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p.69 抽出テキスト

耳を除去する」という考えが,約20年前から提唱されていた569, 570).経皮的に左心耳を閉鎖する治療法として,わが国においては,2019年に薬事承認を得たWATCHMAN(Boston Scientific,Marlborough,MA,USA)左心耳閉鎖システムが最初のデバイスとなった.米国,欧州における心房細動治療ガイドラインでは,経皮的左心耳閉鎖術はクラスIIbの推奨度となっている571, 572).わが国では脳卒中の高リスク群でかつ長期の抗凝固療法継続が困難な心房細動患者の治療の選択肢として普及しつつある.

左心耳を外科的に除去するとその後の脳卒中発症が減るという報告から573),開心術の際に左心耳の切除や縫合閉鎖が広く行われてきた.しかし,初期および遠隔期の成績で問題が多く574),不完全閉鎖による脳卒中のリスクが残存した.そのため,経皮的な治療法としてWATCHMANが開発された.

WATCHMANによる左心耳閉鎖の脳卒中予防効果に関して,出血リスクの高いNVAF患者を対象とした2つのランダム化比較試験において,ワルファリンに対する非劣性が明らかになっている575, 576).これらの試験の5年後の解析では(図12),脳卒中,心血管死,全身性塞栓症の複合エンドポイントにおいて,両群間に有意な差は認めなかった.虚血性脳卒中または全身性塞栓症に関しては,むしろワルファリン群において低率である傾向が認められたが(HR: 1.71[信頼区間0.94-3.11],P=0.08),術後7日以降のみを対象とするとその傾向は認めず,手技に関連した虚血性脳卒中または全身塞栓症が影響していると考えられた.一方で左心耳閉鎖群では,ワルファリン群に対して,出血性脳卒中,身体機能障害を残す脳卒中もしくは致死的脳卒中,心血管死亡もしくは原因不明死,全死亡,および手技に関連しない出血が有意に減少した577).このことからデバイスを用いた左心耳閉鎖術では,出血性脳卒中や全身の出血性合併症が減少し,それによる死亡率低下が期待できるが,塞栓症予防効果においてはワルファリンを上回る効果は証明されていない.デバイスによる治療では,周術期の塞栓症を増加させないことが重要であると考えられる.WATCHMANデバイスを用いたPRORECT AF試験の初期においては,心嚢液貯留や心タンポナーデといった合併症の多いことが問題となったが,試験の後半では減少し,ラーニングカーブの存在が示唆された578).

WATCHMANの現行の治療プロトコールでは,術後はワルファリンにアスピリンを加えて45日間経過観察を行う.その後,経食道心エコー図にて問題がないことを確認した後にワルファリンを中止し,抗血小板薬2剤併用療法(dual anti-

3.2.1 経皮的左心耳閉鎖

3.2.2 経皮的左心耳閉鎖における抗血栓療法

継続が困難な患者においては外科的・経皮的手段により左心

表59 PFO 閉鎖術を実施できる施設基準・日本循環器学会認定循環器専門医が3名以上在籍する循環器専

門医研修施設であること.・日本心血管インターベンション治療学会専門医もしくは認定医

が3名以上在籍する心血管インターベンション治療学会認定研修施設で,2年間の先天性心疾患もしくは構造的心疾患に対するカテーテルインターベンションの症例数が80例以上の施設.・日本脳卒中学会専門医が1名以上在籍する脳卒中学会認定研修

教育施設であること.脳卒中の診療科を有さない循環器専門施設の場合は,近隣の脳卒中学会認定研修教育施設と文書による診療連携を確立し,定期的なブレインハートチーム協議が行われていること.・心臓血管外科専門医が1名以上在籍する心臓血管外科専門医認定修練施設で,開心術(体外循環非使用冠状動脈バイパス[OPCAB]を含まない)の症例が年間50例以上あり,緊急開心術が実施可能であること.・日本超音波医学会認定超音波専門医,日本周術期経食道心エコー(JB-POT)認定試験合格者,ないし日本心エコー図学会が認証している「SHD心エコー図認証医」が1名以上在籍し,先天性心疾患あるいは構造的心疾患に対し年間100例以上の経食道心エコー図を実施していること,そのうち10例以上はPFO診断を目的としたバブルスタディーが実施されていること.・日本心血管インターベンション治療学会が実施する「経皮的

PFO閉鎖術研修プログラム」を受講し,本手技の目的と内容を習熟した担当医が2名以上在籍すること.・全身麻酔ができ経食道心エコー図もしくは心腔内心エコー図が実

施可能なカテーテル室を有すること.ただし本手技に十分習熟するまでは,全身麻酔を用いた経食道心エコー図による手技を推奨する.・医療安全研修が行われていること.・実施症例の全例登録を確約すること. (日本心血管インターベンション治療学会, ほか. 2019556)より)表60 PFO 閉鎖術を実施できる実施医基準・本治療を実施する術者は,日本心血管インターベンション治療

学会専門医もしくは認定医,あるいは経皮的ASD閉鎖術の術者資格を有する日本循環器学会専門医であること.・経皮的ASD閉鎖術の術者認定を受け,過去3年間に25症例以

上実施した医師で,日本心血管インターベンション治療学会が主催する「経皮的PFO閉鎖術研修プログラム」を受講し認定を受けていること.・経皮的ASD閉鎖術の術者認定を受けたが過去3年間に25症例に

満たない医師は,日本心血管インターベンション治療学会が主催する「経皮的PFO閉鎖術研修プログラム」を受講し認定を受け,日本心血管インターベンション治療学会が認定した指導医のもと,2例以上の閉鎖術を実施し単独施行の認定を得ること.・経皮的ASD閉鎖術の術者認定をもたない医師は,日本心血管イ

ンターベンション治療学会が主催する「経皮的PFO閉鎖術研修プログラム」を受講し認定を受けること.さらに日本心血管インターベンション治療学会が認定した指導医の施設で2例以上の閉鎖術を見学し,その後指導医の補助のもと3例以上の閉鎖術を実施し単独施行の認定を得ること. (日本心血管インターベンション治療学会, ほか. 2019556)より)