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p.38 抽出テキスト

表19 LEAD における冠動脈疾患の管理の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

LEAD 患者に冠動脈造影(CAG)や経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行う時は撓骨動脈アプローチを第一選択とする340). I Cリスク層別化を目的として,CAD 患者に対するABI を用いたスクリーニング検査を考慮してもよい338, 341, 342). IIb B

3.2.1 CAD患者におけるLEAD

CAD患者は労作時胸痛や呼吸困難のため運動を制限するので,LEADの自覚症状は検出されにくいが,13~16%にPAD(ABI<0.9)が合併することが報告されている152, 343).左主幹部病変や多枝疾患の存在はLEAD合併の独立した危険因子である.LEADを合併したCAD患者はよりびまん性に動脈硬化が進展しており,石灰化を伴う複雑病変を有することが多い344).

CADにLEADが合併すると予後不良となることが報告されている.PEGASUS研究ではLEADの存在が2倍,心血管イベントを増加させた345).19,867例の経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention: PCI)患者におけるRCTのメタ解析において8%にLEADを合併していたが,LEADは30日,6ヵ月,1年の死亡率の独立した危険因子であった346).わが国からの報告でもPCI施行患者にLEADを合併すると2年間の心血管イベントは有意に高率であった347).同様の報告がCABG患者においても報告されている348).

PADを合併したCAD患者には厳格なリスク管理が必要であるが,そのイベント抑制効果に明らかなエビデンスはない.CHARISMA試験のサブ解析349)においてCAD, LEAD,CVDを合併した患者はアスピリン単剤よりも抗血小板薬2剤併用療法(dual anti-platelet therapy: DAPT)治療にて有意に非致死的心筋梗塞が低下したが,出血性合併症はDAPT治療で増加しており,さらなる検討が必要である.

冠血行再建術(PCI,CABG)が必要なPAD患者においてCLTI患者を除けば,CAD治療が優先される.LEADを合併するCAD患者の冠血行再建術にPCIとCABGのどちらを選択するかは幾つかの点を考慮する必要がある350, 351).

PCIを施行する際,大腿動脈アプローチは下肢虚血,塞栓症のリスクを増大させ,穿刺部に止血器具を用いた時を含め穿刺部合併症発生率が高率となるため,撓骨動脈アプローチが推奨される352).どうしても大腿動脈アプローチが必要な時は下肢動脈の術前評価,血管超音波ガイド下

穿刺が必要となる.

CABGを施行する際,重症LEAD患者(重度跛行やCLTI患者)においては,大伏在静脈(great saphenous vein: GSV)の使用は慎重である必要がある353).長い浅大腿動脈閉塞病変や膝下動脈病変における下肢バイパス手術の長期開存率はGSVの存在に依存する.また,重症LEAD患者のGSV採取においては創傷治癒の遷延に関係する.したがって,CABGに際しGSVを採取する時はLEADの存在をスクリーニングすることが求められる. CABG術後の心臓リハビリにおいてもLEADの存在は術前無症候性であっても阻害因子になる可能性がある354).

以上より,レベルの高いエビデンスは確立されていないが,CAD患者の予後層別化のために,ABIによるLEADスクリーニングは低侵襲で安価な方法であると思われる.

3.2.2 LEAD患者におけるCAD

外科手術が必要になるLEAD患者は,その50~60%にCADの合併を認め355, 356),30日以内に心血管合併症(心臓死・心筋梗塞)が5%以上生じる高リスク患者といわれている339).

LEADの3分の1の症例にCADの既往または虚血性心電図変化を認め,3分の2の症例に負荷検査で虚血性変化を認め,70%の症例に冠動脈造影で少なくとも1枝に有意狭窄病変を認める188, 312).CONFIRM regitryでは7,590例のLEAD患者に冠動脈CT検査を施行し25%に冠動脈に無症候性有意狭窄病変を認めた357).REACH regitryにおいてはPAD患者の57%にCADの合併が報告されている358).LEADの重症度とCAD合併率に関連があり, CLTI患者の90%にCADを認めている.

LEAD患者の下肢の予後にCADの存在が関与しているかは明らかではないが,CONFIRM registryおいてCADを合併する患者の死亡率は1.6%とCADを併発しない患者の0.7%より高率であった357).

CAD合併症例においてはLEADの症状,重症度に応じて冠動脈血行再建術の優先度を判断する.CLTI患者はCADが安定した患者(慢性冠症候群: CCS)であれば, LEADの血行再建術を優先する.血行再建術がEVTでは困難なため全身麻酔下に下肢バイパス手術が必要な時や,広範囲な心筋虚血を有する場合には,冠動脈血行再建術を優先する.冠動脈血行再建術は可能であればPCIが望ましく,できれば撓骨動脈アプローチで施行する.解剖学的にCABGが必要な時はGSVを使用しない動脈グラフトを用いたバイパス手術が望ましい.

LEAD患者に対するCADのスクリーニング(機能的虚