GL検索 v0.1.0
画像は 18 ページを描画したものです
page 18

p.18 抽出テキスト

め,特にCINのリスクが高い患者では,診断能を維持できる範囲内で最小限の造影剤使用量とすることが推奨される.造影剤を減量する場合には,低管電圧CT撮影と逐次近似画像再構成の併用が望ましい.また,短期間(24~48時間)内での造影CT検査の反復はCINのリスクを増大させる可能性があるため,十分に留意する必要がある.CINのリスクが高い腎機能不全患者ではCINを予防するため,等張性輸液である0.9%食塩水(生理食塩水)や等張性重曹輸液などを造影検査の前後に点滴静注することが推奨される78, 79). b. X線を用いた検査における放射線被曝

X線による画像診断で用いる電離放射線は生物学的影響を伴うため,医療における有効利用を目的としていても,適切な放射線防護の原則を遵守しなければならない.放射線防護の原則は「正当化」「最適化」「線量限度」の3つである.放射線診療における正当化は,放射線利用から得られる利益が放射線被曝のリスクを上回ることである.最適化は正当化された放射線診療において不要な被曝を回避し,患者に最大の利益を保証する線量を用いることを意味する.X線を用いた造影検査では,正当化され最適化された放射線利用であっても,人体へのリスクに配慮して,一定の線量レベルを超えないように実施していく必要がある80).

2.3 MRA

造影剤を使用する造影MRAと,造影剤を使用しない非造影MRAとに大別される.造影MRAはガドリニウム造影剤による血液のT1短縮効果を利用して血管腔を高信号として描出する方法で,通常はgradient echo(GRE)系の3D高速撮像法が使用される.血流の速度や方向,または乱流に影響されにくく,比較的短時間で広範囲の撮像が可能であるという特徴がある81).非造影MRAにはtime-of-flight法,phase-contrast法,fresh blood imaging法などの撮像法があり,CTAや造影MRAと比較して診断能はやや劣るものの,腎機能低下,ヨードアレルギー患者に対しても施行可能であるという特徴を有する.

造影MRAの診断能を検討したメタアナリシスにおいては,大動脈・腸骨領域で感度93.5%,特異度96.3%,大腿膝窩は感度95.3%,特異度95.6%,下腿領域は感度92.2%,特異度93.3%と報告されている82).一方,非造影MRAの診断能は撮像法によってさまざまではあるが,感度・特異度ともに90%程度とされている83). 2.3.1 CTAとMRAの比較

CLTIと間歇性跛行を伴うLEADにおけるCTAと造影MRAの診断能を検討したメタアナリシスにおいては,CTAでは感度96%,特異度95%,造影MRAでは感度93%,特異度94%であり,両者に有意差はみられなかった84).CTAと比較した際のMRAの利点としては,1放射線被曝を伴わない,2重度の腎機能障害例でも非造影検査ならば可能,3高度の石灰化病変においても内腔の評価が可能,などがあげられる.一方,欠点としては,1空間分解能に劣る,2石灰化情報が得られない,3ステント留置後では材質によっては内腔情報が得られない,4検査所要時間が長く救急対応が困難,などがある85).頭蓋内器具,脊髄刺激装置,一部を除く心臓ペースメーカ,人工内耳などの患者ではMRIは禁忌となる.個々の体内植込み装置や金属などの安全性については,参考文献,インターネット上の医療機器のMR適合性検索システム(https://www.medie.jp/ solutions/mri),ならびに最新の添付文書による確認が必要である.

2.3.2 ガドリニウム造影剤を使用する際の注意事項

a. 腎性全身性線維症(nephrogenic systemic fibrosis: NSF)

重篤な腎障害のある患者へのガドリニウム造影剤使用に関連したNSFの発症が報告されている.NSFはガドリニウム造影剤投与の数日から数ヵ月後,時に数年後に皮膚の腫脹や硬化,疼痛などにて発症する疾患であり,進行すると四肢関節の拘縮が生じ,死亡例も報告されている.原則として1長期透析が行われている末期腎障害患者,2非透析患者でGFRが30 mL/min/1.73 m 2未満の慢性腎不全患者, 3急性腎不全などの腎機能低下患者では,非造影MRAを含めた他の検査法で代替すべきである86, 87).

2.4 US

USは簡便で利便性の高い非侵襲的な検査法である.断層法にて血管の走行を同定し,血管径,瘤の有無,石灰化などのプラークの性状を評価する.カラードプラ法,パルスドプラ法にて狭窄・閉塞の評価を行う.欠点としては施行者の技量に依存すること,下腿動脈の詳細な全体像は把握が困難であること,などがあげられる88).バイパス術後やEVT後のサーベイランスにも広く使用されている. LEADにおけるduplex USの診断能を検討したメタアナリシスにおいては,感度88%,特異度96%と報告されている89).