p.13 抽出テキスト
や塞栓,ASD閉鎖栓による心房壁や大動脈壁などへの心侵食や完全房室ブロックなどが報告されている. 患者の体格や年齢も大きなリスク因子である.年齢による有害事象発生について,小児(4.3%)や成人(5.3%)に比べ,新生児期に22.2%と多い14).IMPACT registryのまとめでは,カテーテル治療手技よりも生後30日以内の新生児における診断カテーテルがもっともリスクが高いとされている14).新生児期は体格も小さく,体温管理も難しい。また,臓器の未熟性に加え,原疾患に基づく血行動態異常や麻酔による呼吸循環の変調を来しやすい.さらに,対象となる疾患も重症で,高度な技術を要する手技が多く,緊急的対応を必要とすることが多いことなどが高リスクの要因となっている.血管径が細いため穿刺が困難で時間を要することも多く,動脈穿刺部の合併症が有意に多い.最近では,エコーガイド下で穿刺を行うことにより,血管穿刺の確実性を高め,穿刺時間短縮に加えて合併症を減少させて安全性を高めたという報告もある. 小児においては,放射線被曝の問題も無視できない.小児の心臓カテーテルによる放射線被曝については,診断カテーテルで3.42 ± 3.64 mSv(平均値±標準偏差),カテーテル治療で5.97 ± 7.05 mSvという報告がある19, 20).造影CTの被曝線量の5~7.5 mGyと比較しても非常に多く,積算被曝量に大きな影響を与える.被曝線量は,透視時間,パルス透視のframe/秒,撮像時間,フィルター設定,血管撮影装置の種類により規定され,同じ透視時間であっても放射線感受性が高い新生児・乳児では被曝線量は大きく なる18).また,小児では甲状腺や乳腺が照射野外に出ないため,透視のたびにリスク臓器が被曝することにもなる.透視時間を必要最低限に短縮するほか,透視のパルスレートを下げ,可能であればリスク臓器を照射野外に外す.フットスイッチはこまめに切り,ラストイメージホールド,デジタルズームの利用や,グリッドを外すなど線量低減のための努力と工夫が必要である.事前に綿密に計画を立てたうえで,漫然と透視や造影を繰り返さず,心エコーなどの画像診断を併用して被曝の低減に努めるべきである31). 小児のカテーテル治療では,対象疾患や治療部位,治療手技によってもリスクは大きく異なる.また発生した有害事象の重症度も,一過性で治療が必要ないものから,死亡に至るものまで多様である.こうした有害事象の発生を予測し,予防する試みがregistry dataを用いて行われるようになった. 有害事象のリスクを層別化するために,Bergersenらは有害事象の重症度を5段階に分けて,実際行った治療部位や手技の様式等の各リスク因子と有害事象の発生率と発生した重症度の関係について解析した(表8) 10).その後, JayaramらがIMPACT registryに基づいて,Bergersenの5分類を新たに6 つのカテゴリーに分類し直し,さらに血行動態的不安定要因として,先天性心疾患における単心室循環,肺体血流比,体心室拡張末期圧,肺動脈径,肺動脈圧,肺血管抵抗,酸素飽和度などのリスク解析を行って 表8 カテーテル治療における有害事象の重症度 重症度定義例1(なし)状態の変化なし.可能性がある状態変化のために経過観察が必要かもしれないが,治療の適応はない. •バルーン破裂•治療器具の問題2(軽症)生命の危険がない一時的な状態変化で,経過観察および投薬継続や検査などの軽微な処置を必要とするが,完全に回復する. •鼠径穿刺部の血腫•自己回復する不整脈 3(中等症)治療しなければ生命の危険がある一時的な状態変化だが完全に回復する.経過観察および拮抗薬や追加の投薬,ICUでの観察,中等度のカテーテル治療を必要とする. •治療を必要とする不安定な不整脈(血圧は維持) •生命の危機はともなわないが治療を必要とする血管損傷 4(重症)治療しなければ生命に関わる状態変化.永続的な身体機能または構造障害の可能性があり,ICUへの入室または緊急入院,電気的除細動や予定外の気管挿管,または高度の侵襲的処置やカテーテル治療などが必要な可能性がある. •心肺蘇生を必要とする事象•カテーテル治療や外科治療を必要とする事象•脳梗塞5(最重症)死亡および緊急手術,または人工心肺から離脱することによる死亡を予防するため膜型人工肺補助(ECMO)や補助循環処置を必要とする. •死亡事象(Bergersen L, et al. 201110)より) Reprinted from JACC Cardiovasc Interv., 4(9), Bergersen L, et al., 1037-46., Copyright (2011) by The American College of Cardiology Foundation, with permission from Elsevier. https://www.sciencedirect.com/journal/jacc-cardiovascularinterventions