p.51 抽出テキスト
v. 血行再建後の薬物療法「4.4 血行再建術後の薬物療法」を参照. vi. 血行再建後の運動療法 EVT後に監督下運動療法を組み合わせるとEVT単独に比べて有意に歩行距離の延長が見られるため,監視下運動療法の実施が難しい場合でもEVT後の患者には継続した適度な運動を指導すべきである408). 大動脈腸骨動脈領域および鼠径靭帯以下領域のバイパス術後に監督下運動療法を加えることで,バイパス術単独よりも最大歩行距離の延長が得られるため409, 410),監督下運動療法が現実的ではないとしても,動脈硬化症のリスク是正の観点からもバイパス術後の継続した運動を指導すべきである. vii. 術後のフォローアップ1)EVT後 EVT施行後30日以内に効果判定,安全性の評価のために外来フォローをすべきである.評価項目は間歇性跛行改善の程度,穿刺部の確認,少なくともABIによる血流評価を行うことが望ましい.大腿膝窩動脈病変に対するBNS (bare-nitinol stent)留置後の再狭窄のピークは1年程度492)に生じる.DESに関しては,再狭窄のピークはBNSよりも延長されるものと考えられる.heparin-bonded covered stentに関しては3ヵ月ごとのエコーによるフォローが推奨されているが明確な根拠はない.一般的には術後30日,6ヵ月,12ヵ月,その後1年ごとにABI,エコー検査による治療部位の判定(収縮期最高血流速度[peak systolic verbocity: PSV],収縮期最高血流速度比[peak systolic velocity ratio: PSVR])と新規病変の評価を行う.ステント留置症例に対してはフラクチャーが再狭窄の原因となることから,X線検査によるフラクチャーの有無を評価する493). 2)外科的血行再建 バイパス術後のフォローアップは,確実に実施する必要がある.術後1ヵ月以内に創傷合併症の有無,症状改善の有無,ABI,内服状況の確認は必須である.以降は3~6ヵ月おきの外来フォローを継続する. エコー検査による静脈グラフトサーベイランスに関しては,CLTI症例において多くの報告があり,有意狭窄を検出した場合に追加処置(外科的修復,血管内治療的修復)を行うことで長期開存性が向上するとの報告が大半である494–497).跛行例の限定したエビデンスはないが,静脈グラフト狭窄は術後2年以内にその多くが発生することと,血栓閉塞をきたした場合の追加処置は非常に複雑となるため,跛行例に関しても静脈グラフトのエコー評価は検討すべきと考える.エコー検査の実施スケジュールに関しては十分なエビデンスはないが,一般的に初年度は3ヵ月おき, 2年以降は6ないし12ヵ月おきに評価することが多い365). 一方,人工血管バイパスでのエコーフォローによるその効果を示すエビデンスはない. 4.3 包括的高度慢性下肢虚血(CLTI) 4.3.1 病態生理,診断 a. 症候,機能検査・画像検査の適応表30 包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)の管理の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル CLTI の診断にあたっては, 症候, 画像所見, 生理機能検査を総合的に検討する52). I C医師とコメディカルは積極的にCLTI の早期発見を行う498, 499). I C i. 定義と診断 包括的高度慢性下肢虚血(chronic limb-threatening ischemia: CLTI)とは,下肢虚血,組織欠損,神経障害,感染などの肢切断リスクをもち,治療介入が必要な下肢を総称する概念である.これまで用いられた重症下肢虚血(critical limb ischemia: CLI)は,高度虚血の観点からのみ定義されており,肢の自然予後が必ずしも正確に反映されていなかった.CLTIではWIfI分類(表31) 23, 52, 500)を用いて,対象肢を,組織欠損,虚血,足部感染の3要素で評価する.客観的にLEADと診断された成人で,以下のいずれかの臨床症候を有していることがCLTIの条件となる2). ・ 血行動態検査で確定された(WIfI grade 3 の虚血)安 静時疼痛・糖尿病性潰瘍または2週間以上継続する下肢潰瘍・下腿または足部の壊疽ただし,静脈性潰瘍,外傷,急性動脈閉塞症(発症後2週間以内)や非動脈硬化性慢性動脈疾患(血管炎,バー ● CLTIとは,下肢虚血,組織欠損, 感染などの肢切断 リスクをもち,治療介入が必要な下肢病変を総称する概念である. ● CLTIの診断では,まず虚血の有無および程度を診断 する. ● CLTIの治療方針を決定する際には,全身のリスク評 価,WIfI分類での局所評価,解剖学的評価を総合し,検討すべきである. ステートメント