p.34 抽出テキスト
価するため足趾上腕血圧比(toe brachial pressure index: TBI)や皮膚灌流圧(skin perfusion pressure: SPP)の測定が重要である.TBIはカットオフ値0.6 を用いた場合,感度45.2%,特異度100%,SPPはカットオフ値50 mmHgを用いた場合,感度ならびに特異度はそれぞれ84.9%, 76.9%である295). d. 予後/治療後予後 透析導入期LEADは死亡の独立危険因子である274).また虚血性足潰瘍を有する透析患者の生存率は1年,5年でそれぞれ65.2%,23.4%,救肢率は1年,5年でそれぞれ68.9%,53.8%であり生存率と救肢率に乖離が認められる171).海外メタ解析では,eGFR 60 mL/min/1.73 m 2未満あるいは透析を要する患者では,大切断リスク(オッズ比1.97),治療後30日以内の早期死亡リスク(オッズ比2.55)とも,eGFR 60 mL/min/1.73 m 2以上の患者と比較し不良である275).一方,わが国の検討では,透析は,鼠径靭帯以遠重症下肢虚血(critical limb ischemia: CLI)に対するEVT施行後3年以内の死亡,大切断の独立危険因子である(ハザード比2.91) 276).下腿病変に対する血行再建ではEVT後再狭窄率が高い298).下腿病変治療後1年の大切断回避生存率(amputation-free survival: AFS)はEVT65.7% 277),外科的バイパス術60% 278)で,治療後1年半以内に約35%の死亡が報告されている279).血行再建治療を受けたCLTI透析患者の生命予後,救肢率,切断回避生存率は,いずれも非透析患者と比較し不良である(海外メタ解析) 299). 2.6.2 LEADを有する腎不全/透析患者の管理 a. 透析管理 十分な透析量を確保した血液透析(hemodialysis: HD)が行われ,過剰な水分除去とともに十分な溶質除去が行われる必要がある(Kt/V 1.4以上,血中β 2ミクログロブリン30 mg/L以下) 272).血圧管理に関しては,特に透析中低血圧は透析患者のCLTI関連イベント(死亡あるいは血行再建治療)の独立危険因子である291).このため,透析間体重増加を適正な範囲(中2日で体重の6%未満)に抑える273).また,十分な透析時間が必要であり,さらに膜の選択や血流量への配慮も必要である.通常のHDのみならず血液透析濾過(hemodiafiltration: HDF)など透析modalityについても検討する.PAN(polyacrylonitrile)膜は陰性荷電を有しブラジキニンの産生を刺激し血管拡張をもたらすとともに,アルブミン漏出も少なく,血中膠質浸透圧の維持による微小循環維持作用や栄養状態を悪化させない点で有利である.ビタミンE固定化ダイアライザーは,赤血球変形能改善効果や酸化ストレス軽減効果を有する300). polymethylmetacrylate(PMMA)膜はサイトカイン除去に 優れた特性を有する301). b. 血管石灰化進展抑制 カルシウム・リン代謝異常は血管石灰化と関連し,下肢動脈石灰化は透析患者のPAD重症度と関連するため283),カルシウムやリンの管理,特にリンのコントロールが大切である284).リン吸着薬は,カルシウム非含有製剤の方がカルシウム含有製剤より血管石灰化の進展ならびに死亡率とも低く,カルシウム非含有製剤が推奨される284, 285).ワルファリンは透析患者では出血のリスクを上げるだけではなく286),血管石灰化を促進するため287),透析患者ではワルファリン使用は推奨されない.ただしワルファリン投与の有用性が高いと判断される場合にはPT-INR(prothrombin time - international normalized ratio)を1.5~2.0にコントロールし慎重にフォローする272). c. 栄養管理 血清アルブミン低値はHD患者における血行再建治療後のAFS 277)や死亡率302–304)と関連する.したがって,十分な食事摂取や栄養改善による血中アルブミン維持が重要である. d. 薬物治療 シロスタゾールは,CLTI透析患者の主要有害心血管事象(major adverse cardiovascular event : MACE)を回避し長期予後を改善する288).ただし,心拍数増加作用を有するため虚血性心疾患を有する透析患者ではその使用は慎重に判断する.プロスタグランジン I2アナログや5HT2拮抗薬は,心拍増加がなくLEAD合併透析患者のSPPをシロスタゾールと同程度に改善する289, 290).わが国では,透析患者へのリバーロキサバンの投与は禁忌,腎不全患者への投与は慎重投与とされているが,RCTでリバーロキサバンがワルファリンに対して効果と安全性においてともに有用であることが報告された305). e. LDLアフェレーシス LDLアフェレーシスは,LDL除去作用のみでなく,フィブリノーゲン吸着除去,血液流動性改善,血管拡張物質(ブラジキニンや一酸化窒素)産生促進,抗炎症作用などを介して血流を改善する306).分離した血漿を灌流する従来型リポソーバーシステムと,最近一般診療で使用可能となった全血直接灌流型カラム(血中コレステロール値の制約なし)を用いる方法がある. f. 併発する心血管合併症管理 LEAD合併透析患者ではCLTI,non-CLTIに関わらず心血管合併症頻度が高く,約50%に虚血性心疾患,20~35%に脳血管障害を合併し283),CLTI患者では心血管合併症による死亡が多いため280, 281),併存する心血管合併症の管理が必