p.107 抽出テキスト
表67 糖尿病性足病変の管理の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 糖尿病性足病変では,虚血の有無を判定する23, 1037, 1038). I B糖尿病を有するCLTI 患者では,可能であれば末梢血行再建術を行う23, 1037-1039). I B神経障害や血流障害を認めるハイリスク患者には,予防的フットケアを行うことを考慮する1038). IIa C 1 実態 糖尿病患者の三大合併症(神経障害,網膜症,腎症)のうち,神経障害は最も頻度が高く約半数に認められる1040).欧米では糖尿病患者が障害で足潰瘍を起こす可能性は25%であり,その半数以上が感染し,そのうち20~65%は骨髄炎に進行する1041).また,下肢の軟部組織・骨感染を生じる確率は健常人の10倍高いことが知られている1042).わが国の厚生労働省健康局が行った平成14年度の糖尿病実態調査報告では,足潰瘍は他の合併症(腎症,神経障害,網膜症)より発症年齢は遅いが,70歳以上の患者では約3%に認められている1043). 2 糖尿病性末梢神経障害の概要 糖尿病性末梢神経障害は足潰瘍を生じる最も危険な病因であり,両側性対称性である1044).自律神経,知覚神経,運動神経すべてが障害され,創傷発症と創傷治癒遅延の 原因となる. 自律神経障害による発汗減少が足底の乾燥と亀裂の原因となる.また,足の動静脈シャント不全による骨・関節の温度上昇を招き,同組織の脆弱性からCharcot関節症の原因となり,その結果足底圧の分布異常へと繋がる.知覚神経障害では,胼胝や鶏眼の放置から創傷発症の原因となるばかりか,低温熱傷や軽微な外傷を来たしやすくなる.運動神経障害では足部の内在筋萎縮によるclaw/hammer toeを来たすことで,靴擦れを起こしやすくなり,足趾運動障害による趾間不衛生から足白癬を助長するため細菌感染の土壌を作る. 3 糖尿病性足潰瘍の分類 糖尿病性足潰瘍の分類は,Wagner分類1045)やTexas大学の創傷分類1037),包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)ではWIfI分類23),さらに感染の重症度についてはIWGDF/ IDSAの分類1046)が有名であるが,複雑で治療に直接結び付きにくく,肥満を伴う欧米の糖尿病患者向けである.欧米にある足病医(podiatrist)が存在せず,糖尿病性足潰瘍に対する後進国である日本において,より簡潔で治療へのアルゴリズムがわかり易い分類として提唱されたのが神戸分類1039)である.神戸分類は糖尿病性足潰瘍を生じる三つの病因である,1末梢神経障害(PN),2末梢血管障害(LEAD),3感染症に着目して足潰瘍の病態を4つのカテゴリーに分類し,治療の基本方針を掲げている. Type I: PNにより生じる足趾の変形と,知覚障害による 胼胝や靴擦れから生じる潰瘍. Type II: LEAD(lower extremity artery disease)を主病 第14章 糖尿病性足病変 (TTP)と臨床症状は類似するがaPLの検出で鑑別される. 早期診断・治療が重要でステロイドのパルス療法に加え,ヘパリンによる抗凝固療法,血漿交換療法,免疫グロブリ ン静注療法の併用が推奨される1036).