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p.15 抽出テキスト

の発展のためには必要不可欠なものと考える10, 13, 14, 22, 23, 30).

一方,registry dataからのリスクモデルによる合併症発生率予測は,施設のカテーテル件数や治療件数にも大きく影響を受けることも指摘されている14, 32, 33).JayaramらのIMPACT registry報告によると,年間カテーテル件数が150例以下の施設では,年間500例以上の施設の1.5%に比べ,有害事象の発生率が2.8%という結果であった32).術者の経験年数と有害事象の関係については,経験年数5年未満の術者では有意に有害事象の発生が多い反面,一術者あたりの年間カテーテル件数と有害事象のあいだには関係がないとする米国の報告がある11).医療制度が異なる米国と,わが国の現状を単純に比較することはできないが,ある一定期間の経験年数を過ぎれば術者の経験値に依存する有害事象発生率は一定となるという事実は,小児カテーテル治療医の教育トレーニングシステムを考えるうえで参考となる34-36).また,この問題を考える場合には,単に術者の手技への熟練度ということよりは,麻酔のバックアップ体制等も含めた多領域にわたる治療チームの成熟度なども考慮すべき問題である.

有害事象や合併症のリスク低減や回避のためには,対象となる症例の全体像と血行動態の把握,治療の目的設定,治療戦略と必要物品の準備,治療効果判定,合併症の予測とその対応について事前に十二分に治療チーム内で情報共有することが重要である.実施する手技や合併症に対する処置に習熟しておくことは言うまでもない1, 7, 22).

診療体制における情報共有も大切である.予定している治療手技と可能性がある有害事象については,治療を受ける患者およびその家族に十分説明しインフォームドコンセントを得ておくことは必須である.そのうえで麻酔科医,新生児科医,集中治療医,心臓血管外科医などの医療スタッフに加え,看護師,放射線技師,臨床工学士,臨床検査技師などと情報共有し,必要な物品とバックアップ体制を整備しておくことが重要である.有害事象のなかには,循環破綻のために補助循環が必要になる場合もあるため,その可能性がある場合には事前に体制を整えておく.また,カテーテル治療物品や合併症の対応に必要な器具については,供給体制の地域差の問題もあるため,カテーテル治療室に必要十分なものを事前に確保して確認しておく必要がある.第2章1.のポイント

小児期,先天性心疾患に対するカテーテル検査と治療は,治療効果も高い反面,死亡を含めた重篤な有害事象を引き起こす可能性がある.実施においてはリスク低減に向けた体制整備が必要である.小児においては,手技に関連したリスク管理に加え,血行動態や心臓以外の合併異常,さらに麻酔を含めた全身管理が安全にカテーテル治療を行うためには重要である.新生児,低体重は病態や手技と独

立した危険因子である.

Registry dataを用いたリスク予測に基づいた小児カテーテル治療体制の整備は,事前の治療計画と治療に関係する多領域専門職とのチーム内の情報共有とともにきわめて重要と考える.

成人におけるもっとも重篤な合併症は,周術期死亡である.胸部大動脈瘤ステントグラフト内挿術(TEVAR)や経カテーテル的大動脈弁植込み術(TAVI)は,リスクが高い代表的なインターベンションといわれてきた.約10年前に発表されたPARTNER試験では,TAVIの周術期死亡率は3.4~5.0%と報告されていたが37, 38),わが国におけるTAVIのリアルワールドレジストリでは,30日死亡は1.7%であった39).この死亡率の改善は,デバイスの進歩やプロクタリング制度の充実,手技の習熟度が関係しているためと考えられる.

大血管損傷は致死的合併症の一つである.とくに高齢者の動脈硬化が強い症例において生じやすい.急性大動脈解離は,TEVARやTAVIの際に,大動脈壁へ過大なストレスがかかると発症する可能性がある40).シースサイズが大きいTAVIやステントグラフト内挿術では,とりわけ注意を要する.TAVIの主要血管合併症発生率は3.0~7.4%と報告されているが39),腸骨動脈等の破裂の場合には急速に血行動態の破綻をきたすため,オクルージョンバルーンおよび適切なサイズのステントグラフトを事前に用意しなければならない.穿刺部合併症を防ぐため,近年ではエコーガイド下穿刺が普及している.

塞栓症も重大な合併症である.大動脈壁に高度粥腫病

2 成人におけるリスク・ 合併症(表10)

表10 成人に対するカテーテル治療に関する推奨とエビデ

ンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

カテーテル治療のトレーニングシステムの構築を行う. I C合併症発生の際に,必要薬剤や心肺蘇生に必要な機器がすぐに使用できる体制を整え,カテーテル検査室や手術室のスタッフと対応策の共有を行う. I C