p.102 抽出テキスト
表62 バージャー病の管理の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 喫煙は病状進行に大きく関わるため,積極的に禁煙指導を行う985-991). I B薬物療法として,抗血小板薬や血管作動性薬PGE1(alprostadil),PGE1 誘導体(limaprost),PGI2 誘導体(iloprost)を考慮してもよい992). IIb B重度の虚血肢に対しては,可能であれば血行再建術を考慮してもよい987, 988, 993). IIb C重度の虚血肢でバイパス術が困難な場合には,血管内治療を考慮してもよい990, 994-998). IIb C血行再建術の適応のない場合には,交感神経遮断手術も考慮してもよい999). IIb C ● 若年喫煙者に好発する四肢末端部を主座とした虚 血性疾患で,ときに静脈炎を伴う. ● 他の血管炎などとの鑑別を含め,適切な診断と治療 法の選択が必要であるため,専門医へ受診させる. ステートメント1 疾患概要 閉塞性血栓血管炎(thromboangiitis obliterans: TAO)ともよぶ.四肢末梢の動脈と静脈に,分節的に炎症性の血栓閉塞を生じる.発症は30~40歳代前後の男性に多く,喫煙との関連が深い.虚血によってしばしば四肢末端部に潰瘍や壊疽を生じ,ときに遊走性/逍遥性静脈炎を伴う.生命予後は良好だが,禁煙できなければ症状が進行する.指趾や肢の切断に至ればQOL(quality of life)が著しく低下することも多い. 2 疫学 わが国での発生頻度は,1970年代後半より急速に減少し, 2010年代前半では人口10万人あたり0.1人程度と推定される1000).2014年の指定難病受給者証保持者数は7,043人である.典型的には若年発症で,ヘビースモーカーの男性に好発するが,壮年期の発症と推定される患者や,受動喫煙を含め喫煙歴が明らかでない患者もある1000).女性の割合も 第12章 バージャー病 (Buerger disease) 動脈閉塞に対するEVTについては,ほとんど報告されていないのが現状である.動脈瘤を含めた動脈病変合併症例でのEVTに関する報告では,再閉塞,アクセス部の仮性動脈瘤形成,ステントグラフト感染などの合併症のリスクが高いとされており,適応を慎重に判断する必要がある969–972). 外科的な血行再建にあたっては,ベーチェット病患者では静脈にも炎症性変化を伴っていることが多いため,感染のリスクが低ければグラフトとしては自家静脈よりも人工血管を選択すべきであるとする報告が多い971, 981, 982, 984).動脈病変を合併する患者の場合,すでに広範囲にわたって動 脈壁が脆弱化していることが多く,術後半年から2年程度の比較的早期に吻合部仮性動脈瘤が形成されることがしばしばある971, 980).また,宿主動脈の内皮細胞障害や凝固線溶系異常に伴い,グラフト閉塞も比較的高頻度に見られる965, 969, 981).術後合併症の予防には,ステロイドや免疫抑制剤の投与が有効である可能性が示唆されている969, 971, 981).術後合併症が致命的となることもあるため,手術適応については慎重な判断が必要である.