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p.76 抽出テキスト

先天性心疾患,心臓大血管の構造的疾患(structural heart disease)に対するカテーテル治療のガイドライン

ことも重要となる.さらに,出血や塞栓を回避するため,挿入予定部位となる上行大動脈に,拡大,石灰化,粥状硬化・解離などがないことを造影CTにて事前に確認することが推奨される(図13h,i). iv. TS アプローチ(表68)

TS アプローチは胸骨切開・肋間開胸を要さない貴重な代替アプローチとして広く利用されている.一般的に,鎖骨下動脈へのアプローチは外科的露出にてなされるが,経皮的アプローチにて施行されている報告も存在することから,代替アプローチのなかでは選択される優先度が高まっている.近年ではTF アプローチと比較して同等以上の成績が報告されており590, 592),評価が高まっている.

TS アプローチでは,鎖骨下動脈からは椎骨動脈および内胸動脈が分岐するため,シース/デバイス挿入に伴う血流遮断の影響を事前に十分に検討することが推奨される(図13j).椎骨脳底動脈系の評価には,磁気共鳴血管造影(MRA)もしくは造影CTによる分岐形態・頭蓋内交通を評価し,血流低下・遮断のリスクを把握する.図13kは右椎骨動脈低形成で左椎骨動脈優位の症例だが,左鎖骨下動脈アプローチTAVIを行ったところ,術後に椎骨脳底動脈系の脳梗塞を発

症した.また,内胸動脈グラフトを用いた冠動脈バイパスを施行している症例においては,デバイス挿入時のグラフト血流不全に伴う循環破綻を避けるため,同側からのアプローチは回避するのが望ましい.さらに,右鎖骨下動脈からのアプローチに際しては,大動脈弁輪への進入角度が強く制限されるため,企業プロトコールに従った角度のみでの使用を遵守すべきである.

また,わが国における左鎖骨下動脈の走行は,椎骨動脈分岐末梢にて急角度に弯曲している症例が多く,シース挿入およびデバイス挿入において解離を発症することが多い.そのため,シースおよびデバイス挿入には十分な注意を要する.現状では,このアプローチはEvolutでのみ可能であるが, SAPIEN3においても,早々にこのアプローチ可能となることを希望する. c. 大動脈弁複合体・左室

大動脈弁複合体の評価は人工弁サイズ選択および合併症のリスク評価のために不可欠である(表69).以前は経食道エコーなどを用いて行っていたが,心電図同期の造影剤を用いたmulti-slice CTを中心とした評価が一般的となっている596, 606).造影CTを用いた大動脈基部の評価には以下が含まれる.大動脈弁輪サイズ,石灰化評価(大動脈弁輪,左室流流出路,大動脈弁複合体),バルサルバ洞(SOV),冠動脈高,上行大動脈接合部(STJ),大動脈弁形態異常(二尖弁の評価)である.

表67 TAVI のTAo/DAo アプローチにおける推奨とエ

ビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

胸部thin slice CTによる上行大動脈の偏位・血管径・性状の確認を行う. I C上行大動脈穿刺予定部位から弁輪部までの距離の計測を行う. I C開存する右内胸動脈グラフトがある症例における,DAアプローチの選択を考慮してもよい. IIb C

表68 TAVI のTS アプローチにおける推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

胸部造影thin slice CTによる鎖骨下動脈および大動脈弓部の性状・走行・血管径の確認を行う. I C椎骨脳底動脈系の分枝形態,頭蓋内交通の精査を行う. I C開存するITAグラフトを分岐している鎖骨下動脈に対し,TS アプローチを考慮してもよい. IIb C閉塞リスクを伴う椎骨動脈を分岐している鎖骨下動脈に対し TS アプローチを考慮してもよい. IIb C表69 大動脈弁複合体・左室のTAVI リスク評価の推奨と

エビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

心電図同期造影CTによる大動脈弁基部の解剖学的,TAVIリスク術前評価を行う. I A LVOTカルシウムの重症度評価, 冠動脈閉塞リスク評価を行う. I C心電図所見,膜性中隔長から房室電動障害のリスク評価を行う. I C造影CTによる二尖弁のTAVIリスク評価を考慮する. IIa C

Horizontal aorta評価を考慮する. IIa C造影CTによる膜性中隔長評価を考慮する. IIa C左室内血栓症例に対し,TAVIを行うべきではない. III Harm C