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p.98 抽出テキスト

先天性心疾患,心臓大血管の構造的疾患(structural heart disease)に対するカテーテル治療のガイドライン

れている.Cardioband以外のデバイスは,Trialignシステム,Tricinchデバイスなどが臨床応用されている764, 765).

経カテーテル三尖弁尖修復術では,MitraClip ®システムやMitraClip ®と同様の機構で弁尖を把持するデバイスであるPASCALシステムが用いられる.MitraClip ®システムを用いた経カテーテル三尖弁尖修復術については, TRILUMINATE studyによって治療の安全性・有効性が確認されている766).TRILUMINATE studyでは,欧米の21施設において心不全症状を伴う三尖弁閉鎖不全(中等度以上)を有する85症例(平均78歳,女性56例)を対象として行われた.三尖弁閉鎖不全治療用に改変されたMitraClip ®(TriClip)を用いて治療を行ったところ,術後30日の段階で86%の症例で三尖弁閉鎖不全が有意に減少し,心不全症状の改善も認められた.三尖弁閉鎖不全や心不全症状の改善は術後6ヵ月時点でも持続していた.周術期死亡症例や緊急開胸手術を要する症例は認められなかった.術後6ヵ月時点での死亡率は5%であった.

三尖弁閉鎖不全に対する経カテーテル治療は,経カテーテル弁膜症治療の分野では,もっとも新しく,数多くの臨床研究が活発に行われている.

わが国においては,左心系手術時に三尖弁閉鎖不全を合併した場合の外科的介入は積極的に行われているものの,三尖弁閉鎖不全に対する単独の外科的治療は限定的にしか施行されていない14).単独三尖弁手術は術後成績が不良であるとの報告もあることから756, 768, 769),三尖弁単独に治療介入を必要とする手術高リスク症例に対する経カテーテル治療は大いに期待される.また,大動脈弁狭窄や僧帽弁閉鎖不全に対して経カテーテル治療を行う症例においても,三尖弁閉鎖不全の合併は予後を悪化させるとの報告もあることから769-771),左心系の弁膜症に対する経カテーテル治療を行う症例における,三尖弁への経カテーテル治療の役割についても,今後十分な検討を要する.薬物治療と比較して,経カテーテル三尖弁閉鎖不全治療が予後を改善するとのエビデンスも登場しつつあり772),この領域のさらなる発展が期待される.

4.6.2 今後の展望ステントグラフトは,1991 年に腹部大動脈瘤に対して

Parodi らの論文により世界的注目を浴びた773).わが国では,1993年に加藤らが大動脈解離に対してステントグラフト治療を行い,胸部大動脈疾患を中心にステントグラフト治療が行われるようになった.さらに2007年4月に企業製造の腹部用ステントグラフトが,2008年3月に企業製造の胸部用ステントグラフトが薬事承認・保険収載され,急速に普及した.また,欧米と比較してアジアでは発生率が3倍高いとされている大動脈解離に対しても,わが国独自の試みがなされており,独自のデータも輩出している774-776).

しかし,わが国では,「特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項」777)において,「腹部大動脈用ステントグラフトは腹部大動脈瘤に対して外科手術が第一選択とならない患者で,かつ,当該材料の解剖学的適応を満たす患者に対して,ステントグラフト内挿術が行われた場合にのみ算定できる」「胸部大動脈用ステントグラフトは,1回の手術に対し1個を限度として算定できる.なお,以下の場合には1回の手術に対して2個を限度として算定して差し支えない」とされ,保険医療材料としての制限がある.本ガイドラインにおいては,これらに縛られず,医学的見地により,わが国ならびに欧米でのエビデンスを反映させた.

また,7学会合同研究班による「大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2011年改訂版)」778)には,血管内治療での治療推奨が詳細に記載されている.2011年以降,検査,治療方法,成績に関しては大きな変化はないため,上記ガイドラインを参照していただきたい.本ガイドラインでは,2011年以降に変更のあった血管内治療の適応について,解剖学的適応,病態的適応,治療におけるシステムからの適応に分けて評価を行った.

なお,診断・治療法の推奨基準とエビデンスは ACCF/ AHAガイドライン779)に準じて分類を用いた.

ステントグラフトを用いた治療では,解剖学的部位によりその適応は著しく変化する.そのため解剖学的部位によりその適応を判断した.ただし,現時点でのデバイスの使用適応を満たしたうえでのガイドラインであり,デバイス

5 後天性大血管疾患

5.1 大動脈疾患に対するステントグラフト治療

5.1.1 解剖学的適応(表78)