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p.84 抽出テキスト

先天性心疾患,心臓大血管の構造的疾患(structural heart disease)に対するカテーテル治療のガイドライン

所見,心エコー所見などで手技完了の可否を決める.・止血と術後管理

大径のバルーンカテーテル,シースを用いた場合は血管の損傷に注意し,必要であれば躊躇せずに外科的処置を行う.術後は心血管集中治療室にて厳重に管理すべきである.通常の血液検査とともに胸部X線,心電図を定期的にフォローし,早期に心エコー図で新たな合併症発生の有無と治療効果を確認する. ii. 逆行性PTAVの合併症と対策

1 血行動態破綻: 左室破裂,大動脈弁輪破裂,SOV破

裂,心タンポナーデ,suicide ventricleがそれぞれ1 ~2%の頻度で起こる.迅速な心嚢ドレナージ, PCPSによる循環管理,開心術への移行などを要する. 2 重症大動脈弁逆流: 弁尖の閉鎖不良となり1~2%に

出現.弁置換を要する.弁尖の一部がバルーン拡張により固定されてしまうstuck leafletが原因の場合は,ピッグテールカテーテルで弁尖を動かすことにより改善することがあると言われている.TAVIのバックアップがあれば,速やかにTAVI弁を入れることで解決することが多い. 3 肺水腫・左心不全・低心拍出量症候群: 昇圧薬,容量

負荷など循環呼吸管理に先を見越しての対応が必要. 4 重症不整脈: 心室細動,心室頻拍,完全房室ブロック

には,除細動,一時ペーシング,デバイス,薬物で対応. 5 脳塞栓・脳梗塞: 1~3%程度に発生する.脳動脈狭

窄例の遷延低血圧なども成因となる. 6 血管合併症: 大腿動脈,腸骨動脈などに病変のある例

が多く,術前に評価をして回避すること. iii. 逆行性PTAVの実施施設・チームならびに術者として推奨される事項

安全で有効な治療の実施には,熟練した術者のみならず,臨床所見の総合的評価に秀でた循環器内科医,弁膜症とPTAV・外科手術を熟知した心エコー診断医,多数例の大動脈弁手術の実施経験がある心臓外科医,ならびに放射線技師,看護師などのハートチームが,高いリスクを有する患者への対応に重要である.表72にこれまでの報告と全国的に高齢者ASが増加している現状を考慮して,実施施設ならびに実施術者の推奨事項を示した. c. 順行性PTAV

順行性大動脈弁バルーン形成術(antegrade PTAV)による順行性アプローチも,弁置換術やTAVIに先立つブリッジ治療か,もしくはそれらが不可能な患者に対する症候寛解治療としての役割が主体である点においては逆行性アプローチと相違はない.しかし,順行性アプローチの特長を活用すると,適切な条件下においては独自の治療効果を期

待することができる. i. 術式と特長698, 699)

順行性アプローチで用いるワイヤの経路は,下肢大腿静脈(14 Frシース)を起点として,下大静脈から右房に進み,経心房中隔的に左房に入った後は左室内に挿入される.左室で反転されて大動脈弁を通過したあとは,順行性に大動脈を進んで最終的に下行大動脈に至る.下行大動脈のワイヤ遠位部は経動脈的(最小4 Frシースが必要)に留置されたスネアカテーテルにより捕捉固定されて,安定したワイヤループの形状を保持するようにする.動脈シースの留置部位については上肢下肢を問うことなく,重症下肢閉塞性動脈硬化症や大動脈病変を有する患者に対しても施術が可能である.さらに,動脈アクセスに余裕があることから,血行動態不安定例に対応して大動脈内バルーンパンピング(IABP)を追加することも可能である700).

作成されたワイヤループを用いて,バルーンカテーテルを静脈側から経心房中隔的に順行性に大動脈弁位に進めて拡張術を行う.

塞栓の原因となるプラークは,大動脈壁と弁膜大動脈側に存在しているため,順行性のデバイス操作においては塞栓原となる大動脈側プラークを擦過するリスクは小さい.

14 Fr静脈シースを介して,イノウエバルーンを経静脈的・順行性に大動脈弁位に導入することが可能である.同バルーンの特長として,独自の拡張パターンにより確実なバルーン形成効果が得られること,迅速な拡張弛緩サイクルにより血行動態への干渉が少ないこと,一本のバルーンで幅広い拡張径を選択できること,そして,耐久性に優れており多数回の拡張を行うことができることなどがあげら

表72 逆行性PTAV の実施施設と術者に関する推奨

実施施設1. 日本心血管インターベンション治療学会教育研修施設・研修関連施設. 2. 心臓血管外科専門医基幹施設. 3. 大動脈弁疾患治療への内科医・外科医・心エコー診断医らによるハートチームを構成した治療の実施. 4. 外科的大動脈弁置換術の日常での実施と緊急心血管手術の体制. 5. 心エコー診断医による経食道心エコー実施,年間100例以上. 6. PTAVの毎年の実施術者条件を満たす術者が常勤の施設.実施術者1. 日本心血管インターベンション治療学会認定医・専門医または名誉専門医. 2. PTAVの経験が計10例以上,または最近3年間で5例以上. 3. 1~2 を満たす術者を助手とした指導下で,1 を満たす術者が実施.