p.68 抽出テキスト
先天性心疾患,心臓大血管の構造的疾患(structural heart disease)に対するカテーテル治療のガイドライン の脳梗塞二次予防の観点からは,抗血栓療法を長期継続することを考慮する必要がある. b. 抗凝固療法施行症例での抗血小板療法への変更 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版) 563)に準じて,抗凝固療法の中止が可能となれば,抗血小板薬への変更を行うことを検討してもよい.ただし,大半の症例で抗血小板療法が実施されたRESPECT試験においては,本治療施行群で肺塞栓症を含めた静脈血栓塞栓イベント発症率が高かった.したがって,本治療の対象となる患者の静脈血栓塞栓イベント予防の観点からは,本治療施行後における抗凝固療法から抗血小板薬への変更は慎重に判断する必要がある. c. 臨床症状・徴候の観察 治療後に一過性の心房細動や頭痛が発生しうることが報告されているが,2017年に公表された3研究を含むメタ解析では,これらの合併症が有効性に影響を及ぼすことはなかった564-566).しかし,とくに60歳以上の患者における治療後の心房細動と脳梗塞の発生率はいまだ明らかではないため,慎重な経過観察を行う必要がある. a. 実施医療機関 PFO閉鎖術では,十分な脳梗塞の原因検索を行うと同時に,安全に機器の留置を行う必要がある.したがって,本治療を実施する医療機関には,日本脳卒中学会専門医,日本循環器学会専門医,および日本心血管インターベンション治療学会の専門医または認定医が在籍していることが必須である.これらの医師から構成されるブレインハートチームにおいて情報を共有し,脳梗塞病型診断の確認,内科的治療(抗血栓療法)と閉鎖術(+抗血栓療法)との比較,治療の難易度,併存疾患の有無等を多角的に検討したうえで,患者および家族に有効性と安全性を説明し,治療法の決定を行う.患者は外来または入院中に,脳卒中専門医とカテーテル治療施行医の双方の診察を受けるべきである. b. ブレインハートチーム内での役割分担 ブレインハートチーム内での役割分担は以下のとおりである. 1脳卒中専門医は,脳梗塞の病型診断を行う.「PFOの 関与があり得る潜因性脳梗塞の診断基準」556)から,本治療の対象となり得る症例の選択を行う. 2循環器内科医は,PFOの診断,および解剖学的リスク の評価を行う. 3カテーテル手技担当医は,当該症例のカテーテル治療 の難易度等の判断を行う. 3.1.11 治療実施体制施設基準と実施医基準を表59,表60に示す. PFOは形態が多様であり,場合によってはASD閉鎖栓の選択が望ましい症例が存在する.とくに注意を要するPFO形態(大きな心房中隔瘤を有する症例,安静時より有意な左右短絡を認める症例など)に本治療を実施する場合には,日本心血管インターベンション治療学会が認定した指導医と緊密に連携をとり,治療計画を立てる必要がある.このため本治療を国内に導入するにあたっては,安全性担保のため一定期間(導入後1年)は手技がもっとも類似するASD閉鎖術を, 25例以上実施した医師が在籍する施設のみでの実施とする.この期間を用いて,実施数25例未満の医師や,これまで経皮的ASD閉鎖術の実施経験のない医師が在籍する施設は,「経皮的PFO閉鎖術研修プログラム」を受講し,本治療の目的・内容を理解する. 日本心血管インターベンション治療学会に設置される専門委員会は,本治療に関する安全性,有効性,新たな知見に関し調査を行い,その評価と情報公開を行う.また安全性に問題があると判断される施設,実施症例の登録を怠っている施設等に対して,該当施設の治療チームの再教育や閉鎖栓の供給停止等,本治療が適切に実施されるための対応を求めることができる. 施設認定の申請書類には,本治療研修プログラム受講修了者全員の氏名を明記することが必要である. また,今後,関連学会などで本治療法施行に関連する適応基準や認定医制度が設けられた場合には,日本脳卒中学会,日本心血管インターベンション治療学会,日本循環器学会などの機関で構成される委員会で協議する. 虚血性脳卒中のうち,心原性脳塞栓症は予後が悪く,原因の多くを占める非弁膜症性心房細動(nonvalvular atrial fibrillation: NVAF)を有する患者の脳卒中の発症予防は注目されている.日本循環器学会/日本不整脈心電学会による2020年改訂版不整脈薬物治療ガイドライン567),および日本脳卒中学会の「脳卒中治療ガイドライン2015(追補2019)」568)では,直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants: DOAC)もしくはワルファリンが推奨されているが,出血リスクが高く,抗凝固療法の長期継続が困難な患者も少なくない. 一方,NVAFにおける90%以上の血栓は,左心耳(left atrial appendage: LAA)で形成されるため,「抗凝固療法の 3.1.12 施設基準と実施医基準 3.1.13 留意事項 3.2 左心耳閉鎖