GL検索 v0.1.0
画像は 12 ページを描画したものです
page 12

p.12 抽出テキスト

第1章 末梢動脈疾患の定義・分類

1 定義

末梢動脈疾患(peripheral arterial disease: PAD)は本来冠動脈以外の末梢動脈に病変が生じる疾患の総称である1).その他の総称としてperipheral artery disease,peripheral vascular disease やperipheral arterial occlusive disease (PAOD)などが文献上使用されており,ESC/ESVSの2017

年ガイドラインでは下肢末梢動脈疾患をlower extremity artery disease(LEAD)と称している2).本ガイドラインでは,冠動脈以外の末梢動脈の狭窄・閉塞性疾患をPADと定義し,下肢閉塞性動脈疾患をLEAD,上肢閉塞性動脈疾患をupper extremity artery disease(UEAD)と表記する. 2 分類

2.1 発症時期による分類(表3)

2.1.1 急性虚血

急性虚血は,側副血行路の発達していない状態で動脈が突然閉塞し,動脈灌流が急速に低下する病態である.血流の改善が認められない場合は臓器不全に至る3).その原因として動脈塞栓症や動脈解離もしくは内膜病変部に生じる動脈血栓症,外傷などが原因となる.発症部位は四肢や腹部内臓動脈を含め多岐にわたる.

慢性虚血症状のある状態で,局所の血栓形成や塞栓により突然増悪して急性虚血症状を呈する場合を「慢性虚血の急性増悪」とし,治療のタイミングや治療方法選択において塞栓症や慢性虚血と異なる場合があることから区別されるべきある4, 5).

表3発症時期によるPAD の分類

病態急性虚血

慢性虚血急性動脈閉塞慢性虛血の急性増悪

主な原因血栓症・塞栓症外傷・解離など既存の動脈病変に生じる血

栓症・塞栓症動脈硬化性病変血栓症・塞栓症

既存の慢性臨床症状なしなし または ありなし または あり既存の重度動脈病変なしありあり

側副血行路乏しいあり(発達程度はさまざま)発達している

主な血行再建法血栓除去*血栓除去血管内治療・バイパス保存的治療血管内治療・バイパス動脈閉塞を,発生する時間的要素によって急性動脈閉塞と慢性動脈閉塞に分類し,慢性虚血の急性増悪を急性虚血に分類している. *病態によっては,血管内治療あるいはバイパス等外科的修復を要する.