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p.118 抽出テキスト

1 病態

胎生期における下肢動脈の発達過程において,本来退化すべき坐骨動脈が残存したものをPSAとよぶ.体長6 mmの胎生初期には,臍帯動脈の背側rootから軸動脈(axial artery)が発生し,体長8.5 mmになると軸動脈は下肢の背側を走行してplantar plexusを形成する.この時期

● 大腿動脈の拍動が減弱または消失し,膝窩動脈や

足部動脈の拍動が触知される場合には,遺残坐骨動脈(persistent sciatic artery: PSA)を疑い画像診断を行う. ● 完全型では,臀部や大腿部における動脈瘤の形成

に注意を払う. ● 瘤形成に伴う血栓閉塞や末梢塞栓により下肢虚血

を呈する場合があり,急性動脈閉塞の診断時には,頻度は低いがPSAの可能性も念頭に置く.

ステートメントに軸動脈起始部の中枢側で外腸骨動脈が発生し,体長12

mmになると下腹壁動脈と大腿動脈になる.大腿動脈は伏在神経の内側を走行して外側枝と内側枝を分枝し,体長14 mmになると外側枝が軸動脈と結合する.この結合部の末梢で軸動脈は分岐して下腿の貫通枝(ramus perforans cruris)を生じる.このようにして軸動脈は3つの部分に分けられ,中枢側は坐骨動脈,中央部は膝窩動脈の一部(deep popliteal artery),末梢側は腓骨動脈の一部(interosseal artery)になる.その後,軸動脈は退化して細くなるが大腿動脈は発達して太くなり,体長22 mmになると,軸動脈と大腿動脈との交通が途切れて下腿への血流は大腿動脈のみになり,坐骨動脈は退化して一部は下臀動脈として残存する1133).この発生・発達の過程で異常が生じると坐骨動脈が遺残する1134).

2 頻度と分類

PSAはまれで0.025~0.05%程度とされ,約20%で両側性に見られる1135).PSAは内腸骨動脈から内陰部動脈を分枝した後,梨状筋の下で大坐骨孔を通って大臀筋の下に至

第19章 遺残坐骨動脈

ない場合に適応となる.術中は総腓骨神経麻痺をきたさないように開創器や鈎による不用意な圧迫を避ける.V型では,保存的治療では下肢腫脹が軽快しない場合に適応となる.筋切離ないしは可及的切除後,術中血管撮影検査あるいはUSを行い,他動的背屈で膝窩動・静脈の圧迫の解除を確認する.

5.2 自家静脈置換術

狭窄や狭窄後拡張,動脈瘤形成をきたしている患者では,異常筋腹や線維束による圧迫を解除し瘤状変化をきたした動脈を切除する.再建経路は原則として従来の動脈の走行と同様とし,病変部を切除し端々吻合するか自家静脈

で置換する.

5.3 バイパス術

閉塞がほぼ膝窩動脈全長に及ぶほど広範な場合に選択する.このような病変は,EVTや血栓内膜摘除術後の再発例などでみられる.自家静脈を用いて,閉塞部分の中枢側から末梢側までをバイパスする.閉塞長が長く,筋束切離を行わないバイパス術の場合は内側アプローチが選択される1111).