p.47 抽出テキスト
得られているか確認してから鼠径靱帯以下の病変に対する血行再建の適応を決める.5 cm未満の短い狭窄・閉塞病変においてはEVTの合併症リスクは低く,5年で90%以上の長期開存が示されている419).大動脈腸骨動脈閉塞病変においては大動脈腸骨動脈分岐部に対するカバードステントを用いたEVTの有効性(1年開存率87.3%,2年開存率82.3%)が報告されている423).2,147名が登録されたわが国のレジストリーでは手技成功率97.6%,合併症発生率6.4%,30日死亡率0.7%と安全であり,効果は5年1次開存率77.5%,5年2次開存率は98.5%と良好であり開存率は患者重症度,病変重症度に依存しなかった429).またわが国の多施設前向き研究(893名)を対象としたOMOTENASHI試験では,単純病変から複雑病変まで含まれていたにもかかわらず初期成功率99.4%,30日主要有害事象0.9%,1年1次開存率83.8%,3年1次開存率71.4%と良好な成績を示した430, 431). 大動脈腸骨動脈領域の複雑病変に関しては,予期せぬ血管破裂,末梢塞栓にすぐに対応でき,経験豊富なチームが行い将来起こりうる外科手術の妨げにならないのであればprimary stentによるEVTを第一選択に考慮する420–422, 424). 総大腿動脈病変を合併した腸骨動脈病変は腸骨動脈のステント留置によるEVTと総大腿動脈内膜摘除術または,バイパス術の併用を考慮する432). 2)外科的血行再建 大動脈を中枢吻合部とする解剖学的バイパス術は,その開存性は長期にわたり高く,跛行症例では10年のグラフト開存率は80%以上と極めて良好であるが,手術侵襲は相対的に高く,手術死亡率3~4%,周術期合併症率20%と報告されている425, 433, 434).本領域における血行再建術(EVTと外科的血行再建)として系統的なRCTないものの,多くの症例においてEVTが第一選択治療と考えられ,外科的バイパス手術の役割は限定的となっている.腎動脈直下に及ぶ大動脈閉塞などの複雑病変におけるEVTの有効性・安全性の報告はあるが435, 436),高い技術が必要で,経験豊富なチームからの報告であるため,第一選択とは言えない.手術リスクの低い若年者においては,10年以上の長期開存が担保された解剖学的な大動脈– 両大腿(腸骨)動脈バイパスを考慮する426).また,非解剖学的バイパス(交叉性大腿– 大腿動脈バイパス,腋窩-大腿動脈バイパスなど)は,侵襲性は解剖学的バイパスに比べ低いものの,開存性は劣るため427, 428),その適応はさらに限定的となる.EVTや解剖学的バイパスが実質困難な場合に考慮しても良い. ii. 総大腿動脈 表27 跛行肢における総大腿動脈病変の管理の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 総大腿動脈病変を主因とする跛行患者に対しては血栓内膜摘除を行う437, 438). I B総大腿動脈病変を合併した腸骨動脈病変には,両者とも有意病変であれば,総大腿動脈の内膜摘除と腸骨動脈の EVTを併用するハイブリッド血行再建を行う439). I C 1)EVT 以前より孤立性総大腿動脈病変に対するEVTは,ステントフラクチャーやアクセスサイトである場所にステントを入れる事への懸念より避けられてきたが近年,デバイスの進歩もあり外科的内膜摘除に変わる治療法としてステント留置によるEVTに期待が寄せられている440).総大腿動脈単独病変に対するEVTと外科的内膜摘除術のRCTにおいて2年まで開存率に両群で差を認めなかった441).一方でわが国からも孤立性総大腿動脈病変に対するEVT(バルーン治療)の成績が報告442)されているが,長期開存率は満足できるものではなく適応は限定的である. 2)外科的血行再建 内膜摘除は,低い侵襲性で5年1次開存率は90%を超える安定した有効性を認める437, 438).わが国の多施設研究では,跛行症例における開存率は5年100%で,周術期死亡なく,マイナーな周術期合併症を10%程度に認めるのみであった443).EVTの長期的な結果は得られておらず,総大腿動脈病変を主因とする跛行例において,本術式を第一選択治療として行うべきである.また,腸骨動脈病変合併例においては,ハイブリッド血行再建術の有効性も高い439). iii. 大腿膝窩動脈領域表28 跛行肢における大腿膝窩動脈病変の管理の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 25 cm 未満の病変は,EVT を行う444). I C経験豊富なチームが行い将来起こりうる外科手術の妨げにならなれば25 cm以上の病変にはEVT を考慮してもよい445). IIb Cステント内再狭窄病変に対してDCB を考慮してもよい446, 447). IIb B