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p.79 抽出テキスト

症候性大動脈弁狭窄症は二尖弁であることが多いが,現時点では,若年の二尖弁患者はTAVIにおける低リスクには分類されない.また,二尖弁のなかでも石灰化ラッフェが存在し,かつ大動脈弁複合体に高度の石灰化病変を認める場合には,周術期合併症発生率が高いと報告されている639).図14dのVII,VIIIは,石灰化ラッフェが存在し,かつ大動脈弁複合体に高度石灰化病変を認める高リスクの例である.二尖弁患者に対して新世代のバルーン拡張型人工弁と自己拡張型人工弁の治療成績を比較したレジストリ研究では,バルーン拡張型人工弁に比べて自己拡張型人工弁は,有効弁口面積(EOA)が大きく,PVLが多かった635).二尖弁のTAVIに関するエビデンスの蓄積が期待される. vi. 狭小弁輪

狭小弁輪の定義は文献によって異なるが,おおむねCT計測による大動脈弁輪径で23 mm以下としている640-644).狭小弁輪における注意点は患者人工弁不適合(PPM)発生リスクである.人工弁のEOAが体格に比して不十分であることをPPMとよび,PPMは有効弁口面積係数(iEOA)が0.65~ 0.85 cm 2/m 2を中等症PPM,0.65 cm 2/m 2未満を重症PPMと

定義される645).外科的大動脈弁置換術後(SAVR)に発生するPPMは,遠隔期死亡率や心不全入院の頻度を上昇させるが646, 647),TAVI後の重症PPMも予後不良因子である648).さらにPPMを有する症例は,生体弁の石灰化が速く,早期に人工弁の劣化をきたしやすい649).SAVRと比較すると, TAVIの人工弁はソーイングカフをもたないため,PPMの発生率が低い.そのため狭小弁輪を有する症例において, TAVIはより治療効果の高い選択肢であることが指摘されている646, 650, 651).欧米人よりも日本人はTAVI後のPPMの発生率は低い.その理由としては,日本人は大動脈弁輪と体表面積が小さく,弁輪サイズ/体表面積が大きいことが示唆されている652).Intra-annularデザインのTAVIの人工弁は, Supra-annularデザインの人工弁に比べて,相対的にEOAが小さい653-656).欧米人と比較して,日本人はTAVI後のPPMが少ないが652),TAVI後PPMの長期予後については明らかになっていない.とくに若年者にTAVIが選択される場合には,PPMリスクへの配慮が必要である.

□Horizontal aorta

□左室内血栓

□右脚ブロック

□一度房室ブロック

□膜性中隔長あり

あり

<2 mmあり自己拡張型人工弁は注意

TAVI 禁忌

□Device 選択□留置深度を浅く□後拡張を避ける□Oversizing 率を小さく□術後一時的ペースメーカーの留置

房室伝導障害f g Pre-shaped ワイヤ使用

左室□求心性肥大高度

e

a: LVOT カルシウムは軽度・中等度・重度に分類し,リスク評価を行う.画像I,III,Vはいずれも大動脈弁輪面を示す.画像II,IV,VIは大動脈弁,左室流出路の長軸像を示す.画像はそれぞれLVOT カルシウムの石灰化の程度を示す.画像I,IIは軽度,画像III,IVは中等度,画像V,VIは重度の例である(本文参照). b: TAVI後左冠動脈閉塞をきたした症例の造影CT画像.左冠尖の弁尖に石灰化を認める. c: STJ高が低く,STJ径,SOV径が小さいSOVを有する患者のCT画像.Iは大動脈弁輪サイズ,IIはSOV径,IIIはSTJ径,IVはSTJ高. d: 二尖弁の石灰化ラッフェおよび大動脈弁高度石灰化の画像の例.I,III,V,VIIは大動脈弁の短軸像.II,IV,VI,VIIIは短軸のボリュームレンダリング画像.I,IIは石灰化ラッフェ(-),高度石灰化(-).III,IVは石灰化ラッフェ(+),高度石灰化(-).V,VIは石灰化ラッフェ(-),高度石灰化(+).VII,VIIIは石灰化ラッフェ(+),高度石灰化(+). SOV: バルサルバ洞,STJ: 上行大動脈接合部

図14 大動脈弁複合体の評価