p.60 抽出テキスト
ステートメント 4.3.3 併存疾患の評価 表37 CLTI を呈するLEAD の併存疾患の管理の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル CLTI 患者の併存疾患は跛行症例より重篤で,生命および下肢の予後に直結することが多く,個々の症例で綿密な評価を行う206, 550 -554). I B a. 他臓器の血管疾患の評価 CLTIは動脈硬化症の末期状態であることから,冠動脈,頸動脈や脳動脈,腎動脈など他の部位に高度な動脈硬化性病変を合併している可能性が高く.REACH registryでは,LEADの約50%にCAD,約25%にCVDを合併していると報告されている173).これら合併する血管疾患は跛行患者よりも重症度が高いことが示唆されている550, 551). CADがCLTI患者の主要な死因であると報告したコホート研究もある552).一方,合併する動脈硬化性疾患に対して,生命予後改善や血管イベント予防の観点から確立された治療戦略はない.したがって現時点では,主要な他臓器の血管疾患の評価は,その血管疾患の症候性の有無や全身状態など個々の患者の病状に応じて検討することが望ましいと考えられる.評価が必要な場合には,非侵襲的検査や血管造影を行い,血行再建を考慮する. b. 非血管疾患の評価 組織欠損を有する場合には,糖尿病や創部細菌感染,心不全,慢性腎疾患や透析,アルブミン値などが創傷治癒や大切断と関連が深いとされている508, 514, 515, 553).従って,患肢予後の推定や改善の観点から耐糖能異常や糖尿病,透析の有無,創部感染の有無やその範囲,心機能や心不全の重症度,栄養状態などを評価する必要がある.また凝 固線溶系異常や悪性腫瘍,膠原病なども下肢および生命予後に左右する可能性がある. わが国では,高齢者人口の増加に伴い,フレイルや認知症を合併したCLTI患者も増えており,実臨床においては治療方針の決定に強く影響し,その評価も重要である. c. スコア化によるリスク層別化 最近では,CAD合併や糖尿病,透析などの併存疾患の有無などによって合併疾患の重症度をスコア化し,周術期合併症,死亡や大切断などのリスクの層別化が行われ,FINNVASC score, modified PREVENT III score, BASIL score, CRAB, VQIなどの有用性が報告されている527, 528, 530–532).わが国では透析患者の多さ,脂質代謝の違い,脳血管合併症の多さなどが欧米と異なり,リスク解析の方法には独自のものが必要で,各種術前データの入力により,早期および晩期のアウトカムの予測値を算出する予測モデルが発表されている206, 554). 4.3.4 治療総論 ● 治療方針の決定と管理は,多診療科・職種により 構成された集学的治療チームにより行う. ● 患肢重症度は傷の部位,大きさ,深さと虚血の程 度,感染の有無で評価する. 表36 FP grade とIP grade の組み合わせによるGLASS stage FP grade 4 III III III III III 3 II II II III III 2 I II II II III 1 I I II II III 0 NA I I II III 0 1 2 3 4 IP grade (Conte MS, et al. 2019 52), 東信良ほか. 2021 500)より) Copyright (2019) by the Society for Vascular Surgery and European Society for Vascular Surgery. with permission from Elsevier. 図11 IM 病変のGLASS 分類(Conte MS, et al. 2019 52), 東信良ほか. 2021 500)より) Copyright (2019) by the Society for Vascular Surgery and European Society for Vascular Surgery. with permission from Elsevier. 足関節部/足部動脈の病変分類 P0完全なpedal archを伴い,標的血管が足部まで開存P1 pedal archは閉塞あるいは高度狭窄を有するが,標的血管が足部まで開存P2足部まで連なる標的血管なし P0 P1 P2代表的な血管造影写真:P0病変パターン(左図),P1病変パターン(中央),P2病変パターン(右図)