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p.52 抽出テキスト

ジャー病など)は除外される52).

CLTIの診断にあたっては,症候,画像所見,生理機能検査を総合的に検討する52). ii. 症候

自他覚症状は,虚血を合併した下肢末端の安静時疼痛と潰瘍・壊疽であり,この症状が2週間以上持続し,改善しない.Fontaine分類ではIII,IV度,Rutherford分類では4,5,6度に相当する.

CLTIは必ずしも間歇性跛行から移行しない.間歇性跛行から5年以内にCLTIに進行するものは2~5% 167, 184),逆に間歇性跛行の既往のないCLTIも37~50%あり,糖尿病,透析症例に多く164, 501),既往のある症例に比較し予後は不良であるとの報告もある502).

安静時疼痛は典型的には足趾にみられ,挙上により増悪し,下垂によって改善する.これは静水圧による血流増加のためである.患者は足を下垂する姿勢をとりがちで,下肢浮腫が著明になることもある503).夜間や透析時には疼痛が増強することがあり,血圧低下や循環血液量減少による虚血増悪のためと考えられる.神経性疼痛との鑑別診断には血流評価を行う.糖尿病患者では神経障害と虚血の両方を合併している例も多く,客観的指標の慎重な解釈が求められる53).潰瘍・壊疽は,通常は足趾先端や踵部から始ま

り中枢側に進行するが,外傷を原因として,足背,足底,下腿に始まるものもある.糖尿病患者では,靴擦れや深爪などの軽微な外傷から進行することが多い.これは創傷のない組織の生存維持に比べ,組織の修復には多くの血流が必要であるためと考えられる.感染を併発すると局所の酸素消費量が増え,相対的な虚血が生じる. したがって,虚血性潰瘍の治癒には,血行再建が必要となることが多く,限られた症例(WIfI stage 1)以外は血行再建が推奨される52).組織欠損が持続すると外部からの感染が問題となる.糖尿病,透析,ステロイド使用,低栄養患者などは免疫力の低下があり,感染がより危惧される.発赤,疼痛,浮腫などの炎症症状が虚血により不顕化されている可能性もある.感染が全身に及ぶと,発熱,脈拍上昇,呼吸数上昇などを伴い,敗血症に至る(WIfI grade 3の感染)こともある. iii. 血行動態

CLTIの責任動脈病変の分布は,動脈硬化の背景リスクによっても異なるが,糖尿病や透析の患者が多い日本人では,腸骨・大腿動脈病変に加え,下腿動脈病変を合併していることが多い504).下腿動脈には主灌流領域(いわゆるangiosome)があり,1枝が閉塞しても互いの交通によって

表31 WIfI 分類におけるwound grading

Grade Ulcer Gangrene

0 潰瘍なし 壊死なし

臨床的描写:虚血性安静時痛で創はなし(ischemic grade 3に加えて典型的症状を必要とする)

1 足または下肢末梢に小さくて浅い潰瘍を認 める:骨露出を認めない(末節骨の露出は あってもよい)壊死はなし,または末節骨に限局するもの

臨床的描写:小組織欠損,足趾(2本以内)の切断または植皮にて救肢可能な状態

2 足部(踵を除く)の骨,関節,あるいは腱 が露出した深い潰瘍.または,踵骨を巻き 込まない踵の浅い潰瘍足趾に限局した壊死性変化

臨床的描写:大組織欠損.足趾(3本以上)の切断または標準的TMA切断±植皮にて救肢可能な状態

3 前足部や中足部の広範で深い潰瘍.あるい は全層におよぶ踵部潰瘍(踵骨に達してい てもよい)前足部あるいは中足部におよぶ広範な壊死.あるいは全層におよぶ踵部壊死(踵部に達していてもよい)

臨床的描写:広範組織欠損.複雑な足部形成術(非古典的中足骨切断,ショパールまたはリスフラン切断)や皮弁被覆あるいは複雑な創管理を行うことでのみ救済可能な状態もし創の状態が2つの創グループに跨るような場合には,上記「臨床的描写が最終的にどちらのグレードにあてはめるかの決め手となる. (Conte MS, et al. 2019 52), 東信良ほか. 2021 500)より) Copyright (2019) by the Society for Vascular Surgery and European Society for Vascular Surgery. with permission from Elsevier.