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p.45 抽出テキスト

計測,過大サイズのバルーンを用いないこと,先天性心疾患の経験豊富な外科医との協力体制で行うこと,カバードステントの使用が可能なこと,などが対策としてあげられている.なお,Melody ® valveはわが国では未承認である.

1.10.8 SAPIENを用いた導管拡大術(表33)

Edwards SAPIEN Transcatheter Heart Valve(Edwards Lifesciences Co., Irvine, CA, USA)はウシ心膜から作製した三尖の弁尖をステンレス製のステントに縫着したものである.本来は成人の大動脈弁位への留置を目的として開発された弁で,Melody ® valveが18~22 mm径であるのに対し,SAPIEN XTは23~26 mm,SAPIEN 3 は20~29 mmに拡大可能である.弁留置に先立ってステントを留置し導管状にする.そのうえでこのなかに弁を留置する.当初,経皮的大動脈弁置換に用いられてきたが,2010年末には欧州の経皮的肺動脈弁置換への使用が認可された. 2011年の米国4施設からの多施設共同研究(Compassion study)において,その有用性が報告され310),2016年米国FDAより肺動脈弁への適応拡大が承認された311).この臨床研究では,体重35 kg以上,留置時の導管径が16 mm以上24 mm以下,MRIで40%以上の肺動脈弁逆流率であるか,エコーでIII度以上の肺動脈弁逆流のあるものを適応としている.現在,SAPIEN 3によるCompassion S3試験が進行中である. a. 方法

SAPIEN 3留置に先立ってステントを留置する(prestenting)場合と,pre-stentせず直接留置する場合がある.狭窄病変がSAPIEN 3の長さを超える場合は,pre-stentが必須である.わが国では,pre-stentがないことがpre-stentが承認導入されるまでの導入時の前提になっており,狭窄の長さがSAPIEN 3の高さの範囲の適応が限られる.生体弁に対するSAPIEN 3の適応は,狭窄が生体弁の弁部にとどまるため適応範囲が広いと考えられる. b. 合併症

Melody ® valveと同様であり,留置前にバルーン拡大し冠動脈圧迫を評価する必要がある. 1.11 肺動脈主幹部‒末梢狭窄

1.11.1 バルーン血管形成術(表34)

1981年のLockらによる肺動脈狭窄に対するバルーン血管形成術の動物実験の報告312)以来,肺動脈主幹部,末梢肺動脈を対象として施行される313, 314). a. 適応

肺動脈主幹部では右室収縮期圧/左室収縮期圧(大動脈収縮期圧)2/3以上の場合に適応となる.分岐部末梢性肺動脈狭窄では健側肺が代償するため圧較差は参考にとどめ(圧較差15~20 mmHg以上),造影による形態,肺血流シンチグラフィ(患側/健側肺血流比0.5未満,ないし血流分布率35%以上65%未満)を勘案して適用を決める.

Glenn術後やFontan術後,または心機能低下例では,圧の基準や肺血流シンチグラフィでは判定できないため,形態により決定することがある.第二分枝以降の末梢肺動脈狭窄に対しては,多発性の場合に適応となる.多発性の場合,右室圧上昇をきたすことがあり,右室圧低下のために肺血管床の増加が必要と考えられる病態で,形態的にバルーン血管形成術が有効であると推測される病変に対して施行される場合がある.対象血管径が8 mm未満の場合は,ステント留置よりもバルーン拡張やカッティングバルーンが第一選択とされる.

バルーン血管形成術の成功を最狭窄部径の50%以上の拡張または圧較差の50%以上の減少と定義すると,成功率は50~60%と報告されている299, 315–319).バルーン血管形成術の利点は血管が成長することである320, 321).

表33 米国における右室肺動脈導管狭窄に対する導管拡大

術に関する推奨(参考) *

推奨クラスエビデンス

レベル

中等度から高度な肺動脈弁逆流,導管狭窄に対し,導管拡大術を考慮する. IIa *  2020年現在,わが国でも導入に向けて準備中である.表34 肺動脈狭窄に対するバルーン血管形成術に関する

推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

有意な末梢性肺動脈狭窄や,一次治療としてステント留置が選択できない体格の小さい患者の肺動脈狭窄に対し,バルーン血管形成術を行う. I B肺動脈遠位の有意な狭窄,一次治療としてステント留置が適さない大きな近位の肺動脈に対し,バルーン血管形成術を行う. I B狭窄近位の肺動脈圧または右室圧が体血圧の2/3 以上の有意な主肺動脈狭窄に対し,バルーン血管形成術を行う(先天性の肺動脈弁直上の狭窄の場合,バルーンのみでは拡大できないことが多い). I C