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p.50 抽出テキスト

PQ 4

好な成績の報告456)が近年,散見され,わが国483)からも多施設前向き研究で,2年一次開存率82.7%と報告されており,大伏在静脈グラフトが利用できない場合,膝上膝窩動脈バイパスでは,人工血管の使用を考慮する.しかしながら,人工血管による膝下膝窩動脈バイパスの遠隔期成績は不良であり452),その適応は慎重になるべきである.また,安易な人工血管バイパスの選択とそれに伴う遠隔期での患者不利益が米国から報告453)されており,バイパス術前にエコーないしCT 484)による伏在静脈の評価を行う必要がある.

前述のRCT 449)では大伏在静脈径は中枢部で4 mm以上,末梢部で3 mm以上が対象とされ,また,CLTIが対象で膝窩動脈・下腿動脈・足部動脈バイパスを含めた大規模多施設研究であるPREVENTIII研究485)では,single segmentの大伏在静脈・静脈グラフト径3.5 mm以上でグラフト開存率が良好であり,小伏在静脈や上肢静脈,また,spliced graftでは開存率が低下すると報告されている.以上から良好な静脈グラフトの定義としては,1大伏在静脈,2静脈径3 ~3.5 mm以上,3single segmentである.

また,下肢静脈瘤を合併し大伏在静脈に病的拡張や炎症による壁硬化を認める場合,縫縮やラッピングなどの付加的処理を加えての使用報告486)はあるが,一般的には不適当と判断される.

十分な自家グラフトの採取が困難と考えられる大腿膝窩動脈閉塞への治療選択をいかに決定すべきか? Answer総大腿動脈病変の合併や重度石灰化の有無を考慮し, EVTと人工血管での大腿―膝上膝窩動脈バイパス(above-knee femoro-popliteal bypass: AKFP bypass)を選択する.

本ガイドラインにて,大腿膝窩動脈の広範囲閉塞では外科的バイパスを考慮し,かつ,代用血管は,静脈グラフトを強く推奨している.また,静脈グラフト利用不可の場合に人工血管の使用が考慮されるが,一方で,長区間病変におけるEVTの成績向上454, 457)を受けて,EVT選択も条件付きで許容している.これらの点から,実臨床において,静脈資源が十分でない場合,血行再建方法の選択には混乱が生じる.人工血管による膝下膝窩動脈バイパスの成績は不良であり,その役割は臨床上,限定的であるため,ここではAKFPとEVTの選択に関して以下に論じる.

人工血管AKFPバイパスとSGないしパクリタキセルステントを使用するEVTのRCTが複数あり487–489),いずれも短期~中期開存性に差がなく,EVT群での周術期合併

症の低さ,入院期間の短さが報告されているが,長期的成績に関しては明らかではない.加えて,これらの研究では, EVTが適さない総大腿動脈病変の合併例や重度石灰化病変は含まれておらず,画一的に人工血管によるAKFPに比べEVTが優れているとは言えない.一方で,ヘパリン結合人工血管によるAKFPの良好な成績が,総大腿動脈病変の合併も含め,多施設前向研究でわが国から報告されている483).

以上から,総大腿動脈病変の合併がなく,重度石灰化を伴わないようであればEVTを,その逆の条件では,人工血管によるAKFPを考慮し,それに加えて,跛行肢なのかCTLIなのか,患者の外科手術リスクも踏まえて治療法を選択する必要がある.

iv. 膝下動脈領域表29 跛行肢における膝下動脈病変の管理の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

間歇性跛行の改善を目的としたEVT は推奨されない298). III No benefit C人工血管による大腿– 下腿動脈バイパスは,跛行に対する治療として行うべきではない490, 491). III Harm C

1)EVT

間歇性跛行を有する膝下単独病変に対するEVTを支持する十分なエビデンスはない.現状,EVTの手段としてわが国ではバルーン治療しかなく,高い再狭窄率298),繰り返す再治療,CLTIへの増悪懸念を考慮すると症状の改善を目的としたEVTは推奨されない(将来の外科的血行再建への影響については「4.3.4 血行再建」を参照). 2)外科的血行再建

下腿動脈分岐を含む広範囲膝窩動脈病変では,しばしば,高度の跛行を呈し,適応は限定的ではあるが,外科的バイパス術では脛骨腓骨幹動脈を含む下腿動脈へのバイパス術が必要となる.下腿動脈以下へのバイパス術は, CLTI症例に対する自家静脈グラフトが原則であるが,跛行症例であっても,以下の条件をみたす場合にはバイパス術による長期的な効果490, 491)の可能性があり考慮しても良い.(十分な薬物運動療法を行っても極めて重度な跛行症状の残存,全身状態良好,良好な大伏在静脈グラフトの存在,良好なrun-offを有する吻合可能な下腿動脈の存在)