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p.41 抽出テキスト

要となる場合があるが,右室が発育する症例があるので,弁形成術を施行する価値はあると考えられる266, 273–275).

右室–冠動脈交通が20~50%に認められるが,大きな交通は漏斗部筋性閉鎖の症例に多い.また右室–冠動脈交通で問題となるのは,その存在自体ではなく,右室を減圧した場合に冠動脈灌流が障害されることである.それらの症例の多くは右室が非常に小さい.右室依存性の冠動脈灌流が認められた症例の多くは漏斗部開存例であり,外科的弁切開を施行した82例中,左右両方の冠動脈に狭窄を有した3例(3例中)と片方の冠動脈狭窄を有した1例(6例中),計4例は術後に死亡している276).右室造影,左室造影,必要なら大動脈造影,冠動脈造影をして右室依存性の冠動脈灌流および冠動脈の狭窄・離断の有無を明白にする必要がある.

右室容積がある程度あっても,弁形成術後に右室の拡張障害が改善するには通常1~3週間要する277).そのあいだはプロスタグランジンE1の点滴を続ける.長期化する場合や酸素飽和度が維持できない場合は短絡術を施行するか,動脈管にステントを留置する278).三尖弁異形成やEbstein病などによる重度の三尖弁閉鎖不全を合併する頻度は高い.その場合は,三尖弁形成術,右室流出路再建術やStarnes手術の適応となる.

三尖弁弁輪径,右室容積が著しく低形成で,経皮的肺動脈弁形成術による右室の発育を促す効果がほとんど期待できない症例でも,肺動脈への順行性の血流を作成し短絡術を回避する目的で,経皮的肺動脈弁形成術を施行することがある. b. 方法

純型肺動脈弁閉鎖に対する経皮的バルーン弁形成術は技術的に難易度が高く,重篤な合併症の頻度も高いので,経験のある小児循環器医によって施行されるべきである. i. ガイディングカテーテル

右室造影などを参考にして,右室流出路形態に合う4 Frまたは5 Frの右ジャドキンズカテーテル(JR)などを選択する.カテーテルのハブにYコネクターをセットすると常時造影ができる.カテーテルを右房から右室へ挿入し,前後運動させながら時計回転させて,右室流出路まで運ぶ.右室に挿入しがたい場合は,ディフレクティングワイヤなどを使用する.肺動脈弁直下まで進めたら,Yコネクターの側管から造影して位置を確認する. ii. ガイドワイヤとマイクロカテーテル

以前は0.014インチガイドワイヤのハードサイドなどを用いて弁を穿通していたが,2016年からNykanen RFワイヤが使用可能となった268, 279).どちらを使用する場合も,通常,肺動脈弁は右室流出路の上方というより後方に位置するので,穿通後にワイヤが主肺動脈上壁へ向かわないように注意する.ワイヤ先端5 mm程度を約45度屈曲させる

のが一法である.ワイヤ穿通後に追従させるマイクロカテーテルはプッシャビリティーに優れ,ワイヤとの口径差が少ないものを選択する(たとえば,Nykanen RFワイヤの場合は,先端が2.6 Frにテイパーされている2.7 Frマイクロカテーテルなど).マイクロカテーテルとワイヤをガイディングカテーテル先端まで進める.ワイヤの先端を弁に接触させて,再度造影をして位置を確認する.穿通部位は弁の中央が理想的だが,中央よりやや上方にしか位置させられない場合もある.その場合もワイヤが後方を向いていれば,主肺動脈を穿孔しにくい. iii. 弁穿通

ワイヤハードサイドでの穿通では,ある程度の押す力が必要となる.弁が穿通されると押していたテンションが消失する.一方,Nykanen RFワイヤは弁に接触させた状態で通電するだけで穿通できる.弁穿通に成功したら, Nykanenをより遠位の左右肺動脈または動脈管へ進める.続いてマイクロカテーテルを追従させる.ガイドワイヤの場合は,弁穿通後にソフトサイドへ交換して同様の操作を行う方法もある.穿通時に動脈側から動脈管を通し肺動脈弁上にスネアワイヤを開いて,弁の位置のマーカーにする方法がある. iv. 弁形成術

マイクロカテーテルを左または右肺動脈末梢,または動脈管から下行大動脈へ進めて,硬い0.014インチガイドワイヤなどを留置する.カテーテルを抜去して,2~3 mm径15 mm長のバルーンカテーテルなどを肺動脈弁まで進めて,前拡張を行う.続いて,弁輪径の120%程度の径のバルーンカテーテルを肺動脈弁まで進めて,通常気圧で弁形成術を行う.バルーンカテーテルが弁を通過しにくい場合は,大動脈からスネアカテーテルを進めて,ワイヤをつかんでワイヤループを作成してからバルーンカテーテルをデリバリーする方法がある.肺動脈弁穿通には,経験と技術が要求され,右室流出路の損傷,心タンポナーデに注意しながら慎重に行う必要がある280). c. 成功率

成功率は50~100%と,施設間・術者間に差がある271, 273–276, 278, 281).成功率やカテーテル治療後の経過は,右室容積,右室拡張能,肺動脈弁・弁下狭窄,肺動脈弁閉鎖不全,肺高血圧,三尖弁閉鎖不全の程度に左右される.プロスタグランジンE1投与を終了するまでに通常1~2週間を要する.酸素飽和度が維持できない場合は,Blalock– Taussig短絡術や動脈管ステント留置術275, 282)が必要となる. d. 合併症

合併症発生率は高い.右室流出路付近でのカテーテル