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p.44 抽出テキスト

4.2.3 併存疾患の評価

表24 間歇性跛行を呈するLEAD の併存疾患の管理の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

間歇性跛行の患者では,血行再建術を検討する前に,血流改善によって歩行機能の改善が見込まれるか,血流が改善されても術前と同程度に運動を制限するような合併疾患(狭心症,心不全,慢性呼吸器障害,または筋骨格系の制限や神経障害など)の評価を行う27). I C

間歇性跛行に対する血行再建の目的は,歩行機能の回復である.歩行や運動を制限する疾患(狭心症,心不全,慢性呼吸器障害,または筋骨格系の制限や神経障害など)を有する患者では,血行を改善しても歩行機能の回復が望めない場合があり,このような例では一般に血行再建の適応はない.したがって血行再建を前提とした侵襲的検査を行う前には,上記のような併存疾患を評価する必要がある.また血行再建後,跛行が改善して患者の活動性が高まり,心血管イベントを発症することもあるので,合併疾患の評価が大事である.

ABIの低下は,将来の脳心血管イベントの強力な予知因子である.心血管疾患による10年死亡率をABI低値群(≦ 0.90)と正常群で比較すると,男性(18.7% vs. 4.4%),女性(12.6% vs. 4.1%)であり,ABI低値群で有意に死亡率が高かった.このため,PAD患者では合併頻度の高いCADやCVDに十分留意する必要がある27). 4.2.4 治療総論

間歇性跛行を有するLEAD患者に対しては,全身の動脈硬化に対するリスクファクターの治療と生活習慣の改善が基本的治療である(「2. リスクファクター・背景疾患の管理」を参照).

跛行症状に対しても,第一選択として運動療法と薬物療法を行い,十分な効果が得られない場合に血行再建術を考慮する.血行再建術の適応条件として以下の5項目を満たしているか患者とともに検討する必要がある.

1 跛行によって,日常生活もしくは患者にとって重要な

活動が阻害されていること2良好な治療効果と予後が予測されること3 運動を制限するような他の疾患(CADやCOPDなど)

を有さないこと4 運動療法や薬物療法によっても跛行改善効果が不十

分であったこと,もしくは不十分と予測されること5 低いリスクで実施でき,長期開存が期待できる解剖学

的形態であること加えて,跛行肢がCLTIに移行することは一般に少ないことを患者に伝えた上で,患者が抱えている歩行障害についてどのような価値観を有しているかを確認し,患者とともに治療方針を決定することが推奨される.

一方で血管内治療の進歩は日進月歩で,その適応は大きく広がっている.薬剤コーティングバルーン(drug-coated balloon: DCB)や薬剤溶出性ステント(drug-eluting stent: DES)の登場で初期成績に関しては,高い開存率が示され,外科的血行再建に匹敵する成績が期待される.しかしながら十分な長期的データの蓄積はないことから,EVTと外科的血行再建の選択においては精通したチームによって十分に検討されるべきである.無症候性患者に予防的治療としての血行再建術の適応はない(図5).

● 運動療法や薬物療法による跛行の改善効果が不十

分,もしくは不十分と予測される場合には血行再建術の適応を考慮する● 間歇性跛行によって,日常生活や患者にとって重

要な活動が阻害される場合,血行再建術の適応を考慮する

ステートメント

表23 間歇性跛行を呈する主な LEAD・ 動脈硬化性LEAD (閉塞性動脈硬化症)・ バージャー病・ 大動脈縮窄症(先天性および後天性)・ 高安動脈炎・ ベーチェット病・ 末梢動脈塞栓症の慢性期・ 膝窩動脈瘤(血栓閉塞,塞栓症)・ 膝窩動脈外膜嚢腫・ 膝窩動脈捕捉症候群・ 過去の外傷,慢性外傷,放射線照射障害・ 血管形成異常(線維筋性異形成,遺残坐骨動脈など)・ 血管腫瘍・ 弾性線維性仮性黄色腫