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p.119 抽出テキスト

り,大内転筋の後面を走行して膝窩動脈となるが,その遺残状態は患者によって異なる.PSAが膝窩動脈と連続していて下腿への主な血行路となっているものを完全型,PSAが膝窩動脈と連続せずに細い分枝として遺残し,浅大腿動脈が膝窩動脈と連続しているものを不完全型とするBowerら1136)の分類は,臨床的に簡便な分類として用いられている.いくつかのレビューでは,完全型の発生率は63~ 79%と報告されている1137–1140).また最近では,浅大腿動脈の発達の程度,PSAと膝窩動脈との連続性,動脈瘤併存の有無の3つの項目に着目した新たな分類も提案されている1141).

3 診断

多くは無症状であるが,大腿動脈拍動が減弱または消失しているにもかかわらず,膝窩動脈や足部動脈の拍動を触知する場合にはPSAが疑われる(Cowie’s sign)

1142).PSAは,先天的な弾性線維の低形成や座位をとる際に反復する

鈍的外力の影響から,中年以降に瘤化する頻度が高いとされる.動脈瘤に伴う臨床症状として,臀部の拍動性腫瘤や圧迫による坐骨神経障害もみられるが,瘤の血栓閉塞や末梢への塞栓による下肢虚血症状の報告が多い.特に急性動脈閉塞の診断時には,頻度は低いがPSAの可能性も念頭に置いておくことが重要である.画像検査で内腸骨動脈から膝窩動脈へ連続して走行する異常な血管像を認めた場合にはPSAと診断される(図27).CTA(CT angiography)やMRA(magnetic resonance angiography)は,PSAが走行する骨盤内での周囲組織との位置関係のほか,瘤形成の有無や壁在血栓の程度なども評価できるため,有用である1143).

4 治療

治療は,動脈瘤に対する処置と下肢虚血に対する処置と

3D 画像で内腸骨動脈から膝窩動脈へ連続する動脈を認め,短軸像でそれが骨盤背面を走行する遺残坐骨動脈であることが示されている.図27 遺残坐骨動脈完全型の造影CT 検査所見