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p.54 抽出テキスト

先天性心疾患,心臓大血管の構造的疾患(structural heart disease)に対するカテーテル治療のガイドライン

降,同様の第1期ハイブリッド治療の報告を数多く行ってきた.動脈管に留置するステントはおもに自己拡張型ステントを選択し,動脈管に狭窄を伴っている場合はバルーン拡張型ステントを選択する.心房間交通の狭窄がある場合,必要に応じて退院までにバルーンやステントで拡大する.その後,この第1期ハイブリッド治療は,低体重児,心室機能不全,三尖弁逆流,狭小な上行大動脈,多臓器不全合併,心臓外先天性異常,染色体異常合併といった高リスクな症例に選択的に行う施設と,ほぼすべての症例に第一選択として行われる施設に分かれるようになった.近年では,前述したNorwood第1期手術と同等の生存率に到達しているとの報告もある.その後の生存率,第3期のFontan型手術到達率,神経発達予後の比較検討については明らかになっていない389, 402–405).

このような成績を受けて,左心低形成症候群や,大動脈弁下部ないし大動脈弓のいずれかの体循環系に狭窄病変を有する単心室症例に対して,人工心肺を使用しない初回姑息術としての両側肺動脈絞扼術および動脈管ステント留置というハイブリッド治療が世界的に普及するようになった406, 407).本治療の普及には,心臓移植への橋渡しとしての側面がある.

一方,わが国では補填材料としてのホモグラフトの使用に制限があり,動脈管ステントにより下行大動脈組織が侵食されていると,その後の大動脈弓再建が困難となる408).また,技術的なlearning curve以外に,動脈管ステントが大動脈弓峡部を“jail”するための,冠血流の更なる低下(大動脈縮窄の増悪),段階間の早期死亡・壊死性腸炎の発生という諸問題がある409–412).そのため,早期の両側肺動脈絞扼術後に,一定期間プロスタグランジンE1製剤持続静注で動脈管を維持し,全身状態の安定する生後1ヵ月前後に経皮的に動脈管にステント留置を行うか,BTシャントか心室–肺動脈導管を伴うNorwood手術を行うとする報告も多い.

動脈管ステント後の冠血流低下に対しては,同時に主肺動脈から腕頭動脈への“reverse BT shunt”を造設する方針を打ち出した報告もあるが413),現在,こちらは一般化せず,退院後も大動脈峡部の狭窄所見を心エコーで頻回に観察し,その傾向を認めれば動脈管ステントのセル間を通して小さな冠動脈用ステントで追加拡大する報告もなされている414).

1.17.2 術中ステント留置

先天性心疾患に伴う血管狭窄へのステント留置・拡大術は,すでに標準的な治療手段の一つとして確立している327, 415,).小児の血管へステントを永続的に留置する場合,狭窄の解除だけでなく,成人期までの成長を見込んだ径ま

でバルーンによる再拡張が可能なステントを選択する配慮と,健常な部分(末梢動脈分岐部,頚部血管など)に過剰に突出させないステント長の選択と位置決めがきわめて重要となる.ステントの種類により,拡張前の太さ(profile),柔軟性(flexibility),追従性(trackability),放射支持力(radial strength),最大拡張可能径(maximum expanded diameter),長軸方向への短縮率(fore shortening)が異なり,ステントを選択する際には,これらステントの性質と,病変部の状態,体格,循環動態,留置手技・経路を分析して決定する.性別や最終身長,原疾患などの個人差にもよるが,一般的には,肺動脈第1分枝で約16~18 mm (Fontan型手術後は約13~15 mm),胸部大動脈で約18~ 25 mmの最大拡張可能径をもつステントを留置すべきであり,経皮的にアプローチするのに7~10 Frのロングシース(+2 Fr大きいショートシース)や硬いガイドワイヤを必要とし,とくに乳幼児では難易度や侵襲性が高い.

こうした困難を解決する方法として,術中ステント留置が1992年に初めて報告された416).術中ステント留置では,イントロデューサー・シースを使用せず,あるいは病変部のすぐ近くに挿入してバルーン拡張型ステントを留置するものである.シースを使用しない場合は,術前の画像診断によりあらかじめバルーン・ステント径を決定し,直視下あるいは血管内視鏡補助下に位置決めを行う.また,シースを挿入する場合は,術野にCアームを導入し,シースの側管から前後で造影を行い確認することができる.肺動脈分岐部狭窄にもっとも適応があるが,大動脈,体肺動脈短絡血管,大静脈や動脈管への適応も報告されている.利点は,シースに制限されず成人期までの成長を見込んだステントを直接的に到達させられることであり,アプローチ血管や病変部の閉塞例,ほかの修復手術と同時施行例にはとくに適応があり,血行動態の変化やステント脱落,血管穿孔といった合併症が少ないなどである.ステントの遠位端や拡張径の厳密な調節のためには,“hybrid suite”における血管内視鏡やCアームの併用が有利とされる417–419).

1.17.3 経心室的(perventricular)筋性部VSDカテー テル治療

筋性部(肉柱部)VSDのなかでも,中隔縁柱(septomarginal trabeculation)よりも奥に存在するものは,ときに多発性(スイスチーズ様)となることも相まって外科的に視認し閉鎖することは困難とされており,ときに左室切開や,乳児期に肺動脈絞扼術を行って段階的治療を要することがある.

1997年のAmplatzer TM Septal Occluder(ASO)のあと,