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本ガイドラインは,末梢動脈疾患について,上下肢,腹部内臓や頸動脈などを含む広範囲の閉塞性動脈疾患について診療指針を記述しておりますが,末梢動脈疾患の検査や治療を受けられる患者さんやそのご家族にも病気のことをよく知っていただく必要があると考え,今回の改訂版から本章を設けました.末梢動脈疾患のなかで,患者数が多く,近年特に増え続けている動脈硬化性の慢性下肢動脈閉塞について,全部で12問の設問を設けて,診断や治療について情報を提供させていただきます.この章を通じて,末梢動脈疾患が広く国民に認知され,それによって重症例が減少する一助となることを願っております. 下肢閉塞性動脈硬化症とは,どんな病気ですか? 各臓器が十分に働くためには,酸素や栄養が必要です.動脈はこれらを全身に運ぶ血管です.動脈は,高血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙・加齢などの危険因子により動脈硬化を呈します.動脈硬化の進行は,動脈の柔軟性を失い,内腔の狭小化を生じます.内腔が50%以上狭くなるとその先の各臓器への血流が低下して機能が十分発揮できなくなります.動脈硬化は全身の動脈に生じますが,歩く場合には下肢の筋肉では安静時に比べて10倍以上の血液が必要となるため,歩行を主とする運動時に動脈狭小化の影響を大きく受けます.脚への血液供給する腹部大動脈より足部に至る動脈に動脈硬化による狭窄が生じた場合,歩行時に脚が痛むなどの症状を生じるために,下肢閉塞性動脈硬化症とよばれます(このガイドラインでは第4章で「慢性下肢動脈閉塞(下肢閉塞性動脈硬化症)」として詳しく記載しています).下肢への血液供給に関与している血管は,腹部大動脈から足先に向かって,腸骨動脈,大腿動脈,膝窩動脈,下腿動脈となります.どの動脈にも閉塞性病変は生じ得ますが,複数の病変を生じると症状は高度になります.しかしこれらの血管が閉塞しても足部への血液供給は,供給量は減るものの側副血行路と称される脇道で行われ,ほとんどの場合閉塞=壊死という状況には陥りません.高速道路が通行止めになった時に,手前のインターチェンジから一般道へ回避する車の流れが増加することを考えると理解しやすいでしょう. 動脈硬化は全身の血管に等しく生じるため,下肢閉塞性動脈硬化症の患者さんに対しては,動脈硬化が原因となる心筋梗塞・狭心症や脳梗塞などについて心臓や脳血管の検査を考慮することになります. 下肢閉塞性動脈硬化症は,どんな人がなりやすいですか? タバコを吸う人,糖尿病がある人,じん臓が悪く透析を受けている人は,下肢閉塞性動脈硬化症になるリスクが高いことが知られています. 下肢閉塞性動脈硬化症は,動脈硬化が原因で,脚(足)の血管が細くなったり詰まったりする病気です(Q1「下肢閉塞性動脈硬化症は,どんな病気ですか?」をご覧ください).したがっ Q1 Q2第20章 市民・患者への情報提供