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p.49 抽出テキスト

認可されたステントはなく,2000年前後からPALMAZ large stentやPALMAZ extra-large stentがオフラベルで使用されている.

カテーテル治療の適応は狭窄部の圧較差もしくは上下肢の血圧差が20 mmHg以上か,縮窄による上半身の高血圧,心収縮力低下があるときである.心内短絡が残っている場合や側副血管の増生が顕著な場合は圧較差が20 mmHg未満でもカテーテル治療の適応となる場合がある. 1.14.2 リスクと合併症

大腿動脈損傷,大動脈解離・瘤形成,大動脈破裂,ステントの位置不良/移動,脳血管障害などが報告されている359).

1.14.3 術後遠隔期の問題

CoA患者においては,手術もしくはカテーテル治療によって修復された後も,対処すべき問題が継続することが知られている.CoA治療後の患者の生存率は正常より低い.その理由の多くは高血圧に起因しており,高血圧は術後長期経過例の1/3~2/3に認められる366–368).治療時の年齢が高いほど高血圧の頻度は高い.また治療後の安静時の評価にて圧較差が解消されていても,運動時は治療部位より近位での血圧は健常よりも高くなるとされている.よって定期的な経過観察において,高血圧がある場合には降圧薬を適切に使用すべきである369–371).加えて動脈硬化性病変や脳動脈瘤の合併も知られており,念頭に置く必要がある372, 373).

1.15 体肺短絡術後狭窄

1.15.1 体肺短絡術の種類

肺動脈弁狭窄や肺動脈閉鎖などを伴う肺血流減少性先天性心疾患に対して,体肺短絡術が施行される.近年では,乳児期に体肺短絡術をせずに,一期的に二心室修復術を行う症例も増加している.一方,二心室が存在しても二心室修復が適応とならない症例や,左心低形成症候群に代表されるような単心室血行動態のため,Fontan手術に向けての段階的手術の過程での初回姑息術として体肺短絡術が施行される例も数多く存在する.そのような疾患群において, Blalock–Taussig短絡術(BTS)などの体肺短絡路作成術による肺血流の付加は,現在でも重要な位置を占めている.体肺短絡路作成術には,1945年にFallot四徴症の3例の患児に行われたBTS原法(鎖骨下動脈を切離して肺動脈に吻合)

374)にはじまり,Waterston–Cooley短絡術(上行大動脈–右肺動脈吻合),Potts短絡術(下行大動脈–左肺動脈吻合)があげられる.現在は,基礎疾患の解剖学的状態や循環動態に応じて,expanded polytetrafluoroethylene(ePTFE)人工血管を介在させる,以下の3つの方法のいずれかが選択されることが主流となっている. 1BTS変法(modified Blalock-Taussig shunt: mBTS)左右いずれかの鎖骨下動脈から肺動脈へ血流を供給する.

表40 未治療CoA または術後再縮窄に対するステント留

置に関する推奨とエビデンスレベル*

推奨クラスエビデンス

レベル

カテーテルにより計測した縮窄部収縮期圧較差≧20 mmHg であり,安全にステントを留置できる体格(体重25 kg 以上)で,成人の大動脈径までステントを拡大留置できる術後再縮窄に対してステント留置を行う. I Bカテーテルにより計測した縮窄部収縮期圧較差≧20 mmHg または<20 mmHgであっても,合併する高血圧を十分説明できる形態の未治療縮窄または術後再縮窄では,一次治療として,成人の大動脈径まで拡大できるステント留置を考慮する. IIa Bカテーテルにより計測した縮窄部収縮期圧較差≧20 mmHg の長い範囲にわたる未治療縮窄または術後再縮窄では,一次治療として,成人の大動脈径まで拡大できるステント留置を考慮する. IIa B手術やカテーテル治療によっても改善できない複雑な大動脈弓の狭窄があり,さらなる手術のリスクが高いと考えられる乳児・新生児のCoA に対してはステント留置を考慮してもよい.成人の大動脈径まで拡大できないステントを留置した場合,拡大しうる最大径までこのステントを拡大しても大動脈狭窄を十分解除できなくなった時点で,手術によりステントを除去または拡大する必要がある. IIb Cカテーテルにより計測した縮窄部を介する収縮期圧較差<20 mmHg であるが,左室拡張末期圧が上昇し解剖学的に狭窄を認める場合,またはカテーテルにより計測した縮窄部を介する収縮期圧較差<20 mmHg であるが圧較差を過小評価するような有意な側副血管を認める場合には,未治療縮窄または術後再縮窄に対する初期治療として,成人の大動脈径まで拡大できるステント留置を考慮してもよい. IIb C *  わが国ではCoA の治療を適応として認可されたステントはないが,

オフラベルでステント留置が行われてきた歴史に鑑み,推奨レベルを示す.