p.105 抽出テキスト
6 治療 禁煙が必要である.症状は禁煙と四肢の保護によってしばしば改善し,喫煙の継続によって増悪する985–991).薬物療法としては,抗血小板薬や血管作動性薬PGE1(alprostadil), PGE1誘導体(limaprost),PGI2誘導体(iloprost)を考慮してよい.PG製剤の非経口投与の有効性は少数の患者に限られる992). 重度の虚血肢に対しては,可能であれば血行再建術を行う.下腿や足部動脈への血行再建術は,禁煙と薬物療法により厳格な患者管理を行えば比較的良好な開存率が得られる987, 988, 993).ただし吻合先として適切な動脈がない,良質な静脈グラフトが得られない,などの理由から困難な場合も多い1012).バイパス術が困難な場合には血管内治療も考慮してよい.しばしば反復治療を要するが,のちに閉塞しても潰瘍治癒と救肢に有効でありうる990, 994–998).間歇性跛行にまで血行再建術の適応を拡大する必要はない.血行再建術の適応のない重度の虚血肢には,内視鏡的交感神経焼灼術などの交感神経遮断手術も考慮してよい999).ただし足関節血圧が60 mmHg未満やABIが0.3未満では効果は期待しづらい1023).筋血流量は増加しないため間歇性跛行には適応がない. 標準的な薬物治療の効果が不十分で血行再建術の施行が困難な場合に対しては,血管新生療法として,肝細胞増殖因子(HGF)をコードする遺伝子治療薬Beperminogene perplasmidが,条件および期限付で承認され,2019年に保険適用となった1024).研究段階の血管新生治療(保険適用外)でも710, 1025–1031),臨床症状の改善が報告されている. これらの治療で改善しない潰瘍や疼痛,広範囲な壊死や荷重がかかる部位の壊死,制御できない感染を伴う場合などでは,肢切断もやむをえない. 7 予後 症状の再発再燃により四肢切断を繰り返す患者は20%程度とされる.60歳を超えれば疾患の再燃による肢切断例はまれである989).生命予後への直接的な影響はなく1003, 1032),日本人においても一般人の生命予後と差はない987, 989).生命予後が著しく不良との米国の報告もあるが,対象に偏りがあるため参考にならない1033).長期的には喫煙に関連する動脈硬化性疾患,悪性腫瘍,慢性閉塞性肺疾患などの合併に注意を払う989). 血管炎あるいは膠原病関連疾患の血管病変は比較的小 ● 一見脈絡のない多彩な症状を呈する発熱患者では 血管炎を疑い,早期にリウマチ膠原病内科の専門医への紹介を考慮する. ● 動脈閉塞に伴う虚血症状に対しては血管画像検査 を積極的に行い,閉塞病変に対する外科的治療も状況により考慮する. ステートメント径の動脈に罹患することが多く,臨床の場では四肢末梢の 潰瘍や壊死の形で直面することも多い.罹患範囲が小さい場合はその時顕在化した虚血部位は小さくなるが,全身性の血管炎の初期症状の場合もある.適切な治療を行わないと生命予後の不良な疾患も含まれ,また治療法も日進月歩なので早期の専門医の介入が必要で,リウマチ膠原病内科の専門医との連携が重要である. 大型ないし中型血管炎のうち,高安動脈炎やバージャー病,ベーチェット病は本ガイドラインで別項目として扱われている.巨細胞性動脈炎や結節性多発動脈炎,小径の 第13章 その他の血管炎