p.10 抽出テキスト
冠動脈疾患(CAD) 大動脈拡張性疾患 大動脈閉塞性疾患 上肢閉塞性動脈疾患 (UEAD)頸動脈・椎骨動脈 閉塞性疾患下肢閉塞性動脈疾患 (LEAD)腹部内臓動脈閉塞性疾患末梢動脈拡張性疾患 本ガイドラインで扱う 末梢動脈疾患 (PAD) 図1本ガイドラインで扱う「末梢動脈疾患」 改訂にあたって 「末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン」の初版が2009年に刊行され,2015年に改訂版が発刊され,今回で2回目の改訂を迎えた.この間,末梢動脈疾患(peripheral arterial disease: PAD)の疾病構造の変化とそれに伴う疾患概念の変遷,新たな診断アルゴリズムや分類法の登場,治療デバイスの進歩,患者背景にある生活習慣病管理やその治療薬の進歩など,さまざまな変革があり,この度は大幅な改訂となる. 第3版は,日本循環器学会と日本血管外科学会との合同作成という形をとり,第2版までに参加した日本インターベンショナルラジオロジー学会,日本形成外科学会,日本血管内治療学会,日本血栓止血学会,日本心血管インターベンション治療学会,日本心臓血管外科学会,日本心臓病学会,日本糖尿病学会,日本動脈硬化学会,日本脈管学会,日本老年医学会に加えて,第3版では,日本透析医学会と日本フットケア・足病医学会が新たに加わって,これら参加学会代表者を含めた班員構成を行い,ガイドライン改訂作業が進められた. 本ガイドラインで扱う「末梢動脈疾患」は,初版,第2版と同様,冠動脈以外の末梢動脈である四肢動脈,頸動脈,腹部内臓動脈,腎動脈,および大動脈の閉塞性疾患である(図1).閉塞性動脈疾患の病態は,動脈硬化や血管炎,外傷,解剖学的走行異常,形成異常など原因がさまざまであり,多くの疾患が本稿に含まれるが,拡張性疾患は対象としていない.なお,血管炎については,日本循環器学会で発行している「血管炎症候群の診療ガイドライン」との重複をできるだけ避けるため,本ガイドラインにおける血管炎の章では,主に末梢動脈に関する部分について記述する方針とした.「末梢動脈疾患(PAD)」は広義では上記のような定義で用いられ,狭義では上下肢動脈疾患の呼称として一般に用いられている.しかし,広義のPADを扱う本ガイドラインでは,どちらを指しているのか不明確になるため,第3版では,下肢閉塞性動脈疾患についてはlower extremity artery disease(LEAD)と称し,上肢閉塞性動脈疾患についてはupper extremity artery disease(UEAD)と称することとした.LEADを生じる原因疾患・病態はさまざまであるが,その中でも大部分を占めるアテローム硬化性の末梢 動脈疾患を動脈硬化性LEADと表現することとした.動脈硬化性 LEADは,従来からわが国で用いられてきた下肢閉塞性動脈硬化症(下肢arteriosclerosis obliterans:下肢ASO)と同義である. 第3版における主な改訂点は,第一に,第20章として「市民・患者への情報提供」の章を設けたことである. PADは,冠動脈疾患や脳血管疾患に比べてはるかに国民の認知度が低く,そのため,発症しても血管の病気であると認識できず,診断に時間を要することも多く,認知度の低さゆえ,予防や早期発見が遅れている.そのため,啓発を目的として,この度の改訂でPAD特に生活習慣病に伴うLEADを中心に概説した. 第二に,各章あるいは各節の冒頭で,その章で診療の基本となるエッセンスを「ステートメント」として紹介し,読者にわかりやすいガイドラインを目指している. 第三に,第2版発行時から大きな変化があった分野について,特に,各疾患における血管内治療の役割の拡大,新たに進歩・普及した抗血栓薬や糖尿病治療薬・脂質異常