p.121 抽出テキスト
は開心術後の再発性心嚢液貯留症例に対する有効性が初めて報告された1009). 本治療の対象疾患は再発性心嚢液貯留で,悪性疾患に多くみられ,予後不良で全身状態の悪い患者も多い.そのため,できるだけ低侵襲な処置が望まれる.現在,カテーテルを心嚢内に留置する持続ドレナージ,心嚢内に硬化剤を注入して壁側および臓側心膜の癒着を生じさせて心嚢液貯留自体を防止する癒着術,そして経皮的バルーン心膜開窓術や胸腔鏡を用いた胸腔鏡下心膜切開術が行われている. 悪性心嚢液に対する経皮的バルーン心膜開窓術は,心嚢穿刺と比べて,心嚢液貯留再発率が少ないことが報告されている(38.3% vs. 10.3%,図24) 1010).手技に伴う死亡 は,心嚢穿刺では1.0%,経皮的バルーン心膜開窓術では0.6%であると報告されている. 経皮的バルーン心膜開窓術は,再発性心嚢液貯留や再発性心タンポナーデに効果的で安全な手段と考えられる.ただし,胸腔もしくは腹腔へ心嚢液を排出するため,胸腔穿刺が再度必要になる場合もある.また,悪性心嚢液の場合には,悪性細胞の播種のリスクがある.そのため,あくまでも症状緩和のための治療という位置づけになる.ESCの「心膜疾患の診断と管理のためのガイドライン」では,悪性心嚢液再貯留予防のために経皮的バルーン心膜開窓術を考慮してもよい(クラスIIb,レベルB)と記載されている1011). 7.3.2 経皮的バルーン心膜開窓術の推奨度 心嚢液貯留再発率(%) 0 10 20 30 40 50 心嚢ドレナージカテーテル留置 心嚢穿刺排液 心膜癒着術 経皮的バルーン 心膜開窓術 図24 悪性心嚢液に対する経皮的バルーン心膜開窓術(Virk SA, et al. 20151010)より) Reproduced from Heart. Virk SA, et al. 2015;101(20):1619-26. with permission from BMJ Publishing Group Ltd.