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先天性心疾患,心臓大血管の構造的疾患(structural heart disease)に対するカテーテル治療のガイドライン vii. Horizontal aorta 大動脈と左室がなす角度が大きく,水平方向に寝ているような形態の大動脈はhorizontal aortaとよばれる.大動脈と左室がなす角度は大動脈弁と冠状断における水平軸が形成する角(aortic angulation)で代用され,TAVI術前のCTを用いて計測される.Horizontal aortaの明確な定義はない.過去の研究では,Aortic angulationの平均値である48度を比較のためのカットオフ値として用いている657, 658).なお,自己拡張型人工弁のPivotal trialでは,aortic angulationが70度以上の症例は研究から除外されている659, 660).Horizontal aortaの症例では,デバイスが大動脈弁に対してCoaxialになりづらいため,trans-femoralアプローチでは,手技が困難であると考えられている(図14f).とくにhorizontal aortaの症例では,自己拡張型人工弁はバルーン拡張型人工弁に比較して,留置が難しいと考えられているが657),最近の報告ではバルーン拡張型人工弁と手技成功に差がないとされている661). horizontal aortaの症例では,いずれのデバイスを使用する場合にも,デバイス留置に注意を払う必要がある.なお,transapicalアプローチでは,horizontal aortaは手技上の問題にはならない. viii. 左室 経心尖アプローチ以外のTAVIでは,人工弁カテーテルを操作するために左室内に剛性の高いスティッフワイヤを留置する必要がある.一般的に大動脈弁狭窄症では,求心性肥大によって左室内腔が狭小化するため(図14e),本操作は注意が必要である.カテーテルからワイヤ先端が出るときや,ワイヤを心筋に強く押し付ける操作などによって,左室穿孔が生じるリスクがある.以前は,ワイヤを現場でシェーピングして先端にカーブを作っていたため,術者間において左室穿孔の発生率にはばらつきがあったが,最近はこれを改善するためにpre-shapedワイヤが多く使用されている. 術前にはあらかじめ拡張期のマルチスライスCTや,エコーによって左室の形態,つまり内腔の狭小化(図14e), horizontal aorta(図14f),sigmoid septumなどの存在とその程度を評価することが求められる.また,左室内血栓は禁忌となる(図14g). ix. 房室伝導障害 TAVI後の房室伝導障害による新規ペースメーカ植込みについては,現在においても一定数で生じている.遠隔期死亡率には差を認めないものの,再入院率に影響するといった報告もあり,TAVIの残された課題の一つである662).術後ペースメーカの危険因子は,患者背景因子としては右脚ブロック, 1度房室ブロックがあげられる663-665).手技関連因子としては,デバイス留置深度,デバイスのオーバーサイズ率,後拡張があげられる666-668).CorevalveシリーズがSAPIENシリーズよりもおおむね多い637, 638, 664-669).最近では,His束が膜性中隔 と筋性中隔のあいだから左側に出るという解剖学的特徴から,膜性中隔が短いほど房室伝導障害が起きやすいとされ注目されている670, 671) . 術後管理では,術前に右脚ブロックを認めず術中に心電図変化を認めないものは,術後24時間もしくは一晩のモニター監視を行うことで,一時的ペースメーカ抜去が可能である.術前に右脚ブロックや一度房室ブロックを認める症例,または術中に心電図変化があった症例に対しては少なくとも一晩の一時的ペースメーカ管理を行い,その後に高度房室ブロックもしくは完全房室ブロックが残るものは永久式ペースメーカの適応となる672). d. 各種の人工心臓弁i. SAPIEN 3 SAPIEN 3は第三世代バルーン拡張型人工弁である.生体弁にはウシの心のう膜が用いられている.フレームはコバルトニッケルクロム製であり,前代のSAPIEN XTに比べてステントフレームの改良がされており,拡張留置後の形態が柔軟性に富んでいる673).また,ポリエチレンテフレタレート(PET)によるアウタースカート構造によって,PVLの抑制を図っている.SAPIEN 3の留置に使用されるデリバリーシステムは,カテーテル先端を手動に湾曲させる構造となっており,蛇行血管への通過性が高い.イントロデューサーシースは20 mm,23 mm,26 mmサイズが14 Fr,29 mmサイズは16 Frであり,機器が通過する際,一時的にその直径が拡大するエクスパンダブル構造となっている. バルーン拡張型人工弁であるために,留置時はrapid pacingを行い,意図する位置への人工弁留置を行う.シンプルさがSAPIEN 3の特徴である.これに加えて,ステントフレーム改良により複雑な大動脈基部形態症例に対応できることが長所である.しかし,バルーン拡張型であるために基部破裂のような組織損傷のリスクを伴う. バルーン拡張において,規定のボリュームを全量注入することが勧められている.しかし,大動脈弁輪破裂や房室伝導障害などの合併症を回避するために,これらの解剖学的高リスク症例に対しては,強く大きく広げすぎない工夫がなされている.具体的な方法としては,ゆっくり拡張を行うslow inflation,後拡張の回避,そして規定のボリュームから数mL少なく注入するunderfillingがあげられる.後拡張を行うかどうかはPVLの程度やLVOTカルシウム,房室伝導障害,有効弁口面積などから複合的に判断する必要がある618, 674-676). Underfillingに関しては,現場では大動脈弁輪破裂回避を期待して行われることが多い677).一方で有効弁口面積が損なわれる懸念もある678).これらに関しては施設や術者間でばらつきがあり,また報告に乏しく,いまだその効果に関しては