p.21 抽出テキスト
第4章 疾患・病態・手技 左右短絡があり肺動脈圧が動脈圧の2/3以下の場合や肺血管抵抗が全身血管抵抗の2/3 以下の場合,肺血管拡張薬に反応し欠損孔のバルーン試験閉鎖下での血行動態に問題がなければ肺血管抵抗が5 Wood 単位以上であっても,経皮的/ 外科的閉鎖術を考慮してもよい.ただし,肺高血圧症の管理に精通している者が治療に加わる必要がある. IIb C血行動態的に有意でない小さな二次孔ASD を有する患者で,ほかの危険因子をもたない場合には,カテーテル閉鎖術は推奨されない. III No benefi t B二次孔ASD 以外のASD を有する患者では,カテーテル閉鎖術は第一選択の治療法として推奨されない. III No benefi t C非可逆的肺血管閉塞性病変の進行を伴う二次孔ASD を有する患者では,カテーテル閉鎖術は行うべきではない. III Harm C *1 血行動態的に有意とは,右心系の容量負荷所見,右心不全,心房位短絡による右心系の圧上昇を指す.解剖学的に適するとは,欠損孔周囲の辺縁が十分あり適切なサイズの閉鎖栓が固定できること,房室弁や肺静脈といった周辺構造に悪影響を与えないことを指す. *2 静脈洞型,冠静脈洞型ASD については経皮的閉鎖術の報告があるが十分なエ ビデンスに達していない.表15 ASD に対するカテーテル閉鎖術後のフォローアップ に関する推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 退院後1ヵ月,数ヵ月後,そして1 年後以降は毎年定期的に経過観察を行う. I Bすべての経皮的ASD 閉鎖術施行患者に対し,毎年のフォローアップが推奨されるが,とくに成人症例で右の状態にあるものは,注意深く経過観察を行う. a.肺高血圧症I B b. 不整脈I B c. 右室または左室 機能低下症例I C d. ほかの弁膜症や 心病変I C 胸痛や失神といったデバイスによる心侵食を疑わせる症状や,脱落を疑わせる動悸症状の出現,脳卒中を疑わせる神経症状の出現時には緊急評価を行う. I C 1 先天性心疾患 1.1 心房中隔欠損症(表14,表15) 表14 ASD に対するカテーテル閉鎖術に関する推奨とエビ デンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 血行動態的に有意かつ解剖学的に適する *1 二次孔ASD を有する患者に対し,カテーテル閉鎖術を行う. I A一次孔,静脈洞,冠静脈洞ASD *2 に対し,外科的閉鎖を行う. I A心房位での一時的な右左短絡を有し,脳卒中や反復する脳虚血発作といった奇異性塞栓症の既往がある患者に対し,二次孔ASD のカテーテル閉鎖術を考慮する. IIa Aほかの弁膜症手術施行予定の場合や,デバイス留置のための辺縁が十分ではない症例においては,二次孔欠損であっても外科的閉鎖術を考慮する. IIa C Platypnea–orthodeoxia 症候群にて低酸素血症を生じた場合は,カテーテル閉鎖術にて欠損孔閉鎖を考慮する. IIa B心房位での一時的な右左短絡を有し,チアノーゼ症状があり心拍出量の維持が欠損孔を通過する短絡に依存しない患者に対し,二次孔ASD のカテーテル閉鎖術を考慮する. IIa B小さな二次孔ASD を有する患者で,血栓塞栓症のリスクがあると推測される場合(経静脈的ペースメーカ留置,長期にわたる静脈カテーテル留置,過凝固状態など)には,カテーテル閉鎖術を考慮してもよい. IIb B