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p.55 抽出テキスト

1999年に筋性部VSD閉鎖用にデザインされたAmplatzer Muscular VSD Occluder(AMVSDO)の臨床使用例が報告された420).2枚のディスクをつなぐconnecting waistの厚みがASOでは3 または4 mmであるのに対して, AMVSDOでは心室中隔に対応して7 mmであり,直径は欠損孔の大きさに対応して2 mm刻みに4~18 mmのサイズがある.2枚のディスクはconnecting waistよりも半径で4 mm大きく,多くの場合,内頚静脈から6~9 Frのシースを欠損孔に通過させ,留置される.しかし,体重5 kg未満の乳児の場合は,経皮的アプローチが困難で合併症が有意に多くなる134).

太いシースを経皮的に導入することが困難な乳児や,同時に肺動脈絞扼解除などのほかの手術操作を行う適応がある場合,前胸部の小切開により心拍動下に右室自由壁を直接穿刺し,ガイドワイヤを欠損孔に通し,短いシースを欠損孔に通過させてAMVSDOを留置する経心室的(perventricular)カテーテル治療を行うと,人工心肺も用いずに低侵襲に治療され得る.手術室にて,透視や造影を併用せず経食道心エコーガイド下に行われるこのハイブリッド治療は,Aminらにより動物実験での有効性,安全性が報告され421),2005年Bachaらにより多施設による12例の臨床報告がなされた422).手技上の合併症はなく, 12ヵ月後には全例無症状で少量の遺残短絡が2例のみにみられ,遠隔期に2例の突然死がみられている423).比較的どの施設でも施行しやすいハイブリッド治療と考えられ,各国に普及し良好な成績を収めている424).わが国でもAMVSDOの導入が期待されている.

先天的ないし後天的に発生した異常血管が血行動態に悪影響を及ぼす場合や,出血源となる場合,コイル塞栓術が考慮される.原疾患に対する手術の適応があり,手術中に異常血管の結紮が可能である場合には,コイル塞栓術は適応にはならない.1975年にGianturcoらがステンレススチールコイルによる腫瘍動脈塞栓 を報告して以来425),さまざまな領域においてコイル塞栓術が応用されるようになり,適応が拡大してきている.

2 異常血管

2.1 コイルについてさまざまな塞栓物質が使用されるが,その選択は病変部

への到達経路,病変の大きさや形状,血流量や速度,病変部から脱落した際の危険性などから決定される.コイルは塞栓子の一つで,太いデリバリーシステムが不要で,動脈からのアプローチも容易であるという利点を有する.ただ,コイルはもともとワイヤを螺旋状に形成したものであり,その剛性・形状からみて,血流が遅く,狭窄・蛇行した細い血管や瘤状の病変には適しているものの,血流量が多く,狭窄・蛇行のない太い血管や開窓型病変などの塞栓には適さない.さらに以前は,コイルをカテーテルからワイヤで押し出すプッシャブルタイプで,いったんカテーテルから出すと回収することができなかった.近年ではコイルをカテーテル尖端から病変部に出しても回収が可能なデタッチャブルタイプのコイルが使用可能となり,以前はコイル塞栓の対象となりにくかった血管に対する塞栓術も比較的安全に施行できるようになった.デタッチャブルタイプには機械式,電気式,水圧式がある.コイルの太さも,0.035インチのスタンダードコイルや,0.010~0.020インチのマイクロコイルなど,多くのデタッチャブルコイルが使用可能である(表44) 426).また一部のコイルには,ダクロン繊維が付いていたり,コイル表面にコーティングしたハイドロゲルが時間とともに膨潤化したりすることで,血栓性や塞栓性が高められている.現在コイルは脳動脈瘤に使用され

2.1.1 コイルの種類

表44 塞栓用コイルの種類

デタッチャブルプッシャブル

スタンダードコイル機械式Flipper PDA VortX Tornadeなど

マイクロコイル機械式IDC Detach Penumbra VortX Tornade Hilal Nesterなど

電気式GDC Micrus Microplex ED Azur水圧式Orbit

PDA: 動脈管開存,IDC: interlocking detachable coil, GDC: Guglielmi detachable coil (金正海, ほか. 2019426)より)