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p.62 抽出テキスト

表39 CLTI を呈するLEAD の血行再建の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

平均的な全身リスクのCLTI で,動脈病変の複雑性が高い,あるいは創傷範囲が広い場合には外科的バイパス手術を考慮する547, 562). IIa B平均的な全身リスクのCLTI で,動脈病変が複雑でない,あるいは創傷範囲が小さい場合は,EVT を考慮する509, 547, 562, 563). IIa B全身リスクが高く,手術が困難なCLTI ではEVT を考慮してもよい509, 547, 562, 563). IIb B CLTIへの血行再建は,1創部に対する迅速かつ十分な血流量,2低侵襲,3長期開存,が求められる.標準的治療であった外科的バイパス手術に対し,手技の洗練およびデバイス開発からEVTの初期・遠隔期成績の改善が認められ,CLTIに対するEVTが血行再建手法として認められてきた歴史的背景がある.

鼠径靭帯以下の病変を有するsevere limb ischemiaへの外科的手術とEVTを比較したBASIL試験562)の報告以降,鼠径靭帯以下へのEVTが積極的に施行されるようになった.わが国における外科的バイパス手術とEVTを前向きに比較したSPINACH研究では,各治療群間で3年のAFSに差はなかった(52% vs. 52%,P =0.26) 547).この結果から,鼠径靭帯以下の病変を原因とするCLIにおいて,適切な患者選択にて施行された外科的バイパス手術とEVTにおいて,AFSに差がないことが示された.外科的バイパス手術とEVTの比較に関する結論は,現在欧米で進行中の大規模RCTであるBASIL2 564)やBEST-CLI 556)の結果が待たれる.しかし,CLTIに透析患者が多いわが国の特異的な臨床状況を考慮すると509, 547, 563),エビデンスレベルの高い海外データのみにこだわらず,SPINACH研究を代表とする,国内のリアルワールドデータを踏まえ,「適切な患者選択」を行い,血行再建を施行することが望ましい.すなわち,各治療の優劣を競うのでなく,それぞれの治療の利点・欠点,得意・不得意な領域を理解し,外科的治療とEVTがそれぞれ補完しあえることが,適切な血行再建選択へ繋がる(図12) 52, 500). a. 大動脈腸骨動脈病変への血行再建術

大動脈腸骨動脈(aorto-iliac: AI)領域単独でCLTIをきたすことはまれだが,inflow病変として,評価・治療が必要である.AI領域においては,低侵襲性と安全性・有効性が示されたEVTが第一選択の治療となることが多いが429, 430),高位大動脈閉塞や動脈瘤合併病変は外科的手術が第一選択とされる45).解剖学的重症度を考慮した推奨は,間歇性跛行患者での選択と同様である.(「4.2.5.b.i 大動脈

腸骨動脈領域」を参照) i. 外科手術

外科的手術の術式として,1大動脈-両側大腿(腸骨)動脈バイパス,2大動脈-大腿(腸骨)動脈バイパス,3交叉性大腿(腸骨)動脈-大腿動脈バイパス[+腸骨動脈(流入動脈)EVT],4腋窩-両側大腿動脈バイパスの4種に大別される.全身状態のよい高位大動脈閉塞病変は手術のよい適応である45).基本的には解剖学的バイパスとよばれる1および2が推奨されるが,手術リスクが高い患者においては3,4の非解剖学的バイパスを考慮して良い. ii. EVT

低侵襲性と安全性・有効性が示されたEVTが,多くの病変で第一選択となる429, 430).高位大動脈閉塞に関する十分な安全性と有効性の報告もあり565, 566),経験豊富なチームであればEVTによる治療を考慮してもよい.動脈瘤合併症例に対しても,SGで治療可能な場合もあるが,解剖学的な要因に左右される.適応などは本稿では割愛し,大動脈瘤のガイドラインに譲る. iii. ハイブリッド血行再建

総大腿動脈(common femoral artery: CFA)病変合併時に積極的に検討されるべきである.詳細は次項に譲る. b. 総大腿動脈病変への血行再建術表40 CLTI における総大腿動脈病変の管理の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

孤立性CFA 病変に対しては,内膜摘除術を行う437, 440, 443). I A AI からCFA に連続する病変に対して,ハイブリッド治療を行う439). I B

Anatomic complexity (GLASS stage)

Limb severity(Wlfl stage)

III

II

I

1 2 3 4 Open bypass Indeterminate Endovascular No revascularization

図12  バイパスに利用可能な自家静脈材料を有し,平均的

リスクの症例における鼠経靭帯以下末梢病変に対する初回血行再建戦略の決め方(Conte MS, et al. 2019 52), 東信良ほか. 2021 500)より) Copyright (2019) by the Society for Vascular Surgery and European Society for Vascular Surgery. with permission from Elsevier.