p.15 抽出テキスト
塞,1.40より高値では動脈の高度石灰化の存在が疑われる24, 45, 55, 56).有意な変化は,複数の測定精度調査からの2標準偏差(2 SD)値に相当する0.15以上の変動,あるいはABI以外のパラメーターと合わせて判断する場合には0.10以上の変動とされている57).ACCF/AHAガイドラインでは,脳心血管イベントの予測指標としての意味が加味され,標準値は1.00~1.40で,0.91~0.99はボーダーラインとされた56). 日本やアジアで汎用されているオシロメトリック法による4カフ式ABI測定装置では,同時に容積脈波図(pulse volume recording: PVR)が記録される.閉塞性病変より末梢側では波形が平坦化し,基線より上の脈波面積を底辺上で均したときの高さを振幅で除した値(% mean artery pressure: %MAP)は高値になる.また,脈波の立ち上がりからピークに達するまでの時間(upstroke time: UT)が延長する.UTは大動脈弁狭窄症や心拍数などの影響を受ける.血圧やABI値が良好に検出されたかをPVRと振動信号も確認して判読する(図2) (血管機能の非侵襲的評価法に関するガイドライン II章1.3測定の実際,1.4測定結果の解釈を参照57).オシロメトリック法では低い血圧が正確に測定できないが,スクリーニングに便利である46, 47, 50).間歇性跛行や安静時痛といった病歴,足部動脈触知不良や難治性潰瘍・壊疽,血管雑音聴取といった理学所見からLEADが疑われる患者や,動脈硬化症のリスクを有する患者(第4章「4.2間歇性跛行を呈する慢性下肢動脈閉塞」図4 LEAD診断のアルゴリズムを参照)に対してスクリーニング目的で行われる. a. 歩行負荷試験 間歇性跛行の重症度評価には,歩行距離(無症状歩行距離,最大歩行距離)の測定とともに43, 44),トレッドミル歩行による運動負荷後のABI回復時間の測定が有用である35, 58, 59).運動負荷ABI測定は,神経性跛行と血行性跛行の鑑別診断にも有用である.(第4章「4.2.1 病態生理,診断」を参照) 1.1.3 足趾血圧(toe pressure: TP)と 足趾上腕血圧比(TBI) 足趾レベルの動脈は足関節レベルに比べ高度石灰化が少ない.そのため腎不全や糖尿病の患者のようにAPが正確に測定できない場合には,足趾血圧測定が有用である39, 56).ただし寒冷などによって血管が収縮しやすいため,安静状態で保温した後に測定する.TP 60 mmHg未満は虚血と考えられる52, 54).TBIの虚血肢診断のためのカットオフ値は,0.6~0.7前後とされる39, 53, 57, 60). 1.2 近赤外分光法 (near infrared spectroscopy: NIRS) 近赤外光のもつ組織透過性を利用して組織内のオキシヘモグロビンやデオキシヘモグロビンの経時的変化を測定する.生体の酸素化状態を無侵襲に,簡便かつ連続的に直接モニターできる.定量化にはまだ解決すべき問題があるが,虚血の評価や61, 62),間歇性跛行の重症度評価あるいは治療効果の判定に用いられる.トレッドミル歩行を行うと虚血のある筋内ではオキシヘモグロビンは減少し,デオキシヘモグロビンは逆に増加する.歩行終了後に再び両者が交差するまでの時間を回復時間として評価する63). 1.3 皮膚血流 1.3.1 経皮酸素分圧(tcPO2) 皮膚を加温し,充血状態における酸素分圧を経皮的に測定する.駆血負荷や酸素負荷,運動負荷なども用いられる.安静時60 mmHg未満は虚血,30 mmHg未満は重症虚血と考えられる23, 52).安静時のtcPO2は年齢とともに低下するとの報告がある64).CLTIにおける潰瘍治癒の可能性の評価や肢切断部位の決定のほか,治療効果の判定にも有用である40, 52, 54, 56, 65). 1.3.2 皮膚灌流圧(SPP) 目的部位にレーザードプラセンサーとカフを装着し,皮膚表面から約1 mmの深さの灌流圧を測定する.虚血の診断56)とともに,虚血性潰瘍や切断端における治癒の可能性の評価にも有用である66, 67).一般に,SPPが30~40 mmHg未満では創傷治癒の可能性は低いとされる65, 67-70).測定値の信憑性を測定画面で確認する. 1.4 サーモグラフィー 人体から出る赤外線を受動的に検出し,体表面を二次元温度分布として画像に表現する.皮膚の温度低下が色調で表示される.両側の虚血であれば診断的価値は低いが,薬物療法の効果をみる際には短時間の経時的変化の観察が可能である.Raynaud現象の診断における冷水負荷試験にも用いられる.