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p.28 抽出テキスト

ステートメント

脳血管疾患(cerebrovascular disease: CVD),LEAD(ABI <0.9の間歇性跛行,または血行再建か肢切断の既往),または動脈硬化リスク因子を3つ以上有する45歳以上の患者67,888例が登録された.LEAD症例は8,273例で,このうち50%以上がCADを,25%がCVDを併発し,また14%がCADとCVDの両方を併発していた172).なお,日本から登録されたLEAD症例627名では,30%がCADを,21%がCVDを,また7%がCADとCVDを両方有していた150).

本研究におけるLEAD症例の1年予後は,総死亡率が3.76%(95%CI 3.27~4.25%),心血管死亡率が2.51% (95%CI 2.10~2.92%),心血管死亡・脳卒中・心筋梗塞の

複合エンドポイントの発現率は5.35%(95%CI 4.77~5.97%)であった173).ちなみに同集団の下肢関連イベントとしては,下肢切断術1.63%(95%CI 1.22~2.04%),バイパス術施行率3.66%(95%CI 3.04~4.28%),血管内治療(endovascular therapy: EVT)施行率5.01%(95%CI 4.30~5.70%)であった173).なお,1年間の脳心血管イベント発症率は,CADやCVDの合併がなくリスク因子の管理が良好な1,373例では2.66%(95%CI 1.45~3.86%)であったのに対し,CADやCVDを有しリスク因子の管理が不十分な2,124例では7.73% (95%CI 6.05~9.38)と高かった174).LEADを有する者は

LEADを有さない者に比べて死亡リスク・心血管イベントリスクが高いことに注意が必要である175).一方,REACH registryでは,日本からの登録が4年以内の心血管イベント発生率が低いことと関連していたことも報告されており176),日本人は動脈硬化の進行が欧米人より遅いことも示唆される.LEADに関する臨床データの多くは欧米のものであり,日本人患者と欧米人患者の予後の差異を注意深く検証する必要がある.LEAD患者の生命予後不良にはフレイル,サルコペニア,低栄養の関連が指摘されている. 177–179)

1.4.1 無症候性LEAD

無症候性LEADであっても非LEAD患者集団より死亡リスク・心血管イベントリスクは高く,そのハザード比は1.5~2倍程度と報告されている180, 181).2016年に発表されたコホート研究のメタ解析によると,対象コホートの異質性の点で限界はあるものの,対照集団(非LEAD)の死亡率は27.6(95%CI 21.6~31.8)/1000人年,5年累積死亡率13%(95%CI 10~15%)であったのに対し,無症候性LEADの死亡率は41.3(95%CI 37.4~45.1)/1000人年,5年累積死亡率19%(95%CI 17~20%)であり,ハザード比は1.53(95%CI 1.18~1.99)倍であった161).また,心血管死の発生率は,対照集団が10.1(95%CI 7.5~12.8)/1000人年,5年累積発症率5%(95%CI 4~6%)であったのに対し,無症候性LEADでは19.8(95%CI 14.7~24.9)/1000人年,5年累積発生率9%(95%CI 7~12%)であり,ハザー

ド比は1.94(95%CI 1.29~2.91)倍であった161).こうしたリスクの高さは症候性LEADと大きく変わらないとする報告もある182).また,維持透析症例においても,無症候性LEADは総死亡リスクが1.963(95%CI 1.012~3.740)倍高かったと報告されている183).

1.4.2 間歇性跛行

10年間のコホート研究では,間歇性跛行集団の死亡率は82.7%(71.7~95.5)であり,対照集団(非LEAD)の27.6(26.0~29.3)/1000人年よりも高く,年齢調整済ハザード比は2.0(1.7~2.3)倍であった180).また,心血管死の発生率は,対照集団が8.6(7.8~9.6)/1000人年であったのに対し,間歇性跛行集団は38.7(31.4~47.8)/1000人年であり,年齢調整済ハザード比は2.6(2.1~3.4)倍であった180).1990~2014年の間に専門施設を受診したABI <0.9の初発間歇性跛行症例1,107例(保存的治療36.9%,血管内治療47.4%,バイパス術15.7%)を登録したわが国の単施設前向き観察研究によると,5年生存率73.3%,10年生存率47.8%,15年生存率28.1%,20年生存率14.9%であり,主要心血管事故回避率は5年63.0%,10年35.6%, 15年18.5%,20年5.7%であった184).

1.4.3 CLTI

実臨床においてCLTIは血行再建術が速やかに適用されることが多いため,CLTIの自然歴の報告は極めて少ない. TASCによると,血行再建術が非適応ないし不成功のCLTI患者を対象とした介入試験の偽薬群における6ヵ月死亡率は高くて20%であった166).また系統的レビューでは観察期間中央値12ヵ月において死亡率は22%であったと報告されている168).しかし,こうした予後は症例背景に大きく左右される可能性がある.わが国でADLまたは認知機能が低下したCLTIを登録した観察研究では,血行再建非適応CLTI症例の1年死亡率は49%であり,死亡原因は感染症が最も多く,次いで心血管疾患であった169).また維持透析症例においてもCLTI合併は総死亡リスクの上昇と関連していたとの報告がある170).

2 .リスクファクター・背景疾患の管理

● LEADは心血管イベントのリスクが高く,動脈硬化