p.114 抽出テキスト
表70 膝窩動脈外膜嚢腫の管理の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 間歇性跛行を呈する若年~中年の患者では,膝窩動脈外膜嚢腫を念頭において画像診断を考慮する1085-1087). IIa C穿刺吸引療法・EVT は再発率が高いため行うべきではない1086-1090). III Harm C 1 病態 外膜嚢腫は,動脈外膜と中膜の間にコロイド様物質(嚢腫)が貯留(図23)して動脈内腔の狭窄もしくは閉塞をきたし,下肢に虚血症状が生じる病態であり,膝窩動脈に好発する非動脈硬化性の比較的まれな疾患である.嚢腫の ● 下肢の虚血症状を呈する動脈硬化リスクのない若 年~中年の患者では膝窩動脈外膜嚢腫を念頭に置く. ステートメント発生原因に関してはいまだ定説に至っていない.比較的若 年の男性に好発し,大部分が間歇性跛行にて発症する.症状が急速に進行することがある一方で,突然自然消失することもあるなど,症状の消長を認めることが特徴である1085, 1091). 2 診断 間歇性跛行を主訴として受診した若年~中年の患者では本症を念頭におく.間歇性跛行を呈する膝窩動脈病変には,他に閉塞性動脈硬化症,バージャー病,膝窩動脈捕捉症候群,膝窩動脈瘤の閉塞,塞栓症による膝窩動脈閉塞などがあげられる.身体所見としては,膝関節の屈曲によって病変部の血管圧排が増強し下肢末梢動脈の拍動が消失する“石川のサイン(Ishikawa’s sign)”が知られている1092, 1093).CT(computed tomography)では膝窩動脈またはその近傍に嚢腫性病変が認められ,きわめて有用である(図24左).血管造影では砂時計様狭窄,三日月様の緩やかな狭窄を呈し,動脈硬化性病変は認めないとされているが,狭窄が軽度の場合には明らかな狭窄像を示さず,造影剤が薄くなるだけの所見となる(図24右).また,膝関節の過屈曲位において膝窩動脈がM字に屈曲するのも特徴 第17章 膝窩動脈外膜嚢腫 左: 診断目的に嚢腫壁に小切開を加えて嚢腫を圧排すると,粘稠度の高いゼリー状の内容物が排出.右:嚢腫壁を切開したところ.図23 膝窩動脈外膜嚢腫(術中所見)右: 血管造影では左膝窩動脈に有意な狭窄像はないものの,造影剤 が薄く見える所見を認める.左:造影CTでは,膝窩動脈に嚢腫性病変が認められた.図24 膝窩動脈外膜嚢腫の画像所見