GL検索 v0.1.0
画像は 42 ページを描画したものです
page 42

p.42 抽出テキスト

先天性心疾患,心臓大血管の構造的疾患(structural heart disease)に対するカテーテル治療のガイドライン

やガイドワイヤの操作により,右室流出路の損傷,穿孔をきたし,心タンポナーデや死亡など重篤な結果をもたらすことがある271, 275, 278).ガイドワイヤによる刺激で,動脈管の狭小化ないし閉塞をきたすことがある.術後感染症も起こりうる.

1.9.5 Fallot四徴に対する経皮的肺動脈弁形成術(表30)

Fallot四徴を含む複雑先天性心疾患に対する経皮的肺動脈弁形成術の有効性が報告されている283–286).順行性血流を増加させることにより,肺動脈弁弁輪径や肺血管床が発育する287–289).肺動脈弁閉鎖不全の観点から,外科的に直視下での弁形成術を選択するようになってきたが,それも選択肢の一つである283, 290, 291).肺動脈弁下狭窄が重度の場合は,肺動脈弁形成術は有益ではない292, 293).チアノーゼの進行など数ヵ月以内にBlalock–Taussig短絡術などが必要となる場合が多く,肺動脈弁形成術の直後に低酸素発作をきたし,Blalock–Taussig短絡術などの外科手術が必要となるリスクを有する.また,VSDが肺動脈弁下にあり,弁輪狭窄がない場合には,肺動脈弁形成術により肺血流過多による肺高血圧をきたすことがあり,注意を要する.バルーン肺動脈弁形成術時の肺動脈弁弁輪径のZスコアが-3.5~-2.0程度であれば,心内修復術時に弁輪を温存できる可能性が高くなるが289),Zスコアが-3.5未満の場合は,多くはtrans annular patchが必要となる289, 293).弁輪温存後の肺動脈弁閉鎖不全を最小限に抑えるために使用バルーン径は弁輪の120%程度で十分である289).

肺動脈弁下狭窄を伴う場合にステント留置術は有効である.とくに弁輪温存が期待できず,かつ左右肺動脈の低形成を伴いBlalock–Taussig短絡術が施行しにくい場合が適応である.右室流出路(弁下から弁上まで)にステント留置術を施行すると,左右肺動脈は均等に良好に成長する61, 62).・リスクと合併症

右室流出路付近でのカテーテルやガイドワイヤの操作により,右室流出路の損傷,穿孔をきたし,心タンポナーデなど,重篤な結果をもたらす場合がある296).ガイドワイヤによる刺激で動脈管が収縮し,動脈管の狭小化ないし閉塞

をきたすことがある.低酸素発作を誘発する可能性があり,懸念される場合はβブロッカーの予防投薬が望ましい289).肺動脈弁下にVSDがある場合には,肺血流過多にならないように注意する.

1.9.6 術後右室流出路狭窄(表31)

a. 概要

術後右室流出路狭窄は,右室流出路から主肺動脈にかけての狭窄である.右室流出路狭窄は肺動脈狭窄と同様の手技で治療されるが,肺動脈拡大よりも治療成功率が低い.最近では高耐圧バルーンやダブルバルーン法などの改良がなされてきた.疾患としてはFallot四徴症や両大血管右室起始症に対する右室流出路形成術後の再狭窄が多い.そのほかにも大血管転位症に対するJatene術後など,多岐にわたる先天性心疾患の術後で認められる.狭窄の原因としては,手術で用いた弁付きパッチの弁の肥厚や可動性不良によるものがもっとも多い297).そのほか,流出路を形成した部位の遠位端,血管吻合部,大動脈と胸骨による圧迫,肺動脈の伸展やねじれなどがある. b. 適応

肺動脈–右室の収縮期圧較差40~50 mmHg 以上の弁性ないし吻合部狭窄が適応となる298).右心室と左心室の収縮期血圧の比が0.67~0.7以上の場合も適応となる.しかし,高血圧を伴う成人では,右心室と左心室の収縮期血圧での判断は困難となる. c. 方法

血管造影による狭窄部の描出が大切である.狭窄部径,狭窄遠位部位の正常血管径(対照血管径)の計測が可能になるように,撮影の方向を選択する.右室流出路の場合は,側面造影が有用なことが多い.拡大用バルーンカテーテルを狭窄部位に進めるためには,硬い(スティッフ)ガイドワ

表30 Fallot 四徴に対する経皮的肺動脈弁形成術に関する

推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

Fallot 四徴を含む複雑先天性心疾患例で,重度の弁下狭窄を伴わない肺動脈弁狭窄を有する症例に対し,経皮的肺動脈弁形成術を考慮してもよい. IIb C表31 術後右室流出路狭窄に対するバルーン拡大術に関す

る推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

術後右室流出路狭窄に対するバルーン拡大術の適応は,外科的再手術も考慮して慎重に決定する. I Cカテーテル法で測定した収縮期血圧で, 40~50 mmHg 以上の圧較差を認める場合,または右心室と左心室の収縮期血圧の比が0.67~0.7 以上の場合,術後右室流出路の弁性ないし吻合部狭窄に対し,バルーン拡大術を考慮する. IIa C