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p.47 抽出テキスト

血管形成術を行うことがある.術前の造影はできるだけ病変の長軸に直角となるように角度を設定して撮影し,狭窄部径,ステントがカバーすべき長さ,周辺血管径をもとに使用器材を決定する.適応判定の際に注意すべき点として,病変の周辺構造との関係を検討する.ステント留置により冠動脈や大動脈,肺静脈などが圧迫を受けないか,CTやMRIによる評価が有用である.・リスクと合併症

肺動脈損傷や不整脈のほか,ステントの位置不良や移動,ステントによる側枝の閉塞,異常内膜増殖による再狭窄などのリスクがあり328, 329),死亡のリスクを伴う手技である.

1.12 大静脈狭窄,心房スイッチ術後狭窄

1.12.1 バルーン血管形成術(表36)

先天性の上大静脈,下大静脈狭窄や,Mustard術後またはSenning術後狭窄,部分肺静脈還流異常における上大静脈術後狭窄,Glenn術後吻合部狭窄,Fontan術後の体静脈狭窄に対して行われる.有意の狭窄でも静脈系では狭窄部圧較差は5 mmHg以下のことが多く,圧較差,形態,循環動態を総合的に勘案して適応を判断する.病変の多くがバルーン血管形成術で完了することは少なく,ステント留置が必要になることが多い.・リスクと合併症

血管穿孔のリスクは,ほかの部位よりも低い332, 333).

1.12.2 ステント留置術(表37)

成人血管径まで拡張できるステントが留置可能であれば,ステント留置の適応はバルーン血管形成術と同様である332, 333).ステント留置により周囲組織を圧迫する可能性について,あらかじめ造影CTで評価することが有用である.ステントはPalmaz XL(P4010)またはPalmaz Large (P308,P188)が使用される.・リスクと合併症

静脈は柔軟性に富むため,ステント留置時の位置不良や移動には注意が必要である.血管損傷のリスクは少ないが,十分な血流が得られない場合は血栓のリスクがある.

1.13 肺静脈狭窄

1.13.1 バルーン血管形成術

本治療法に対する適応には,孤立性先天性肺静脈狭窄,複雑心疾患に合併した肺静脈狭窄,肺静脈還流異常術後

の狭窄,心臓移植術後狭窄,高周波アブレーションによる瘢痕狭窄,心臓外腫瘍の外側からの圧迫,サルコイドーシス,線維性縦隔炎などの縦隔炎症疾患による肺静脈狭窄などがある.従来の報告は,アブレーション後の瘢痕狭窄と還流異常術後の狭窄に対する報告が多い.再狭窄率が高く,姑息的な解除にとどまることがほとんどである.・リスクと合併症

血管穿孔のリスクはほかの部位よりも低い.

1.13.2 ステント留置術(表38)

8 mm以上の拡張が可能であればステント留置がバルーン血管形成術に比較して有効性が高く,開存率が高いと報告されている.成人例におけるアブレーション後の瘢痕狭窄334–340)に対するステント留置では,8~10 mm以上に拡張することができた場合,再狭窄率が低い341, 342).小児領域における肺静脈狭窄にステント留置をすることは,再狭窄・閉塞のリスクが高く343–349),sutureless marsupialization手術(再手術・死亡回避率が約50%)の適応を含め,外科医と総

合的に判断するべきである.・リスクと合併症

ほかの部位に対する血管形成術やステント留置と同様であるが,ステントが左房に脱落した場合には,重大な結果をもたらす可能性がある.

表37 大静脈狭窄,心房スイッチ術後狭窄に対するステン

ト留置術に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

鎖骨や鼠径靭帯よりも,中枢の有意な体静脈狭窄を解除するためにステント留置を行う. I B Mustard 術後およびSenning 術後など,術後の大静脈狭窄を解除するために,ステント留置を行う. I C

表36 大静脈狭窄,心房スイッチ術後狭窄に対するバルー

ン血管形成術に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

大静脈狭窄や複雑な静脈狭窄に対し,バルーン血管形成術を考慮する. IIa C