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p.81 抽出テキスト

議論の余地がある.

またバルーン拡張型人工弁では,oversizing rateが小さいまたは負の値になる場合には,デリバリーバルーンの規定のボリュームから数mL多く使用して拡張を行うoverfillingもしばしば行われる673, 679-682).Overfillingを行うことにより人工弁ステントを大きく広げることができる679, 681).

SAPIEN 3は術後の冠動脈アクセスを考慮した構造をとっている.すなわち,ステント長が短いために留置の高さによってはSAPIEN 3よりも高い位置から直接冠動脈にアクセスすることが可能である.SAPIEN 3が高く留置された場合においても,大動脈側のストラットは大きくデザインされており,カテーテルの通過を容易にしている.ただし,SAPIEN 3の交連部となる部位は人工弁の弁尖構造に覆われカテーテル挿入が困難となる可能性がある683). ii. コアバルブEvolutシリーズ

コアバルブEvolutシリーズは,ニチノール性形状記憶合金フレームによる自己拡張型人工弁である.生体弁にはブタ心のう膜が用いられている.弁輪より上部に弁尖が位置するようにデザインされるスープラアニュラーポジションによって,弁口面積を大きく確保し,さらに円形状に弁が機能するように設計されている.わが国で,第一世代のコアバルブが使用開始となったのは2015年だが,2016年には改良型のEvolutシリーズが登場した.これは,デリバリーシステムの改良によって人工弁が均一に展開されるセルフセンターリングや,至適留置位置を達成するために留置のやり直しを行うリキャプチャー,リポジション機能が加わり留置手技が容易になった.さらに最新のEvolut PRO+においては,ブタ心のう膜のアウタースカートを追加することによるPVLの軽減を図りつつ,最小14 Fr相当のロープロファイルを実現している.

コアバルブEvolutシリーズの長所として,自己拡張であるために,留置においては大動脈弁基部損傷のリスクがないということがあげられる.また,留置の際にrapid pacingは不要である.さらには,有効弁口面積が大きくとれることが人工弁選択において重要な点である.短所としては,前述のとおりペースメーカー率がSAPIENシリーズよりも多いということがあげられる.房室伝導障害は膜性中隔長に起因するという報告から,より高い留置位置をめざすことでこれを回避することが可能である670, 671).しかし,自己拡張とスープラアニュラーデザインを併せもつEvolutシリーズにとって,高すぎる留置位置は冠動脈閉塞リスクが生じるため,とくにSTJ高が低く,STJ径が小さい症例に対しては房室伝導障害と冠動脈閉塞リスクのバランスをとった留置位置に注意する必要がある624, 625).

また,自己拡張能によって慢性期の冠動脈閉塞率がバルーン拡張型人工弁に比べて高いため注意を要する621).さらに

は,プラットフォームが縦に長く,ストラットが小さいこと,スープラアニュラーポジションであることにより,コロナリーアクセスが容易ではない場合がある684, 685). e. 機能不全に陥った外科生体弁へのTAVI(TAV-in- SAV)

外科的に置換された人工弁が機能不全をきたした際に, TAVIを応用した経カテーテル的人工弁植込み術(TAV-in- SAV)の有用性が示されている686, 687).わが国では2018年7月に自己拡張弁であるEvolut R,2020年1月にバルーン拡張弁であるSAPIEN 3がそれぞれ保険適用となった.「2020年改訂版弁膜症治療のガイドライン」では,手術リスクの高い,有症候性の重症大動脈弁位人工弁狭窄症または重症大動脈弁位経弁逆流に対して,TAV in SAVが推奨されている(クラスIIa,レベルC) 3).

人工弁機能不全の重症度評価については,Valve-in-Valve registry,EAPCI/ESC/EACTSが定義を提唱しており688),これらをもとに治療適応を決定されたい.また,劣化したTAVI弁に対するTAVI(TAV-in-TAV)は,現状のところわが国においては保険適用となっていない.

術前に重度のpatient-prosthesis mismatch(PPM)をきたしている症例や,外科的人工弁のサイズが小さい症例については,早期・長期ともに成績が不良と報告されている687, 689, 690).外科的人工弁は,その種類によりラベルサイズと内径とがそれぞれ異なるため,術前に各人工弁メーカーに確認するほか691), CTを用いて正確に評価する必要がある.現状として, Evolutシリーズにおいては外科弁の内径が17 mm以上, SAPIEN 3においては16.5 mm以上を推奨としていることも留意されたい.TAV-in-SAVの有効弁口面積が外科弁のフレームに制限されてしまうという問題点を解決するため,最近の外科生体弁にはフレームが拡張する機能をもつものが採用されているが,拡張によるデバイス選択が複雑になる可能性がある.

また,TAV-in-SAV時の冠動脈閉塞のリスクは通常のTAVIと比較して高いとされ,注意が必要である620, 621).外巻き外科弁692),ステントレス生体弁は,TAV in SAVによる冠動脈閉塞リスクが高いとされる693).TAVI弁留置による仮想円から冠動脈入口部までの距離(virtual transcatheter valve to coronary ostium distance: VTC)が4 mm未満では,冠動脈閉塞のリスクが高いとされており,そのような症例に対しては冠動脈ステント留置を要したり,最近ではBASILICAといった手法も報告され,その評価が期待される694, 695). f. まとめ

TAVIのデバイスの進歩は目覚ましい。今後さらに改良され,新しいエビデンスが発信されその適応も拡大することが