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表71 膝窩動脈捕捉症候群の管理の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 間歇性跛行を呈する若年患者やスポーツ選手には,膝窩動脈捕捉症候群を念頭において画像診断を考慮する1107-1114). IIa C有症状の患者には病型に応じた外科的治療を考慮する1109, 1111, 1112, 1113-1117). IIa C EVT は行うべきではない1110-1112). III Harm C 1 病態 膝窩動静脈は膝窩部で腓腹筋間を通過するが,時に腓腹筋の付着異常や異常筋,線維束によって偏位し,これらによって膝窩動静脈が捕捉あるいは圧迫される.下肢の運動による膝窩動脈のある程度の圧迫所見は一般人口の30 ~50%に見られるとの報告もあるが1107),膝窩動脈捕捉症候群(popliteal artery entrapment syndrome: PAES)は,膝窩部の解剖学的異常による捕捉の繰り返しによって,膝窩動脈に内皮傷害が生じ,最終的には閉塞して下肢の虚血性障害を引き起こす疾患である1107, 1118).脛骨神経の圧迫による症状を伴うこともある.膝窩静脈も捕捉される場合があり,異常筋腹か過剰筋によって圧迫され静脈うっ滞から下腿腫脹をきたし,さらに進行すると弁不全や静脈血栓症にいたる1119, 1120).無症候性患者における静脈圧迫の頻度は超音波検査(US)では25~100% 1108, 1121),MRI(magnetic resonance imaging)では37.5%とされている1122, 1123).膝窩動脈単独の捕捉は筋の起始異常や動脈走行によってI ~ IV型に分類され,膝窩静脈の捕捉を伴うものはV型に分 ● 若年者やスポーツ選手に間歇性跛行が生じた場合 には膝窩動脈捕捉症候群を念頭に置く. ステートメント類される(図25) 1114).文献的にはType IIが多い傾向にあ り1109, 1110, 1124),わが国での35肢の報告によると,40%がType IIであった1111). 2 臨床像 若年男性やスポーツ選手に間歇性跛行が生じた場合には,PAESを疑う.30歳以下で腓腹部痛または足部痛を主訴とする間歇性跛行の40%が本症に起因する.男女比は4:1で,発症は突然である.多くは間歇性跛行で発症するが,安静時痛または潰瘍を10%前後に認める1110).身体所見としては足関節部の脈拍欠如を60%,低下を10%に認め,15%前後では正常に触知するが,足関節の他動的背 第18章 膝窩動脈捕捉症候群 膝窩動脈膝窩動脈 膝窩動脈膝窩静脈 膝窩静脈 膝窩筋 異常繊維束によって圧迫された膝窩動脈 膝窩動脈 腓腹筋内側頭 副腓腹筋腓腹筋内側頭Type I Type III Type II Type IV I 型: 膝窩動脈は腓腹筋内側頭のさらに内側を走行し,同筋より深部を走行する. II 型: I 型と同様の走行異常であるが,腓腹筋内側頭がやや中央寄りに付着するため,膝窩動脈の走行はI 型より中央寄りとなる. III 型: II 型と同様の走行異常であるが,腓腹筋内側頭から分離した副腓腹筋(いわゆる腓腹筋第3 頭)によって圧排される. IV 型: 膝窩動脈は通常よりやや内側を走行し,膝窩筋または異常繊維束同筋によって圧迫される. V 型:I~IV 型に膝窩静脈の捕捉を伴う.図25 膝窩動脈捕捉症候群の分類(Levien LJ, et al. 1999 1114)より引用) Copyright (1999) Society for Vascular Surgery and International Society for Cardiovascular Surgery, North American Chapter., with permission from Elsevier.