p.30 抽出テキスト
2.2 肥満症・メタボリックシンドローム 表10 LEAD の肥満症・メタボリックシンドロームの管理の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 肥満症やメタボリックシンドロームを有するLEAD 患者では,食事療法・運動療法・行動療法を基本として生活習慣を是正し,体重・内臓脂肪蓄積の減少を図る197). I C 13,988名を24年間追跡したARIC(Atherosclerosis risk in community)研究において,体格指数(body mass index: BMI),ウエスト周囲長,ウエスト・ヒップ比の増大は,年齢・性別・人種・喫煙・心血管疾患とは独立して, LEADに関係する入院のリスクと関連していた197).これらの関連の強さは,媒介因子と考えられる肥満関連代謝指標等で調整すると減衰した197).肥満症やメタボリックシンドロームがPAD発症のリスクを上昇させ,その主な機序として,肥満症やメタボリックシンドロームに起因する代謝異常が媒介していることが推測される. 一般に肥満症やメタボリックシンドロームでは,食事療法・運動療法・行動療法を基本として生活習慣を是正し,体重・内臓脂肪蓄積の減少を図ることが重要である198). LEADを合併した肥満症やメタボリックシンドロームの症例でも同様と考えられる.ただしLEAD合併症例に限定した集団で,こうした介入効果が十分に検証されているわけではない. 一方,少なくともわが国において,LEAD患者集団では,一般の糖尿病・脂質異常症・高血圧患者集団より肥満が少ない可能性がある.血行再建術の適応となったLEAD患者におけるBMI≧25 kg/m 2 の頻度は2割前後と報告されており199–202),むしろ,やせや低栄養が予後不良因子として問題となる場合も多い199, 200, 203–208).LEAD患者における体重減少は腓腹筋量の減少と関連していたとする報告もある209).適正な栄養管理と筋肉量維持が重要である. 2.3 脂質異常症 表11 LEAD の脂質異常症の管理の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル すべての動脈硬化性LEAD 患者にスタチンを処方する210, 211). I BスタチンでLDL コレステロールの十分なコントロールが得られない場合は,小腸コレステロールトランスポーター阻害剤やPCSK9 阻害薬との併用を考慮する212, 213). IIa B 2.3.1 疫学的背景 高LDLコレステロール血症,高中性脂肪および低HDLコレステロールはLEAD発症・増悪のリスクであることが示されている134, 214).わが国で実施された断面解析でもこれら脂質異常がLEAD合併に密接に関連することが確認されている136, 144). 2.3.2 治療アウトカム LEADは脳心血管疾患発症のリスクでありLEAD治療のアウトカムは脳心血管疾患発症予防と虚血肢の症状(間歇性跛行など)・予後の改善に大別される210, 211, 215).脂質異常症治療の主目的は前者であるが,わが国も参加したREACH registryを含め両アウトカムにその有用性が示されている210, 215, 216). 2.3.3 治療の現状 LEAD患者では,CADなど他の脳心血管疾患患者に比べてスタチンを含むOMT達成率が低い217, 218).Teramotoらは,日本人LEAD患者でも他の脳心血管疾患患者に比べてLDLコレステロールの良好なコントロール率が低いことを報告している219).このようにわが国でもLEAD患者において,脂質異常症治療を含めたOMT実施の周知徹底が望まれる. 2.3.4 スタチン 脂質異常症治療の基本は生活習慣の改善であり,高血圧・循環器病予防療養指導士などと協力し,チーム医療として指導することが有用である.そして,同時に薬物治療を検討する. 最近発刊された3つのPAD診療ガイドラインのいずれ