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p.56 抽出テキスト

PQ 6

従来,Fontaine分類,Rutherford分類による重症度評価ならびにTASC,TASC IIによる血管病変の評価が行われてきたが,感染や患者のリスク評価などは医療者個々の経験に委ねられてきた.しかしCLTIにおいてQOLを維持した救肢には,血管病変のみではなく,感染を含めた下肢重症度評価や生命予後を含めた包括的なリスク評価の上で術式を選択することが不可欠である.2014年WIfI分類23)が発表され,さらに2019年Global Vascular Guideline (GVG)

52)において,症例のリスク,下肢の重症度,血管病変の解剖学的複雑性の評価を行ったうえで治療方針を決めるというPLAN(Patients risk estimation, Limb Staging, ANatomic pattern of disease)が提唱された(図7)

52, 500).

a. 患者リスク評価(Patients risk estimation)

CLTIの治療目標は,肢切断回避,肢機能維持,疼痛除去と創治癒であり,CLTIが疑われ,緊急の大切断が不要な症例は,血行再建医に紹介するべきである.一方,CLTI症例の多くは高齢者で,多くの併存疾患を合併し,かつフレイルであるため,生命予後が限られた症例・歩行不能な症例・専門家の検討で救肢不能とされた症例には,血行再建ではなく大切断や緩和治療が勧められる.

多くの合併症を有する高齢者が多数を占めるCLTI症例の最適な治療方針を決定するためには,症例のリスク,下肢重症度,血管病変の解剖学的複雑性のすべてを包括的に評価するシステムが必須であり,PLANに則った評価が望ましい52).

血行再建のリスク評価と生命予後がevidence based revascularization(EBR)では重要である. 従来の研究では,死亡率,大切断率,大切断回避生存率(AFS),周術期合併症をエンドポイントとしてCLTIに対するリスク評価が行われ203, 205, 525–532),危険因子として,高齢,腎機能低下,冠動脈病変,うっ血性心不全,糖尿病,喫煙,脳血管障害,組織欠損,BMI,認知症,ADLなどが使用されてきた. その結果,周術期死亡5%未満で2年生存率が50%を超えると想定される症例は手術に対する標準的な全身リスクと判定され,バイパス手術/EVTのうち,より望ましい血行再建を行い,周術期死亡5%以上で2年生存率が50%以下と想定される症例の全身リスクは高いと判定され,血行再建が必要な場合EVTを考慮する(図7) 52, 500)とGVGで提唱された52).近年では,上記の危険因子に組み込まれていなかったフレイル156, 543)や維持透析544, 545)がCLTIの危険因子の上位に位置すると報告されている. b. 下肢重症度評価 (Limb staging)

CLTIの下肢の重症度評価には,WIfI分類の使用が推奨される(図8) 52, 500, 533–538).虚血の重症度と血行再建の有効性は大切断のリスクと完全に一致しているわけではない.このため血行再建の有効性の有無がWIfI stageとischemic

gradeで層別化され(図9) 52, 500),これにより血行再建の可否を考慮することが推奨される534, 535, 537).創治癒が遷延する場合には再評価し,再度治療方針を決める.新出のテクノロジーや治療方法の評価には,対象肢の重症度を正しく評価しておくことが肝要であるが,WIfI分類は対象症例の重症度を揃えることにより異なった血行再建法を比較検討するための有効な分類法である.

WIfI分類は有用か? Answer WIfI分類はCLTI患者における患肢の重症度を評価するものであり,治療前の下肢の予後推定に有用であると考えられるが,さらなるエビデンスの蓄積が必要である.

WIfI分類は2014年に米国血管外科学会から発表され, CLTI患者の患肢を創(W;wound),虚血(I;ischemia),感染(fI;foot infection)の3項目で点数化し,患肢の重症度をステージングするものである23) .虚血だけではなく神経障害や感染を合併する足病変が近年増加しており,足病変の重症度を客観的に判断できる指標が求められていた.有用性に関するシステマティックレビューは1報あり,外科的血行再建もしくは血管内治療を行った12研究,2,669人のCLTI患者を対象としてメタ解析が行われた546).1年後までの大切断率はWIfI ステージが上がるにつれ上昇し,特にStage 4 では38%と高率であった.筆者は,WIfIステージは大切断を予測する項目として重要であるが,2018年までの時点ではエビデンスとしては十分ではなく,今後の蓄積が必要であると述べている.2019年に提唱されたGVGにおいても,WIfI分類の有用性が記載されている52).10研究,2,982肢をまとめた報告が記載され,WIfIステージが上がるほど1年後までの大切断のリスクは上昇し,特にStage 4においては大切断率が29%と高率であった.GVGでは患肢の重症度判定をWIfI分類を用いて行うことを推奨しており(推奨グレード1,エビデンスレベルC),これに加えて解剖学的な血管病変の複雑性を反映したGlobal Anatomic Staging System(GLASS)分類や患者リスクなどを組み合わせて至適治療方針を決定することが提唱されている.つまりWIfI分類が治療方針決定にも重要な役割を果たしているといえよう.また,わが国のCLTI患者を対象としたSPINACH研究ではWIfI分類におけるW3やfl2または3の場合は,外科的血行再建が血管内治療よりも好成績であったと報告された547).加えて,W3は血行再建後の生命予後不良因子であるとも報告されている206).このように,WIfI分類はステージだけでなく,各