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p.43 抽出テキスト

イヤによる支持が重要である.あらかじめ末梢の肺動脈まで先進させたカテーテルを用いて,スーパースティッフガイドワイヤを末梢肺動脈に留置する.このガイドワイヤを肺動脈末梢に固定することで,その後のバルーンのサイズアップなど,バルーンの入れ替えを容易にすることが可能となる.バルーンサイズの選択は対照血管径の1~1.2倍にとどめる.前述のとおり,右室流出路形成術後の場合,狭窄の原因は手術時に用いたパッチに縫着された弁の機能不全によることが多く,造影上は弁の複雑な折れ込みや突出物として視認される.このような場合には造影上の主肺動脈の径などを参考とし,導管狭窄に対する拡大と同様に,流出路径と同じサイズのバルーンサイズを選択する.拡大する際,血圧の低下が認められるため,動脈圧をモニターする. d. 治療成績

バルーン拡大術により,右室–肺動脈間の圧較差は低下することが多い.しかし,その効果は一時的なこともある.最終的には再狭窄をきたすことが多く,長期的な狭窄解除に至ることは少ない299).小児では,再手術の時期を遅らせる効果がある. e. リスクと合併症

ワイヤやロングシースなどの操作に伴う血管損傷,過拡張による血管損傷のリスクがある.

1.10 右室肺動脈導管狭窄(表32)

1.10.1 概要

肺動脈閉鎖を伴うVSD,総動脈幹遺残,あるいは肺動脈狭窄を伴う完全大血管転位症に対するRastelli手術や,大動脈弁狭窄に対するRoss手術後などでは,心室–肺動脈間に導管が用いられる.導管の材質は,欧米ではホモグラフトが多く,わが国では人工血管(ePTFE)が多い. 1990年の右室肺動脈間導管狭窄に対するステント留置の報告298, 300, 301)以降,導管へのステント留置やバルーン拡大術が行われるようになってきた.導管狭窄の原因としては,導管内の弁の肥厚や石灰化,可動性低下が多く.周囲組織からの圧迫や導管のねじれ,導管内膜の増殖・石灰化によることもある.成長に伴う相対的導管狭窄の場合には,カテーテル治療は無効で手術の検討が必要である.

1.10.2 バルーン拡大術の適応

肺動脈–右室の平均圧較差が35 mm Hg以上の場合(収縮期圧較差50 mmHg 以上の場合)は適応となる298).右心室と左心室の収縮期圧の比率が0.67~0.7以上も適応となる.しかし高血圧を伴う成人では,この基準での判断が困

難になる.導管狭窄の主体が導管内の弁の硬化およびそれに伴う可動性の低下のため,ほとんどの例で肺動脈弁閉鎖不全を伴うことから,欧米では肺動脈弁閉鎖不全の適応で経皮的肺動脈弁留置術を考慮することが少なくない.

1.10.3 バルーン拡大術の方法

スティッフガイドワイヤによるバルーンカテーテルの支持が大切である.スティッフタイプのガイドワイヤを末梢肺動脈まで先進させてバルーンカテーテルを支持できるようにする.バルーンサイズは手術で留置した導管の径まで拡大可能である.太い導管の場合には,ダブルバルーン法などでバルーンを組み合わせて導管径になるようにして拡大する302).導管および導管内弁に石灰化を伴うことが多く,超高耐圧バルーンが必要となることが多い.

弁部の硬化・石灰化のためにバルーンの拡大時にバルーン破裂を起こすことが少なくない.バルーン破裂後の回収を考慮し,バルーン抜去の際に三尖弁・弁下組織を損傷しないように,あらかじめワイヤを誘導する際には先端バルーン付きカテーテルで右房から肺動脈に進めることが望ましい.

1.10.4 ステント留置

狭窄部にステントを留置することがある.一般的に導管径と同じサイズのステントを選択する.また,ステントの形状は直線であるため,ステント長と狭窄部の形態から周囲の構造物の圧迫などを予測してステントを選択する必要

表32 右室肺動脈導管狭窄に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

以下の条件が満たされる場合に,導管寿命を延長させる目的でステント留置術を考慮する. 1 肺動脈弁逆流の増悪による心機能への影響に比較し,狭窄が解除されることの有用性が勝ると考えられる場合. 2 冠動脈のステントによる圧迫がない場合. 3 肺動脈分岐部の血流を障害しない場

合. IIa Bカテーテル法で測定した平均圧較差,35 mmHg 以上の圧較差を認める場合,または右心室と左心室の収縮期血圧の比が0.67~0.7 以上の場合,小児期・成人期ともに右室流出路導管狭窄に対してバルーン拡大術を考慮してもよい. IIb C