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p.26 抽出テキスト

先天性心疾患,心臓大血管の構造的疾患(structural heart disease)に対するカテーテル治療のガイドライン

iv. CT

コンピュータ断層撮影(CT)は,心臓の内部構造や肺血管の構造異常解明や肺体血流比の推測に有用である90).欠損孔の評価のみならず,部分肺静脈還流異常の評価にも役立つ.成人では,冠動脈疾患のスクリーニングにも有用である. v. MRI

シネモード磁気共鳴像(MRI)により心機能評価が可能であり,欠損孔の存在診断のみならず肺静脈還流異常などの合併形態異常の評価にも有用である.右心機能評価のゴールドスタンダードであり,右室駆出率や拡張末期容積といった心機能評価や運動耐容能の評価にも有用である91). vi. 心臓カテーテル検査

エコー診断の向上によりカテーテル検査の必要性は少なくなったが,左右短絡量や右左短絡の程度,肺体血流比と肺血管抵抗を評価し,経皮的閉鎖術の適応を評価する.肺血管抵抗が5 Wood単位以上の肺高血圧を合併している場合には,閉鎖術の適応に関して検討を要する.高度の肺高血圧症を認めた場合は,酸素や薬物負荷試験を施行し肺血管病変の可逆性を検討する.冠動脈疾患,弁膜症などの評価が必要な場合は左心カテーテルも施行する. d. 成人症例における特殊な病態i. 肺高血圧症

肺動脈圧もしくは肺血管抵抗値が,体血圧と体血管抵抗値のそれぞれ2/3以上では,慎重な治療適応決定が必要である.酸素負荷や薬物負荷試験による肺血管の反応性の評価が必要となる92).ASDによる肺高血圧症なのか,ほかの要因なのかの鑑別にも努める.一方,肺高血圧症の薬物療法が急速に進展しており,肺高血圧症を伴ったASDでも薬物療法とカテーテル治療を組み合わせた“treat and repair”という治療法の有効性が報告されている93–96).肺血管作動薬に反応性がある肺高血圧症合併例には,肺血管可逆性評価を行ったのち,適応があればカテーテル閉鎖術を実施することを考慮する.肺血管抵抗(PVR)<2.3 Wood単位(肺血管抵抗係数[PVRI]<4 Wood単位・m 2)を満たす症例については,閉鎖術を考慮する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC).PVR 2.3~4.6 Wood単位(PVRI 4~8 Wood単位・m 2)の場合には,専門施設にて十分な評価のもと,有益性が期待できる場合 にのみ閉鎖を考慮してもよい(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC) *.閉鎖術を施行する場合には,肺動脈圧と肺動脈楔入圧の双方を経時的にモニターしながら行う.

* 詳細は肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版) 97)を参照ii. 房室弁閉鎖不全

成人例でしばしば認められる三尖弁閉鎖不全や僧帽弁閉鎖不全は,経皮的ASD閉鎖術の禁忌とはならない.三尖弁閉鎖不全はASDの閉鎖後に右心系容量負荷が軽減することによって改善することがある98).形態異常を伴う僧帽弁閉鎖不全症の合併は原則として外科的修復術の適応となるが,形態異常を伴わない中等度以下の逆流であれば,通常,欠損孔の閉鎖だけで弁逆流の増加を招くことはないとされる99).ただし,軽度~中等度の僧帽弁閉鎖不全でも閉鎖後に中等度以上となることがあり,留置後,閉鎖栓をリリースする前に逆流が増悪しないかを観察し,増悪を認めたら閉鎖栓をリリースしないなどの注意が必要である. iii. 治療後の薬物管理

術後,抗血小板薬を少なくとも6ヵ月間投与する.そのうち一定期間は2剤併用投与を考慮する.心房細動や奇異性塞栓合併例では適切な抗凝固療法を継続する.心不全を合併している症例では病態に応じて薬物治療を継続する.高齢者で左室拡張障害が疑われる場合には,欠損孔をバルーンカテーテルで試験閉鎖して血行動態評価を行うことがあるが,かならずしも閉鎖栓留置後の血行動態を予想するものではないという報告もある.閉鎖術後6ヵ月以内は,感染性心内膜炎の予防が必要であるが,まれに遠隔期に感染性心内膜炎を発症したとの報告もある100).血液透析患者では,シャントの穿刺時には術後1年間の感染性心内膜炎予防のための抗菌薬投与が推奨されている. iv. 高齢者

これまで高齢者のASDに対しては,開胸手術のリスクと予後の兼ね合いから,積極的な治療は勧められてこなかった.カテーテル治療では,高齢者であっても比較的安全に治療が可能である.高齢者では欠損孔閉鎖直後の左心室に対する急性容量負荷が左室拡張末期圧の上昇を招き,心不全を増悪させる可能性もある.このため,術前から適切な心不全薬物療法を行い,さらに閉鎖術中の肺動脈楔入圧モニターなどで血行動態評価を行うことが望ましい.欠損孔の閉鎖によって肺うっ血が消失し日常生活能が大きく改善することが報告されており,高齢であることにより治療の適応からはずれることはない101). v. 不整脈

成人例で問題となるのは心房細動の合併である.ASD患者では,50代で15%,70代以降では60%以上と非常に高率に心房細動を合併することが知られており,心房細動を合併したASDに対する経皮的閉鎖術の適応評価は重要である102).カテーテル治療では外科治療で生じる心房切開線を旋回する心房頻拍を回避できる可能性があり,治療後の不整脈発生は外科治療より少ない可能性が報告され