される