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p.39 抽出テキスト

であり,乳児から小児,成人,老人まで年齢制限はない. d. 経皮的肺動脈弁形成術の方法

弁輪径の120~140%の径のバルーンで拡大する.術後に肺動脈弁閉鎖不全を10~40%に認めるので,120~ 125%の径のバルーンを第一選択にするという見解もある. e. カテーテル治療の成績

短期,長期成績ともに良好である.超音波ドプラを用いたフォローアップでは,再狭窄をきたした症例はなく,術後2~3年までの中期遠隔成績は良好である243). f. カテーテル治療の限界

異形成弁の場合は,バルーン形成術の効果はないか少ない.異形成弁の定義は,弁尖が厚く可動性が少ないことである234, 244, 245).肺動脈の狭窄後拡張はないか著明ではない.ときに弁上部狭窄様になっていることもある.低身長,特異的顔貌などを特徴とするNoonan症候群に合併することが多い.40 mmHg以上の圧較差がそれ以下になったものを有効とすると,有効率は42%(急性期),33%(フォローアップ)にすぎない.本症に対するカテーテル治療は禁忌ではないが,とくに2歳以下では弁や弁上の形態を観察して症例を選択するという報告がある224).

1.9.2 成人の肺動脈弁狭窄症(表27)

経皮的肺動脈弁形成術は,1982年にKanらによって初めて報告された242).以後,数多くの成功例の報告がなされ,中等症や重症の肺動脈弁狭窄症に対して第一選択の治療法として位置づけられている.初回経皮的弁形成術後に再度の経皮的弁形成術を必要とすることはまれではないが,形成術後の中長期予後は良好であることが数多く報告されている246).

経皮的弁形成術と外科的弁切開術の長期成績を比較した検討によると,両者で圧較差改善は同等であるが,外科的弁切開術はより重度の肺動脈弁逆流を合併していたことが報告されている247).また,成人の石灰化を伴う肺動脈

弁狭窄症に対しても有効性が報告されている246).有効性の観点から議論の分かれるところではあるが,手技に伴う合併症の発生率が低いことから,異形成弁を伴うNoonan症候群に対しても施行されることがある.

肺動脈弁狭窄症は軽症であっても小児期に心雑音で発見されることが多いため,成人期に新たに発見される症例は比較的まれである.しかしながら,小児期に診断されていても無症状のため成人期まで経過がみられた症例,小児期にカテーテル治療を受けたが残存狭窄を有している症例,小児期に外科治療を行った症例の術後肺動脈弁狭窄症などは,成人期にカテーテル治療の適応となる場合がある.成人期の症例でカテーテル治療の適応を検討する場合には,1弁の性状(石灰化の評価),2右室流出路狭窄の程度,3ほかの外科的治療を必要とする心内病変がないかを十分検討しておく必要がある.とくに,肺動脈弁狭窄症に伴う右室肥大が明らかな成人症例では,肺動脈弁狭窄症に加え右室流出路狭窄を合併している場合が多い.このような症例ではカテーテル治療により十分な肺動脈弁の可動性が得られたにもかかわらず, 右室肥大に伴う肺動脈弁下部の漏斗部狭窄が残存しているため,術直後に右室圧が改善しない症例を経験する246, 248).このような症例では,自然経過もしくはβ遮断薬の投与によって心筋肥厚の改善とともに次第に軽快することもある.このような場合,バルーンのサイズアップをしても,流出路周囲組織の損傷をきたす危険性があるため,右室流出路狭窄が明らかな場合には,外科的治療の選択を考慮すべきである139).

カテーテル治療の適応は,外科的治療適応と同一で,肺動脈弁レベルでの圧較差40 mmHg以上とされている.成人でも無症状のことが多いが,ドプラ心エコーにて圧較差40 mmHg を認めた場合には,経皮的肺動脈弁形成術の適応とされている139).カテーテルでの圧較差は,ドプラよりも圧較差が小さくなることも経験するが,弁尖の開放制限が確認されれば,無症状の時期に待機的に経皮的肺動脈弁形成術を行うことが多い249, 250).確実な治療効果を得るために,かつては肺動脈弁輪径の140%や150%と比較的大きめのバルーン径が選択されていた.肺動脈弁逆流は10 ~40%の症例に生じるが,右室拡大や機能不全をきたすことから,肺動脈弁輪径の120%と小さめのバルーンが使用されるようになってきている251, 252).肺動脈弁輪径が20 mm以上の場合に,ダブルバルーンテクニック205)が用いられることがある.使用されるバルーン径は,Radtkeらによって提唱された計算式253)に準じて選択されている.成人症例では術中のバルーンを安定させるため,イノウエ・バルーンやダンベル型のバルーンカテーテルを用いた

表27 肺動脈弁狭窄症(成人)に対するカテーテル治療の

適応に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

心エコー検査上,肺動脈弁の前後で40 mmHg 以上の圧較差を認める肺動脈弁狭窄,右室機能不全を有する臨床的に明らかな肺動脈弁狭窄症例に対し,カテーテル治療を行う. I A上記の基準を有するものの,異形成弁または強い異形成の形態を呈する肺動脈弁狭窄症例に対し,カテーテル治療を考慮してもよい. IIb C