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p.33 抽出テキスト

としては,ニコチン依存に有効な禁煙補助薬としてのニコチン代替療法剤(ニコチンガムとニコチンパッチ)とバレニクリンによる置換が有効であり,異なった種類の組み合わせはさらに有益であることが5万例以上のメタ解析から示されている269),ただしニコチン代替療法剤と喫煙を併用することは,ニコチンの過剰摂取につながるため原則禁煙となる.また,心筋梗塞や脳卒中の急性期,妊婦にはニコチン代替療法剤の使用は禁忌である.バレニクリンはわが国初の経口禁煙補助薬であり,ニコチン性コリン受容体部分作動薬としてLEAD症例における有効性も示されている270).なお,禁煙補助薬が禁煙に有用であることは明らかであるが,禁煙補助薬と心血管イベントの関連性を検討した臨床試験は少なく,エビデンスに乏しいのが現状である.また,医師による励ましは禁煙に有益であり271),職場のみならず家庭内においても継続した禁煙が達成できるように,医師患者関係を構築することが重要である.

2.6 腎不全・透析

● 腎不全・透析はLEAD発症の独立した危険因子で

ある. ● 腎不全・透析患者のLEADは頻度が高く,症状に

乏しいまま急速に進行することがあるため注意を要する. ● 早期発見のため,より末梢の循環障害を評価する.

血管石灰化のためABIは高値となりやすくABIの評価には注意を要する. ● CLTIを有する透析患者の血行再建後の生命予後,

下肢切断率,切断回避生存率はいずれも非透析患者と比較し不良である.

ステートメント表15 LEAD の腎不全・透析患者の管理の推奨と

エビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

透析治療により水分管理のみならず溶質除去も十分に行う272, 273). I B早期発見のためのスクリーニング検査を定期的に行うとともに,医療連携による重症化予防策を行う272). I C生命予後改善のため,併存する心血管合併症管理を行う171, 274-282). I C血管石灰化進展抑制や微小循環障害改善を目的とした薬物治療を考慮する283 -290). IIa C透析治療中は急激な血圧低下に注意し,回避できるような管理を考慮する291). IIa C

2.6.1 腎不全・透析とLEAD

a. 病態

腎不全はPADの独立危険因子である292).PAD発症進展には,インドキシル硫酸などの尿毒症物質,酸化ストレス,炎症,インスリン抵抗性,カルシウム・リン代謝異常などが関与し,血管内皮細胞障害や血管石灰化が惹起される.血管石灰化は,中膜平滑筋細胞の骨芽細胞への形質転換による能動的石灰化により促進され,リンや尿毒症物質の蓄積がその誘因となる.動脈硬化はCKD保存期からすでに進行している.血管石灰化はCKD保存期,特にG3b(推算糸球体濾過量[estimated glomerular filtration ratio: eGFR]45 mL/min/1.73 m 2未満)以降に進展し293),透析患者ではさらに顕著となる.透析患者では下肢動脈石灰化はLEADの臨床的重症度と関連する283). b. 有病率

わが国における腎不全患者のLEAD合併頻度は,透析導入期24.3% 294),維持期37.2% 295)と非常に高い.また多くが無症候であり,透析導入期にLEADを有する患者の約70%は無症候であるが294),症状が乏しいまま急速に重症化する場合があるため注意が必要である.わが国における血行再建治療を要するCLTI患者の半数以上は透析患者であり,腎不全の関与が大きい164, 296, 297). c. 診断についての注意

ABIによる透析患者LEAD検出感度は,カットオフ値ABI<0.9を用いた場合29.9%であり295),スクリーニング検査法として十分な感度を有さない.オシロメトリック法によるABI測定は血管石灰化の影響を受けるため,透析患者での至適カットオフ値は一般人と異なり1.05未満145)あるいは1.06未満283)とされる.より末梢の循環障害を評

表14 禁煙のアプローチ

Step 1: Ask診察のたびに,喫煙状況を問う. Step 2: Adviseすべての喫煙者に禁煙の必要性を説く. Step 3: Assess禁煙への意思を評価する. Step 4: Assist禁煙希望がある患者を支援する.禁煙治療薬の導入,カウンセリングを行う. Step 5: Arrange経過観察日を決める. (US Department of Health and Human Services. 2008 Update 268) より作表)