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p.104 抽出テキスト

の検査も併用する.複数肢が罹患していることが多いため,訴えがある肢だけでなく,全肢を評価する.血液検査では通常,CRPや赤血球沈降速度は正常範囲内である.

血管画像検査は診断に重要である.下肢では膝関節より末梢,上肢では肘関節より末梢に必ず病変がある.動脈の閉塞様式は途絶(abrupt occlusion)型,先細り(tapering)型が多く,コルクの栓抜き状(cork screw),樹根状(tree root),橋状(bridge)となった側副血行路の発達が特徴的である(図18)

1019).蛇腹様所見(accordion-like appearance)

を呈することもあり,動脈が柔らかく攣縮しやすいことを意味する.閉塞性動脈硬化症との鑑別は比較的容易であるが,膠原病およびその類縁疾患とは画像のみで鑑別するのはしばしば難しく,他の検査所見と併せて判断する.

5 診断(表65)

世界的に合意された診断基準はなく,さまざまな基準が提唱されている1016, 1017, 1020, 1021).塩野谷の臨床診断基準1017)すなわち「(1)50歳未満の発症,(2)喫煙歴を有する,(3)膝窩動脈以下の閉塞がある(4)上肢の動脈閉塞がある,または遊走性静脈炎の既往がある,(5)喫煙以外に動脈硬化の危険因子を有さない,の5項目を全て満たす」は臨床像としては典型的であるが,病気が進行し症状が出揃った状

態とも言える.臨床で全項目を満たす患者は,塩野谷も30%程度としており1022),わが国で近年新たに本疾患の難病認定を受けた患者では12%であった1000).本疾患として相違ない症状を呈し,血管画像検査などの所見が本疾患の特徴と合致し,他の疾患と鑑別できれば,バージャー病の診断が可能である.膠原病および類縁疾患など他の血管炎を,各疾患の診断マーカーなどの検査で否定する(『血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版)』922)を参照).壮年発症者や喫煙歴が明らかでない患者もあるが,真の発症時期や受動喫煙の有無の厳密な確認は難しい.また近年では高血圧,脂質異常,糖尿病など動脈硬化の危険因子の発現が若齢化している.これらの患者では,他疾患との厳密な鑑別が求められる.

1途絶(abrupt occlusion),2限局性狭窄(localized stenosis), 3虫喰い(moth-eaten), 4不整(irregularity), 5橋状の側副血行路(bridging collaterals),6コルクの栓抜き状の側副血行路(cork screw collaterals),7樹根状の側副血行路(tree root collaterals), 8拡張(dilatation),9早期静脈出現(early venous filling)図18 バージャー病の動脈閉塞と側副血行路の様式(阪口周吉ほか. 1977 1019)より)表65 バージャー病の診断

診断:発症時にA.のうち1項目以上+B.検査所見のうち1を含む2項目以上を満たし,Cの鑑別すべき疾患を除外できる. A. 症状1 四肢の冷感,しびれ感,色調変化,チアノーゼ,レイノー現象2 間歇性跛行3 指趾の安静時疼痛4 指趾の潰瘍,壊死(*項目には含まないが,遊走性静脈炎(皮下静脈の発赤,硬結,疼痛など)およびその既往も主要な症状のひとつである.) B. 画像診断血管画像診断a所見:四肢末梢の動脈bを含む四肢動脈に検出される閉塞性病変.以下の所見がみられる. 1 四肢末梢動脈病変に,動脈硬化性の壁不整がない(虫食い像,石灰化沈着など) 2 多発的分節的閉塞3 二次血栓の延長による慢性閉塞の像4 閉塞が途絶状・先細り状5 コイル状,樹根状,ブリッジ状の側副血行路a:デジタルサブトラクション血管造影法(DSA),CT

angiography,MR angiographyなどb:下肢では膝関節より末梢,上肢では肘関節より末梢の動脈C. 鑑別すべき疾患1.閉塞性動脈硬化症2.外傷性動脈血栓症3.膝窩動脈捕捉症候群4.膝窩動脈外膜嚢腫5.膠原病および類縁疾患6.血管ベーチェット病7.胸郭出口症候群8.塞栓症(心原性など)注釈:女性,喫煙歴が明らかでない患者,50歳代以上の発症者,動脈硬化の危険因子(糖尿病,高血圧,脂質異常症など)を有する患者では,他疾患との鑑別をより厳密に行う.