p.120 抽出テキスト
先天性心疾患,心臓大血管の構造的疾患(structural heart disease)に対するカテーテル治療のガイドライン り,体格に応じて選択する.シースは5~9 Frである. Mullinsシースや電気生理学的検査用のシースなどがある.ガイドワイヤを先行させ,シース+ダイレーターをIVCないし無名静脈に進める.IVCにシース+ダイレーターを置き,透視をみながら穿刺針を進める.このとき,穿刺針のなかに付属のワイヤを入れたままにしておく.穿刺針は,心房の解剖にあわせて曲げたほうがよい場合もある.先端の針と穿刺針本体の接合がゆるくなることがあるため,先端の針の部分は曲げてはならない.穿刺針がダイレーターの5 cm手前にきたら,付属のワイヤを抜き,穿刺針をダイレーターの2~5 mm手前にまで進める.シース+ダイレーター+穿刺針をゆっくり引いて,上大静脈内で左後方に向ける.穿孔のリスクがあるため,シース+ダイレーター+穿刺針は,高さを固定したまま回転させてはならない.左後方に向けたままゆっくり抜くと,卵円窩に落ちるとき手応えを感じる.さらに少し引き,卵円窩にダイレーターの先端が乗るようにする. 透視下でダイレーターの方向を確かめながら,ダイレーターを卵円窩の表面上をゆっくり進め,心房中隔を軽く押す.経食道心エコーないしICEを用いて,心房中隔がテント状に押されていることを確かめる.ICEを用いる際には,エコーカテーテルの位置を変えて,ダイレーター+穿刺針の先端を捉える工夫をすることが重要である. 心房中隔がテント状に押されていたら,穿刺針を5 mm程度進め,ダイレーターから出す.穿刺針が貫通すると,手元に“ぷつん”と感触が伝わることが普通である.左房に穿刺針が入ったら,コントラストエコーか造影剤で確認する.左房内の造影剤は渦状に消え去るのが特徴である.左房に穿刺針が入っていることを確認後,穿刺針の手元は体外で固定してダイレーターのみをわずかに進め,ダイレーターを左房に進める.その後,穿刺針を抜き,先端を曲げた0.025インチアルゴンタイプガイドワイヤに替え,ガイドワイヤを左房内に十分進めたのちに,シース+ダイレーターを左房内へ進める. 脈にシースが入っている場合には,ピッグテール・カテーテルを上行大動脈に留置しておくと,心房中隔穿刺時の大動脈の位置の指標になる. 穿刺に際しては,機械的な力により穿通するbrockenbrough needleのほかに,高周波エネルギー穿刺針1002)や近年は高周波を用いた穿刺ワイヤ(Baylis Medical Co.)が使用される.穿孔の瞬間,通電は切れるので,穿刺針より安全に心房中隔穿刺が施行できる可能性があるが,その安全性や有効性は今後の課題である1001, 1003). これらの方法は,いくつかある方法のうちの一つで,術者が慣れた方法を用いるべきである.近年,心房中隔穿刺は30 kg未満の小児でも安全に行え ることが報告されているが1004, 1005),空気塞栓,血栓の予防に最大限の注意を払うべきである998).小児では心房内のダイレーター操作で穿孔することがある.先天性心疾患では,大動脈の位置が通常と異なることがあり,大動脈を穿刺することがある1006, 1007).穿刺針のみでタンポナーデになることはまれであるが,誤った部位に穿刺された穿刺針を抜去する際には,心エコーで心嚢液をモニターする.シースやダイレーターが誤った部位に挿入された場合には,不用意に抜かないことが大切である.抜去する際には,細いガイドワイヤを残し,再挿入できるようにしてから右心房まで抜く.出血をコントロールして,抜去するようにする.輸血の準備,外科医の待機,手術室の準備,心嚢穿刺の準備,手術室への移動など,あらかじめ必要な準備を行う. 7.3 経皮的バルーン心膜開窓術(表101) 悪性新生物による再発性心嚢液貯留や再発性心タンポナーデに対し,歴史的に外科的心膜開窓術が施行されていたが,原疾患が予後不良であることや外科手術高リスクの症例も多いことから,より低侵襲の処置が望まれてきた.一方で,心嚢ドレナージのみでは再発が多いために,1990年にバルーンカテーテルを用いた経皮的心膜開窓術が報告され1008),徐々に世界中で施行されるようになった. わが国でも1990年代から同治療が試みられ,2001年に 7.2.3 リスク 7.3.1 経皮的バルーン心膜開窓術の成績 表101 経皮的バルーン心膜開窓術の推奨とエビデンスレ ベル 推奨クラスエビデンス レベル 心タンポナーデもしくは大量心嚢液貯留では,症状緩和と血行動態の改善,心嚢液の診断を確立するために心嚢穿刺を行う. I B心タンポナーデもしくは大量心嚢液貯留では,心嚢液再発防止と心膜内治療を考慮し,心嚢ドレナージカテーテル留置を行う. I B心嚢穿刺に習熟した術者とスタッフにより,心臓カテーテル検査室にて,心タンポナーデもしくは大量心嚢液貯留の再発予防のために経皮的バルーン心膜開窓術を考慮してもよい. IIb B